アメリカのベストセラー・ランキング
6月24日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. THE PRESIDENT IS MISSING New!
Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン
【早川書房から近日刊行予定】妻に先立たれた湾岸戦争の元英雄ジョナサン・ダンカン大統領は、大規模サイバーテロの危機にさらされたアメリカを救うべく、ホワイトハウスを抜けだして単身テロリストに会いに行く。だが、クラシック音楽好きの女殺し屋“バッハ”が大統領の命を狙っていた。
- 2. THE OUTSIDER Down
Stephen King スティーヴン・キング
オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。
- 3. SHELTER IN PLACE Down
Nora Roberts ノーラ・ロバーツ
メーン州ポートランドのショッピングモールで銃乱射事件が起こる。わずか8分間の凶行だったが、生存者たちは心に深い傷を負い、その後の人生を大きく左右される。警察官を志す者、心を閉ざして記憶を消そうとする者……彼らが時間をかけて立ちなおりつつあっころ、新たな殺戮がおこなわれようとしていた。
- 4. THE DEATH OF MRS. WESTAWAY Stay
Ruth Ware ルース・ウェア
タロットカードの占い師であるハルは、自分に大金を遺贈するという謎の手紙を受けとる。誤配だろうが、占いで鍛えたコールド・リーディングの手管を使えば、金をせしめられるかもしれない。そこで故人の葬式に参列するが、得体の知れない違和感を覚えることになる。
- 5. BRIEF CASES New!
Jim Butcher ジム・ブッチャー
魔法使いのハリー・ドレスデンがシカゴの街を舞台に魔物やヴァンパイアがらみの事件を解決していくファンタジー、ドレスデン・ファイル・シリーズの短篇集。未発表の書き下ろし1篇を含む12篇がおさめられている。
- 6. THE FALLEN Up
David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ
“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第4作。デッカーは友人の新聞記者アレックス・ジェイミソンと、彼女の親類を訪ねてペンシルバニア州西部のさびれた工業地帯にある小さな町へ来ていた。そこで裏手の家の不審な様子に気づき、死因不明の2遺体を発見するが、それは複雑な事件の氷山の一角にすぎなかった。
- 7. THE GRAY GHOST Down
Clive Cussler and Robin Burcell クライブ・カッスラー、ロビン・バーセル
トレジャーハンターのファーゴ夫妻シリーズ第10作。1906年、グレイゴーストと呼ばれるロールスロイスの名車がイギリスのマンチェスターで盗まれ、アメリカ人の探偵が取りもどすという事件が起こる。100年あまりのち、犯人とされた男の孫が夫妻のもとを訪れ、祖父の無実を証明したいと頼む。
- 8. WHEN LIFE GIVES YOU LULULEMONS New!
Lauren Weisberger ローレン・ワイズバーガー
『プラダを着た悪魔』、『プラダを着た悪魔 リベンジ!』に続く働く女性のお仕事小説第3弾。ニューヨークのファッション誌編集者からハリウッドのスタイリスト兼イメージコンサルタントに転じたエミリー。ライバルにセレブの顧客を次々に奪われて落ち目の彼女は、起死回生を期して飲酒運転で逮捕された元スーパーモデル、カロリーナのイメージ回復作戦に奮闘する。
- 9. US AGAINST YOU New!
Fredrik Backman フレドリック・バックマン
スウェーデンの田舎町ベアタウンで人々が唯一の希望を託すアイスホッケーチーム〈ベアーズ〉が存続の危機に。隣町のライバルチームへ移籍する選手たちも続出し、分裂状態におちいった〈ベアーズ〉にやってきたのは、一風変わった新監督だった。昨年刊行された“BEARTOWN”の続編。
- 10. TURBULENCE New!
Stuart Woods スチュアート・ウッズ
ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第46作。キーウェストで大型ハリケーンに遭遇し、元愛人の国務長官ホリー・バーカーと避難することになったバリントン。ホリーにセクハラをした上院議員が外国の武器商人と通じ、核兵器を売り渡そうとしているというのだが……
【まとめ】
夏のバカンス・シーズンを前に人気作家の新作や注目作が多く刊行されるこの時期、5作が初登場ランクインを果たしました。1位はビル・クリントン元大統領がおなじみジェイムズ・パタースンとの共著で発表した超話題作。発売1週間で26万部(電子書籍込み)を売り上げ、期待通りのヒットとなっています。パタースンは近年の共著ものでは相方の作家におもに執筆をまかせることが多いそうですが、本作ではどうだったのか気になるところです。5位に入ったジム・ブッチャーのドレスデン・ファイル・シリーズは、第3作『ドレスデン・ファイル3―血塗られた墓―』(ハヤカワ文庫)まで邦訳が出ています。8位は『プラダを着た悪魔』に登場するエミリーが主人公の作品で、あの鬼編集長ミランダも少しだけ顔を出しているとか。9位は映画化もされた『幸せなひとりぼっち』で知られ、今年3月に『おばあちゃんのごめんねリスト』(早川書房)も刊行されたスウェーデンの作家フレドリック・バックマンの新作です。また5月6日付リストで初登場後、8週連続ランクイン中で今週も6位に入っているデイヴィッド・バルダッチの完全記憶探偵エイモス・デッカー・シリーズですが、第2作の邦訳『ラストマイル』(竹書房文庫)が先日6月14日に刊行されています。
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満園真木(みつぞの まき) 東京在住の翻訳者。訳書はヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』、ベリンダ・バウアー『視える女』(ともに小学館文庫)など。