アメリカのベストセラー・ランキング

10月14日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. AN ABSOLUTELY REMARKABLE THING    New!

Hank Green ハンク・グリーン

午前3時にマンハッタンの歩道で巨大なトランスフォーマー風の像を見つけたエイプリルは、その模様をインターネットで動画配信する。“カール”と名づけたその像が世界各地に出現していることがわかると、エイプリルはその第一発見者として一躍有名人に。それが彼女の生活も人間関係も大きく変えていくことになる。

 

  1. 2. VINCE FLYNN: RED WAR    New!

Kyle Mills カイル・ミルズ

不治の病に侵されたロシア大統領クルーピンがバルト三国への侵略を計画。CIAの敏腕スパイ、ミッチ・ラップはそれを止めるべく、クルーピン暗殺の密命を帯びてモスクワに潜入する。原作者ヴィンス・フリンの他界後、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいるミッチ・ラップ・シリーズの第17作。

 

  1. 3. JUROR #3    Down

James Patterson and Nancy Allen ジェイムズ・パタースン、ナンシー・アレン

ミシシッピ州の新人弁護士ルビーは、殺人で訴えられた大学生の花形フットボール選手の事件を担当することになる。ところが、陪審員に選ばれた12人には何か隠していることがありそうだった。さらに、ルビーの元婚約者が法廷絡みの問題で助けを求めてやってくる。

 

  1. 4. TRANSCRIPTION    New!

Kate Atkinson ケイト・アトキンソン

1940年に18歳でMI5の諜報員となり、英国内のナチのシンパの会話を傍聴して記録する任務についていたジュリエット。それから10年後、BBCラジオのプロデューサーとして平穏に暮らす彼女のもとに「おまえのしたことのツケを払ってもらう」というメモが届く。

 

  1. 5. LETHAL WHITE    Down

Robert Galbraith ロバート・ガルブレイス

J・K・ローリングが別名義で執筆している私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズの第4作。2012年、ビリーという情緒不安定の男がストライクを訪ね、子供のころにほかの子供が殺されるのを目撃したと語る。調査を進めていくと、ロンドン五輪の開催に反対する活動家とビリーにつながりのあることが明らかになる。

 

  1. 6. WHERE THE CRAWDADS SING    Up

Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

  1. 7. VENGEFUL    New!
  2. E. Schwab V・E・シュワブ

元大学のルームメイトで、ある実験の結果、ともに特殊能力を持つEO(エクストラオーディナリー・ピープル)となったヴィクターとイーライ。前作から5年、仇敵となったふたりを中心に特殊能力者EOたちの戦いを描く。2013年刊行の“VICIOUS”に続く〈ヴィランズ〉シリーズの第2弾。

 

  1. 8. TIME’S CONVERT    Down

Deborah Harkness デボラ・ハークネス

パラノーマル・ファンタジー3部作〈オール・ソウルズ・トリロジー〉の続編。アメリカ独立革命のころ、前作の主人公マシューに誘われてヴァンパイアとなったマーカス。ヴァンパイアの伝統や責任に苦悩しながらも、現代のパリで、愛する女のフィービーを同族にしようとする。

 

  1. 9. SHADOW TYRANTS    Down

Clive Cussler and Boyd Morrison クライブ・カッスラー、ボイド・モリソン

オレゴン・ファイル・シリーズ第13作。2000年近く前、歴史を揺るがしかねない重大な秘密を東洋の権力者が9名の人物に分割して託したが、いまその子孫たちのあいだに争いが生じていた。秘密工作船オレゴン号の船長のファン・カブリーヨと仲間たちはインド洋へ向かう。

 

  1. 10. IN HIS FATHER’S FOOTSTEPS    Down

Danielle Steel ダニエル・スティール

ドイツでの強制収容所生活を生き延びてアメリカに渡ったジェイコブとエマニュエルの夫婦は、苦労の末に宝石業で財を成す。恵まれた環境に育った息子のマッキーは理想の人生を手にしたつもりでいたが、結婚生活に失敗、生き方を見つめなおすために両親の足跡をたどる。

 

【まとめ】

1位、2位、4位、7位に新作が初登場しました。首位に輝いたのはハンク・グリーンのデビュー作。ちなみにハンク・グリーンは『ペーパータウン』『さよならを待つふたりのために』などで知られる作家ジョン・グリーンの弟で、兄弟コンビで人気ビデオブロガーとしても活躍しています。2位のミッチ・ラップ・シリーズは、刊行順では第7、8作(作中の時系列では第1、2作)にあたる『アメリカン・アサシン』『キル・ショット』が今年、オークラ出版より相次いで邦訳刊行されています。4位は『探偵ブロディの事件ファイル』『マトリョーシカと消えた死体』で知られるケイト・アトキンソンによるスパイ小説。また先週のランキングで初登場1位となった私立探偵コーモラン・ストライク・シリーズの第4作“LETHAL WHITE”は今週5位に入りました。同シリーズの邦訳は第1作『カッコウの呼び声』と第2作『カイコの紡ぐ嘘』が出ています。

 

 

  1. 満園真木(みつぞの まき)

    東京在住の翻訳者。10月5日に最新訳書『無痛の子』(小学館文庫)が刊行されました。当欄でも常連のベストセラー作家リサ・ガードナーによるボストン市警刑事D・D・ウォレン・シリーズの第7作で、痛みを感じられない精神科医をヒロインに据えた傑作サスペンスです。訳書はほかにヴィンセント・ディ・マイオ、ロン・フランセル『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』(東京創元社)、バリー・ライガ〈さよなら、シリアルキラー〉シリーズ(創元推理文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』など。