アメリカのベストセラー・ランキング

11月4日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

  1. 1. EVERY BREATH    New!

Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。

 

  1. 2. THE NEXT PERSON YOU MEET IN HEAVEN    Down

Mitch Albom ミッチ・アルボム

米国で2003年に刊行されたベストセラー『天国の五人』の続編。前作は事故で死んだ83歳の老人エディが天国で5人の人物に会う話だったが、今回はエディが生前かかわりを持った少女アニーについて描かれ、30歳になったアニーが結婚式当日、大事故に見舞われるシーンからはじまる。

 

  1. 3. UNSHELTERED    New!

Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー

親としての務めもきちんと果たし、仕事にも熱心に打ちこんでいたが、けっきょく何もかもうまくいかなくなったウィラとその夫。発表されたばかりのダーウィンの説について、学校では教えてはいけないと言われても、妻とその家族の助けを得て信念を貫こうとする科学教師のサッチャー。べつの時代を、おなじニュージャージーの町で生きた2組の家族の物語。

 

  1. 4. A SPARK OF LIGHT    Up

Jodi Picoult ジョディ・ピコー

ミシシッピの女性専門クリニックで、銃を持った男が中にいる全員を人質にとってたてこもった。警察の人質交渉人マッケルロイが解決を試みるが、最愛の娘である15歳のレンが人質に含まれていることを知る。クリニックの中で、さまざまな事情を抱えた患者や医師、活動家らの人生が交差する。

 

  1. 5. AMBUSH    Down

James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン

ニューヨーク市警の刑事マイケル・ベネットを主人公とするシリーズの第11作。ふたつの麻薬組織の縄張り争いに巻きこまれ、ベネットは麻薬カルテルの差し向けた殺し屋に狙われる。同シリーズの短篇‘Manhunt’を収録。

 

  1. 6. HOLY GHOST    Down

John Sandford ジョン・サンドフォード

「獲物」シリーズのスピンオフにあたるヴァージル・フラワーズ・シリーズの第11作。ミネソタ州の廃れた小さな町ピニオンで、聖母の姿が浮かぶ教会が話題になり、観光客が押し寄せる。町がにわかに活気づくなか、銃乱射事件が2件起こって怪我人が出たうえ、容疑者が頭を撃たれて死亡、その後も殺人事件がつづく。

 

  1. 7. THE WITCH ELM    Stay

Tana French タナ・フレンチ

著者初のスタンドアロン作品。トビーは仕事にも恋人にも家族にも恵まれたラッキーな男だった――アパートメントに押し入った強盗ふたりから暴行を受けるまでは。心と体に傷を負い、自信を失ったトビーは、恋人とともにおじの屋敷へ移る。だが、またその屋敷で、親戚の子供が庭の楡の木の幹から人間の頭蓋骨を発見する。

 

  1. 8. VINCE FLYNN: RED WAR    Up

Kyle Mills カイル・ミルズ

不治の病に侵されたロシア大統領クルーピンがバルト三国への侵略を計画。CIAの敏腕スパイ、ミッチ・ラップはそれを止めるべく、クルーピン暗殺の密命を帯びてモスクワに潜入する。原作者ヴィンス・フリンの他界後、14作目からカイル・ミルズが書き継いでいるミッチ・ラップ・シリーズの第17作。

 

  1. 9. WINTER IN PARADISE    Down

Elin Hilderbrand エリン・ヒルダーブランド

アイオワに住むアイリーンのもとに、夫がヘリコプターの事故で死亡したという知らせが届く。アイリーンはカリブ海のセントジョン島を訪れ、愛する夫がその島で秘密の生活を送っていたことを知る。夫の死をめぐる謎と、新たな人生のはじまりを描くシリーズの第1作。

 

  1. 10. WHEN WE WERE YOUNG    New!

Karen Kingsbury カレン・キングズベリー

エミリーにプロポーズした日からノアはインスタグラムにふたりの写真をアップし、世界じゅうの何百万という人々がそれをフォローした。しかし写真は周到に演出されたもので、じっさいの生活はおとぎ話などではなかった。ふたりは離婚に同意し、ノアは家を出ていくことになる。ところが翌朝、彼が目を覚ますと、エミリーは亡くなっていて、子どもたちは成長していた。人生のセカンドチャンスを問う物語。

 

【まとめ】

今週の新作は3作でした。初登場で1位になったのは、ニコラス・スパークスの新作。言わずと知れたベストセラー作家が、さすがの強みを見せました。3位にはバーバラ・キングソルヴァーがランクインしました。『野菜畑のインディアン』でデビュー後、ノンフィクション作品や詩も発表しています。2010年には“The Lacuna”でオレンジ賞を受賞しました。10位に初登場したのは、カレン・キングズベリー。キリスト教徒の作家で、作品にもその立場が色濃く表れているようです。邦訳は、赤い手袋の奇跡シリーズ(『ギデオンの贈りもの』『サラの歌』『マギーの約束』)が刊行されています。

 

  1. 吉野山早苗(よしのやま さなえ)

    翻訳者です。〈英国少女探偵の事件簿〉シリーズなど。