アメリカのベストセラー・ランキング

1月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. ORIGIN    Up

Dan Brown ダン・ブラウン

元教え子で天才コンピューター科学者のカーシュが行う重大なプレゼンテーションを見るため、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を訪れたラングドン。だが、あらゆる信仰の根幹を揺るがす大発見の内容が明かされようとした瞬間、カーシュが射殺され……われわれはどこから来て、どこへ行くのか。女性館長アンブラとともに、ラングドンは人類の起源と運命をめぐる謎を追う。神の存在意義を問うシリーズ第5作。KADOKAWAより邦訳が今春刊行予定。

 

  1. 2. THE ROOSTER BAR    Down

John Grisham ジョン・グリシャム

ワシントンDCのロースクールに通う同級生のマーク、トッド、ゾーラ。卒業を半年後に控えたある日、学費ローンに苦しむクラスメートのひとりが自殺したことをきっかけに、3人はロースクールの経営母体であるファンドが学生ローン専門の金融機関も営み、貸付で儲けるために、ほかのどのロースクールにも受からない学生たちを入学させていたことを知る。

 

  1. 3. THE PEOPLE VS. ALEX CROSS    Stay

James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第25作。宿敵ゲイリー・ソーンジの信奉者を正当防衛で撃ち殺したクロスは、殺人警官の汚名を着せられ、裁判にかけられることに。停職処分を受け、裁判を待つ間に開いたカウンセリングオフィスに、昔の相棒サンプソンが訪ねてくる。サンプソンから、ブロンド女性の連続失踪事件の解決に手を貸してほしいと頼まれたクロスは、停職中にもかかわらず、キャリアを賭して捜査に乗りだす。

 

  1. 4. THE MIDNIGHT LINE    Up

Lee Child リー・チャイルド

ジャック・リーチャー・シリーズの第22作。中西部の小さな町をあてもなく歩いていたリーチャー。質屋の店先で、名門ウエストポイント陸軍士官学校のクラスリングを目にして立ちどまる。ウエストポイント出身者のひとりとして、それが簡単に質入れなどできない卒業記念の大切な品だと知っていたからだ。指輪のサイズはおそらく女性用。何かがおかしいと直感したリーチャーは、持ち主の足跡をたどり、西へ向かう。

 

  1. 5. LITTLE FIRES EVERYWHERE    Up

Celeste Ng セレスト・イン

90年代後半のオハイオ州シェイカーハイツ。生活に必要なものすべてが計画的に整えられた、秩序正しい安定した郊外の町。そこに暮らす多くの人々と同様、リチャードソン一家も絵に描いたような幸せな日々を送っていた。しかし、あるとき一家の所有する貸家に謎めいたアーティストの母娘が移り住み、やがて一家とコミュニティーがゆらぎはじめる。

 

  1. 6. ARTEMIS    Down

Andy Weir アンディ・ウィアー

月面に人類がはじめてつくった町、アルテミスに住むジャスミン・バシャラ(ジャズ)。裕福になりたいと願う彼女に大きなチャンスが訪れる。しかしその結果、ささやかな密輸をしていただけだったジャズは徹底的な悪事に手を染めることになり、やがてアルテミスそのものを支配しようとする陰謀に巻き込まれていく。邦訳『アルテミス』(上・下)が、今月下旬に早川書房より刊行予定。

 

  1. 7. YEAR ONE    Down

Nora Roberts ノーラ・ロバーツ

全人口の半数以上が死に至る謎のウイルスがまたたく間に流行し、政府は機能を停止、世界は混乱に陥った。ラナと恋人のマックスは疫病の蔓延するニューヨークを出て、途中で知り合った生存者たちと力を合わせて安住の地を求める。仲間になった生存者たちには一見なんの共通点もなかったが、実はそれぞれが特殊な能力を持っていた。三部作の第1作。

 

  1. 8. END GAME    Stay

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

ウィル・ロビー・シリーズの第5作。アメリカ合衆国に対する破壊工作の計画が発覚し、政府はそれを事前に食い止めるべく、ウィル・ロビーとジェシカ・リールに極秘任務を課す。しかし、ふたりの後ろ盾になるはずだったコードネーム“ブルーマン”が、釣りに出かけたまま消息を絶つ。ロビーとリールは調査のためグランドという小さな町に出向くが、そこは犯罪とドラッグにあふれ、武装集団が横行していた。

 

  1. 9. THE WANTED    New!

Robert Crais ロバート・クレイス

シングルマザーのデヴォンは、急に金回りがよくなったティーンエイジャーの息子タイソンがドラッグの取引に関わっているのではないかと疑い、私立探偵のエルヴィスに捜査を依頼する。ところがタイソンは裕福な家ばかりを狙う強盗グループに加わり、犯行を繰り返していた。しかも一軒の家からあるものを盗み出したことで、仲間のひとりが殺害され、タイソンも命を狙われていた。エルヴィス・コール・シリーズ第17作。

 

  1. 10. TOM CLANCY: POWER AND EMPIRE    Down

Marc Cameron マーク・キャメロン

G20サミットを控え、挑発を強める中国政府への対応に追われる合衆国大統領ライアン。一方、西海岸沖合で中国船籍の石油タンカーの爆発事件が発生する。対テロ民間極秘組織〈ザ・キャンパス〉は関与が疑われる中国人スパイの情報が記録されたUSBメモリを入手するが……。故クランシーのジャック・ライアン・シリーズ第13作。今回はマーク・グリーニーに代わりマーク・キャメロンが執筆を担当している。

 

【まとめ】

新年2週目の今週も大きな変動はなく、ダン・ブラウンとジョン・グリシャムが首位争いをつづけていますが、9位にロバート・クレイスの新作が初登場しました。エルヴィス・コール・シリーズは、第16作の『約束』が、創元推理文庫から昨年刊行されています(高橋恭美子さんによる紹介はこちら)。

  1. 佐藤桂(さとう けい)

    神奈川在住の翻訳者です。年末にAmazon Kindle Singleより『地獄の沙汰もビットコイン次第: 仮想通貨の闇を追う』(ジェイク・エーデルスタイン、ナタリー・郷子・ストゥッキー著)がリリースされました。ビットコインの誕生から急拡大、凋落、再興までを、日本在住のジャーナリストが約2年間にわたって取材したノンフィクションの日本語訳です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。