アメリカのベストセラー・ランキング

7月22日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

  1. 1. THE PRESIDENT IS MISSING    Stay

Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン

【早川書房から近日刊行予定】妻に先立たれた湾岸戦争の元英雄ジョナサン・ダンカン大統領は、大規模サイバーテロの危機にさらされたアメリカを救うべく、ホワイトハウスを抜けだして単身テロリストに会いに行く。だが、クラシック音楽好きの女殺し屋“バッハ”が大統領の命を狙っていた。

 

2. SPYMASTER    New!
Brad Thor ブラッド・ソー

アメリカ海軍特殊部隊SEALS出身のエージェントが活躍するスコット・ハーヴァス・シリーズの第17作。ヨーロッパでは、外交官が秘密組織に襲撃される事件が相次ぎ、きな臭い空気が漂っていた。アメリカを巻きこんだ世界大戦勃発の危機を回避するため、ハーヴァスは、チームを率いてヨーロッパに向かう。

 

  1. 3. THE PERFECT COUPLE    Up

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

ウェディング・シーズンのナンタケット島。オーティス家とウィンベリー家の豪華な結婚式が予定されていたその日、港で死体が発見された。お祝いムードは一転、新郎新婦とその両親、そして参列者の全員が容疑者に。ナンタケット在住の“サマー・ノベルの女王”と呼ばれる人気作家の最新作。

 

  1. 4. THE OUTSIDER    Down

Stephen King スティーヴン・キング

オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。

 

5. ALL WE EVER WANTED    Down
Emily Giffin エミリー・ギフィン

エリートの夫と出来のいい息子とともに、しあわせな日々を過ごすニーナ。手を焼かされてきた娘のライラが名門校に入学して、ようやく肩の荷をおろしたシングル・ファーザーのトム。このふた組の家族が、あるパーティの場で撮られた1枚の写真をきっかけに出会い、ほんとうの人生を生きるための勇気を探しはじめる。

 

6. THERE THERE    Up
Tommy Orange トミー・オレンジ

YouTubeで覚えた部族の伝統的なダンスを披露するドキュメンタリー映画作家志望の若者、先住民であるおじの死後、荒んだ生活から立ち直り、祭りで奉仕する男。そこへ行くそれぞれの理由を胸に、先住民の祭り“パウワウ”にやってきた、現代に生きる12人の都会のネイティブ・アメリカンたちの物語。

 

  1. 7. THE DEATH OF MRS. WESTAWAY    Stay

Ruth Ware ルース・ウェア

タロットカードの占い師であるハルは、自分に大金を遺贈するという謎の手紙を受けとる。誤配だろうが、占いで鍛えたコールド・リーディングの手管を使えば、金をせしめられるかもしれない。そこで故人の葬式に参列するが、得体の知れない違和感を覚えることになる。

 

  1. 8. WHEN LIFE GIVES YOU LULULEMONS    Up

Lauren Weisberger ローレン・ワイズバーガー

『プラダを着た悪魔』、『プラダを着た悪魔 リベンジ!』に続く働く女性のお仕事小説第3弾。ニューヨークのファッション誌編集者からハリウッドのスタイリスト兼イメージコンサルタントに転じたエミリー。ライバルにセレブの顧客を次々に奪われて落ち目の彼女は、起死回生を期して飲酒運転で逮捕された元スーパーモデル、カロリーナのイメージ回復作戦に奮闘する。

 

  1. 9. THE FALLEN    Up

David Baldacci デイヴィッド・バルダッチ

“完全記憶探偵”エイモス・デッカー・シリーズ第4作。デッカーは友人の新聞記者アレックス・ジェイミソンと、彼女の親類を訪ねてペンシルバニア州西部のさびれた工業地帯にある小さな町へ来ていた。そこで裏手の家の不審な様子に気づき、死因不明の2遺体を発見するが、それは複雑な事件の氷山の一角にすぎなかった。

 

  1. 10. BEFORE WE WERE YOURS    Down

Lisa Wingate リサ・ウィンゲイト

1939年テネシー。4人の弟、妹たちとともに何者かに連れ去られた12歳のリル・フォスは、二度と両親のもとに戻ることはなかった。時は流れ現在、サウスカロライナの弁護士になったエイヴリー・スタッフォードは、かつてテネシーの孤児院でおこなわれていたという違法な養子あっせん事業を調べていくうち、南部の名家といわれる自分の家族の過去を知ることに。1920年代から50年代にかけて実際にあった出来事にもとづくヒストリカルノヴェル。

 

【まとめ】

今週の新作も、2位にランクインした“SPYMASTER”の一作のみでした。スコット・ハーヴァス・シリーズは、年に一冊のペースでの刊行がつづいており、毎年だいたいこの時期にランクインしています。邦訳は第11作の『ブラック・リスト――極秘抹殺指令――』まで出ています。6月24日付のリストで初登場し、13位から少しずつ順位を上げていた“THERE THERE”は、今週は6位にランクイン。また、先週は13位だったデイヴィッド・バルダッチの“THE FALLEN”が、トップテン外から9位に返り咲き、根強い人気を見せています。トップテン外では、『ファイナル・ガールズ』で知られるライリー・セイジャーの新作、“THE LAST TIME I LIED”が15位にランクインしました。成功した画家が、15年前友人たちが失踪したキャンプ場を訪れ、事件の真相を知るというスリラーです。

 

  1. 服部理佳(はっとり りか)

    翻訳者。訳書『ザ・ヘイト・ユー・ギヴ(あなたがくれた憎しみ)』(岩崎書店)の映画化作品が10月19日に全米公開決定しました。現在YouTubeでオフィシャルトレーラーが公開されています。(イメージ通りで、予告を見るだけで泣きそうです。日本でも公開されますように)