アメリカのベストセラー・ランキング

9月30日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. JUROR #3    New!

James Patterson and Nancy Allen ジェイムズ・パタースン、ナンシー・アレン

ミシシッピ州の新人弁護士ルビーは、殺人で訴えられた大学生の花形フットボール選手の事件を担当することになる。ところが、陪審員に選ばれた12人には何か隠していることがありそうだった。さらに、ルビーの元婚約者が法廷絡みの問題で助けを求めてやってくる。

 

  1. 2. SHADOW TYRANTS    New!

Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン

オレゴン・ファイル・シリーズ第13作。2000年近く前、歴史を揺るがしかねない重大な秘密を東洋の権力者が9名の人物に分割して託したが、いまその子孫たちのあいだに争いが生じていた。秘密工作船オレゴン号の船長のファン・カブリーヨと仲間たちはインド洋へ向かう。

 

  1. 3. LEVERAGE IN DEATH    Down

J.D. Robb J・D・ロブ

他社との合併契約締結が予定されていた航空会社の会議室で、取締役のひとりが身体に巻きつけた爆弾を爆発させる。覆面の二人組に家族を拉致され、自爆を強いられたらしい。脅迫者は社内の人間か、あるいは……イヴは捜査に乗りだす。イヴ&ローク・シリーズ第47作。

 

  1. 4. IN HIS FATHER’S FOOTSTEPS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

ドイツでの強制収容所生活を生き延びてアメリカに渡ったジェイコブとエマニュエルの夫婦は、苦労の末に宝石業で財を成す。恵まれた環境に育った息子のマッキーは理想の人生を手にしたつもりでいたが、結婚生活に失敗、生き方を見つめなおすために両親の足跡をたどる。

 

  1. 5. THE FORBIDDEN DOOR    New!

Dean Koontz ディーン・クーンツ

FBI捜査官のジェイン・ホークは、洗脳技術を使う秘密組織を追って、いまは重要指名手配犯となっている。危険が及ばぬように、親しい友の助けを借りて5歳の息子を安全な場所に匿っていたが、組織の手が息子のもとへも迫る。ジェイン・ホークシリーズの第4作。

 

  1. 6. TEXAS RANGER    Down

James Patterson and Andrew Bourelle ジェイムズ・パタースン、アンドリュー・ブレル

ハイウェイパトロールからテキサスレンジャーへと、法執行官としてのキャリアを順調に築いてきたローリー・イェイツ。私生活はうまくいかず、元妻アンとの離婚を後悔していた。そのアンからの電話を受けて駆けつけてみると、かつてのわが家は凄惨な殺人事件の現場に変わっていた。そして、ローリーに元妻殺しの容疑がかかる。

 

  1. 7. THE PRESIDENT IS MISSING    Down

Bill Clinton and James Patterson ビル・クリントン、ジェイムズ・パタースン

妻に先立たれた湾岸戦争の元英雄ジョナサン・ダンカン大統領は、大規模サイバーテロの危機にさらされたアメリカを救うべく、ホワイトハウスを抜けだして単身テロリストに会いに行く。だが、クラシック音楽好きの女殺し屋“バッハ”が大統領の命を狙っていた。早川書房から近日刊行予定。

 

  1. 8. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 9. THE FALL OF GONDOLIN    Down

J.R.R. Tolkien  J・R・R・トールキン

邪悪な冥王モルゴスは、エルフの種族ノルドールが中つ国に築いた、幻の王国ゴンドリンを見つけ出して滅ぼそうとしていた。水の王ウルモは、そのたくらみを阻止すべく、トゥオルを使者に立て、ゴンドリンへと導く。トゥオルはゴンドリン王トゥアゴンの娘イドリルと結ばれ、後に希望の星となる息子、エアレンディルをもうけるが、ゴンドリンは、バルログやドラゴン、オークからなるモルゴスの大軍に攻め入られ、陥落してしまう。

 

  1. 10. THE OUTSIDER    Down

Stephen King スティーヴン・キング

オクラホマで11歳の少年が殺害される。目撃証言や指紋から容疑者はひとりに絞られた。子供ふたりの父親でリトルリーグのコーチをつとめる教師のテリーだ。本人は否定するが、DNA検査が犯行を裏づけており、テリーは逮捕される。ところがテリーにはたしかなアリバイがあった。

 

 

【まとめ】

1位にジェイムズ・パタースン、2位にクライブ・カッスラー、5位にディーン・クーンツと、新作が3つ登場しました。1位は法曹界で長いキャリアを持つナンシー・アレンを共著者に迎えたリーガルスリラーですが、10位中になんとパタースンの作品が3作はいっています。5位のディーン・クーンツは今年5月にもこのシリーズの3作目がランクインしたばかりです。

なお、トップテン外では、11位に、リード・ファレル・コールマンがロバート・B・パーカーのジェッシイ・ストーン・シリーズを継いでから5作目の“ROBERT B. PARKER’S COLORBLIND”がはいっています。今週のNYTの記事ではこれに関連して、亡くなった人気作家のシリーズ作を近年別の作家がつづけている例をあげ、ソフィー・ハナがアガサ・クリスティのポアロシリーズを、ダヴィド・ラーゲルクランツがスティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズを、アンソニー・ホロヴィッツがイアン・フレミングの007シリーズを書き継いでいると紹介しています。

 

 

 

  1. 国弘喜美代(くにひろ きみよ)

    東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。訳書にカレン・クリーヴランド『要秘匿』、ケン・ベンシンガー『レッドカード: 汚職のワールドカップ』(北田絵里子さん、手嶋由美子さんとの共訳)など。