アメリカのベストセラー・ランキング
11月18日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)
- 1. ELEVATION New!
Stephen King スティーヴン・キング
メイン州キャッスルロックに住むスコット・ケイリーは、身体の異変にとまどっていた。見た目は変わらないにもかかわらず、日に日に体重が減っていくのだ。一方、町ではレスビアンのカップルが開いたレストランが人々の偏見によって危機に瀕していた。体重がゼロになる日まで、どう生きるべきか――スコットのある決意が、町に変化をもたらしていく。
- 2. THE RECKONING Down
John Grisham ジョン・グリシャム
ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。
- 3. DARK SACRED NIGHT New!
Michael Connelly マイクル・コナリー
ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、深夜の署内で過去の捜査資料をあさる退職刑事のハリー・ボッシュに遭遇する。ハリーは未解決に終わった15歳の家出少女の惨殺事件が忘れられずにいたのだ。ふたりは協力して事件の真相を探りはじめるが……ハリー・ボッシュ・シリーズとレネー・バラード・シリーズの主人公ふたりがタッグを組む。
- 4. EVERY BREATH Down
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス
父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。
- 5. UNSHELTERED Down
Barbara Kingsolver バーバラ・キングソルヴァー
親としての務めもきちんと果たし、仕事にも熱心に打ちこんでいたが、けっきょく何もかもうまくいかなくなったウィラとその夫。発表されたばかりのダーウィンの説について、学校では教えてはいけないと言われても、妻とその家族の助けを得て信念を貫こうとする科学教師のサッチャー。べつの時代を、おなじニュージャージーの町で生きた2組の家族の物語。
- 6. THE NEXT PERSON YOU MEET IN HEAVEN Down
Mitch Albom ミッチ・アルボム
米国で2003年に刊行されたベストセラー『天国の五人』の続編。前作は事故で死んだ83歳の老人エディが天国で5人の人物に会う話だったが、今回はエディが生前かかわりを持った少女アニーについて描かれ、30歳になったアニーが結婚式当日、大事故に見舞われるシーンからはじまる。
- 7. A SPARK OF LIGHT Down
Jodi Picoult ジョディ・ピコー
ミシシッピの女性専門クリニックで、銃を持った男が中にいる全員を人質にとってたてこもった。警察の人質交渉人マッケルロイが解決を試みるが、最愛の娘である15歳のレンが人質に含まれていることを知る。クリニックの中で、さまざまな事情を抱えた患者や医師、活動家らの人生が交差する。
- 8. AMBUSH Down
James Patterson and James O. Born ジェイムズ・パタースン、ジェイムズ・O・ボーン
ニューヨーク市警の刑事マイケル・ベネットを主人公とするシリーズの第11作。ふたつの麻薬組織の縄張り争いに巻きこまれ、ベネットは麻薬カルテルの差し向けた殺し屋に狙われる。同シリーズの短篇‘Manhunt’を収録。
- 9. HOLY GHOST Down
John Sandford ジョン・サンドフォード
「獲物」シリーズのスピンオフにあたるヴァージル・フラワーズ・シリーズの第11作。ミネソタ州の廃れた小さな町ピニオンで、聖母の姿が浮かぶ教会が話題になり、観光客が押し寄せる。町がにわかに活気づくなか、銃乱射事件が2件起こって怪我人が出たうえ、容疑者が頭を撃たれて死亡、その後も殺人事件がつづく。
- 10. WHERE THE CRAWDADS SING Stay
Delia Owens デリア・オーエンズ
1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。
【まとめ】
先週1位のグリシャムに代わって首位の座についたのはキングの新作。160ページと短い作品ながら、アメリカ社会の分断に対する解毒剤とも言うべき、温かさと希望に満ちた物語とのことです。3位のコナリーは、レネー・バラード・シリーズとしては昨年の“THE LATE SHOW”につづく2作目。上司をセクハラで訴えたためにレイト・ショーと呼ばれる夜間シフトに左遷された女性刑事を主人公としたシリーズです。ハリー・ボッシュ・シリーズの邦訳は12月14日に『贖罪の街』(上・下)が講談社文庫より発売の予定。15位にはジョセフ・フィンクによる人気ポッドキャスト番組からの書き下ろし小説“ALICE ISN’T DEAD”が入っています。
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中谷友紀子(なかたに ゆきこ) 翻訳者。訳書にC・J・チューダー『白墨人形』、ミシェル・ペイヴァー『神々と戦士たち Ⅴ 最後の戦い』など。