アメリカのベストセラー・ランキング

120日付 The New York Times紙(ハードカバー・フィクション部門)

 

1. WHERE THE CRAWDADS SING    Up
Delia Owens デリア・オーエンズ

1950年代、ノースカロライナの田舎町。幼くして家族に捨てられた少女キヤは、町の人々の偏見にさらされながら沼地に隠れ住んでいた。やがて、たくましさと繊細さを併せもつ美しい娘に成長し、ふたりの若者との交流によって心を開いていくが、町で殺人事件が発生し、疑いの目を向けられる。

 

2. VERSES FOR THE DEAD    New
Douglas Preston and Lincoln Child ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド

FBI特別捜査官ペンダーガスト・シリーズの第18作。ペンダーガストは連続殺人事件の捜査のためにニューヨークからフロリダへ飛ぶ。犯人は被害者の心臓をえぐり出し、暗号めいたメモとともに墓石のそばに残していた。調べてみると、いずれの墓石もずいぶん前に自殺した女性のものばかりだった。

 

3. THE RECKONING    Down
John Grisham ジョン・グリシャム

ミシシッピ州カントンの名士ピート・バニングは、第二次大戦のヒーローとして地元住民の尊敬を集めていたが、ある日教会に出向き、友人でもある牧師を射殺してしまう。弁護士は懸命に弁護を試みるが、ピーターは、秘密を抱えたまま墓場へ行くことを望んでいるかのように、動機を一切語ろうとしなかった。その秘密は、彼がヒーローとなった戦争の中に隠されていた。

 

4. FIRE AND BLOOD    Down
George R.R. Martin ジョージ・RR・マーティン

〈氷と炎の歌〉シリーズの外伝で、ターガリエン家の歴史をつづった連作中篇集の第1集。『七王国の玉座』の約300年前、征服王エイゴン1世によるウェスタロス大陸侵攻に始まるターガリエン王朝の興亡を描く。この外伝シリーズは全2巻となる予定。

 

5. EVERY BREATH    Down
Nicholas Sparks ニコラス・スパークス

父親が難病と診断されたばかりのホープは、ボーイフレンドとの喧嘩をきっかけに将来について考えようと、ノースカロライナ州サンセット・ビーチにあるコテージに向かう。一方、ジンバブエで生まれ育ったシングル・ファーザーのトゥルも、父親だと名乗る人物から手紙を受け取り、はじめてサンセット・ビーチを訪れる。そこで出会ったふたりは惹かれあうが、それぞれの家族のことを考えて苦悩する。

 

6. CIRCE    Up
Madeline Miller マデリン・ミラー

ギリシャ神話に登場する太陽神ヘリオスの娘キルケー。恋人を奪った海のニンフ、スキュラを魔法で怪物に変えた彼女はゼウスの怒りを買い、アイアイエー島に追放されるが、そこでオデュッセウスと出会って恋に落ちる。デビュー作『アキレウスの歌』に続き、ギリシャ神話に題材をとった著者の長編第2作。

 

7. NINE PERFECT STRANGERS    Up
Liane Moriarty リアーン・モリアーティ

都会に疲れた人々に完全な静けさを提供する、人里離れた高級スパリゾート施設〈トランキリウム・ハウス〉。“10日間であなたが変わる”プログラムに申し込み、共に滞在することになった、かつてのベストセラー・ロマンス作家フランシスと8人の宿泊客は、並外れた魅力を放つオーナーと施設のべつの顔にはまだ気づいていなかった。

 

8. TARGET: ALEX CROSS    Down
James Patterson ジェイムズ・パタースン

刑事アレックス・クロス・シリーズ第26作。急死した大統領の葬儀に参列していた大物上院議員が狙撃され死亡。クロスは新大統領じきじきの命を受け、FBIとシークレット・サービス合同の捜査チームを指揮して犯人を追うことになるが、まもなく第二の暗殺事件が発生する。

 

9. A DELICATE TOUCH    New
Stuart Woods スチュアート・ウッズ

ニューヨーク市警の刑事から弁護士に転じたストーン・バリントンを主人公とするシリーズの第48作。古い知人から連絡があり、亡き父のあかずの金庫室をあけてもらいたいという奇妙な依頼を受ける。専門家の手を借りてあけてみたところ、莫大な現金に加え、犯罪の証拠となる書類やさまざまな秘密が何十年もそこで眠っていたことが明らかになる。

 

10. DARK SACRED NIGHT    Up
Michael Connelly マイクル・コナリー

ロス市警ハリウッド分署の女性刑事レネー・バラードは、深夜の署内で過去の捜査資料をあさる退職刑事のハリー・ボッシュに遭遇する。ハリーは未解決に終わった15歳の家出少女の惨殺事件が忘れられずにいたのだ。ふたりは協力して事件の真相を探りはじめるが……ハリー・ボッシュ・シリーズとレネー・バラード・シリーズの主人公ふたりがタッグを組む。

 

【まとめ】

2019年はじめての当コーナーの更新です。年末から年始にかけては例年どおりあまり動きがありませんでした。今週は2位と9位に新作が2つ、いずれもシリーズ作品がはいっています。また6位のマデリン・ミラーは、20184月の初登場から数週間で10位圏外となりましたが、9月に1週だけ再浮上、今回またしてもトップ10内に返り咲くという粘り強さを見せています。なお、11位以下の新作としては、11位にタミー・ホウグの“THE BOY”がランクイン。ルイジアナの警察で働く夫婦を主人公としたスリラーです。

 

 

 

  1. 国弘喜美代(くにひろ きみよ)

    東京在住の翻訳者、南東京読書会の世話人のひとり。訳書にカレン・クリーヴランド『要秘匿』など。エドワード・セント・オービンのパトリック・メルローズ・シリーズ(手嶋由美子さんとの共訳)が3巻まで出ていて、今月22日に4巻が刊行されます。4巻『パトリック・メルローズ4:マザーズ・ミルク』はブッカー賞の最終候補にもなった作品です。本年もどうぞよろしくお願いします