第三回翻訳ミステリー大賞二次投票要項

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションのお知らせ その1

20110910144630.jpg 田口俊樹

 全国ン百万の(妄想です)翻訳ミステリーファンのみなさん!

 来月14日、いよいよ第三回翻訳ミステリー大賞授賞式およびコンベンションを開催します!

 瀬名秀明氏による記念トークと授賞式の会場は畳敷きの大広間。100人は坐れます。現在お申込みくださった方は50名弱。まだまだ余裕がありますが、ご出席をお考えの方はお早めにお申し込みいただければ幸いです。いや、もし迷っておられる方がおられるようなら、人間迷いは禁物、今すぐお申し込みを!

 コンベンションでは私、「ハードボイルド部屋」を担当いたしますが、ハードボイルドとは何かといったようなことが正面切って語れるほどのウンチクなどもとよりないので、だから喫煙部屋の別称みたいなものなんですが、そこで紫煙を燻らし(さすがに古い?)あの探偵、かっこよかったよね、みたいな話がみなさんと和やかにできればと思っています。

 また、煙でもうもうとなるまえに、あるいは酔っぱらっちまうまえに、時間を区切り、部屋の一隅で読書会もやります。課題図書は拙訳で恐縮ながら、ローレンス・ブロックの「八百万の死にざま」。その読書会が本サイトに不定期掲載している「スカダー再読——失われたおじさんのかっこよさを求めて」の特別篇になればと思っています。今や絶滅危惧ジャンルみたいなハードボイルドではありますが、ご関心のある方は是非!

 次に、全国ン万の(そんなにいないか)全国ン千の(これも多いか)目一杯水増しして全国ン百の文芸翻訳家のみなさん!

 大賞の第二次投票の締め切りは今月末。もうお決まりでしょうか? あと一冊読めば投票できるという方もおられるのでは? そういう方には、ここは何卒あとひと踏ん張りしていただけますよう、お願い申し上げます。どうかどうかよろしく!

 みなさんのご支援あってこその本大賞、本サイトです。

 年に一度のお祭り。おひとりでも多くの方々のご参加をお待ちしています!

(たぐちとしき:ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズ、バーニイ・ローデンバー・シリーズを手がける。趣味は競馬とパチンコ)

  20111003173346.jpg  横山啓明

 翻訳ミステリー大賞二次投票の締切りが迫ってきました。まだ最後の一冊、

途中です。もう少しで読み終わるけれど。悩むなぁ〜。どれにしよう。おもしろ

い本ばかり。自分の好みではないかなと思って読みはじめたあの本は、

一気に物語世界に引きこまれ、巻を措く能わずだったし。ぎりぎりまで迷う

ことにしましょう。

 4月14日のコンベンションで結果が発表されるわけですが、どれが選ばれるのか

楽しみです。

 コンベンション、参加するのが怖いって感じている方、いませんか? 

堅い話とかマニアックな世界に浸るようなイベントではないので気楽に

遊びに来てください。楽しそうなことをやってるんで、のぞきにいくかって

感じでけっこうです。パーティーといおうか、文化祭といおうか。お祭り好きの

みなさんは、ぜひ! 

 えっ? ひとり? 気軽に声をかけてください。お相手いたします。

あなたを魅惑の世界に、ってわけにはいきませんが、楽しくお話しましょう。

(よこやまひろあき:AB型のふたご座。音楽を聴きながらのジョギングが日課。主な訳書:ペレケーノス『夜は終わらない』、ダニング『愛書家の死』ゾウハー『ベルリン・コンスピラシー』アントニィ『ベヴァリー・クラブ』ラフ『バッド・モンキーズ』など。ツイッターアカウント@maddisco

20120301171436.jpg 鈴木恵

 オルハン・パムク『わたしの名は赤』は、16世紀オスマン帝国の首都イスタンブルで起きた殺人事件の物語なのだが、むしろ細密画の物語といってもいいように思う。当時のイスラムの細密画というのがどういうものか、どれほど豊かな歴史を持っていたのかが、これを読むとよくわかる。西欧絵画が現実の姿をあるがままに写そうとするのに対し、細密画はいわばプラトン的イデアの世界を描こうとするのである。両者はまさに正反対といえる。

 とはいえ、これはどちらが優れているという物語ではないと思う。世界が世界であるためには西と東が必要であるように、両方が必要なのだ。それはミステリーでも同じだろう。一方にかたよらずにさまざまな作品を読める環境、それを育てるために「翻訳ミステリー大賞」は力になれるはず。有資格者のみなさんは、2次投票もよろしくお願いします。

(すずきめぐみ:文芸翻訳者・馬券研究家。最近の主な訳書:『生、なお恐るべし』『ピザマンの事件簿2/犯人捜しはつらいよ』『ロンドン・ブールヴァード』。最近の主な馬券:なし orz。ツイッターアカウント@FukigenM

  20111003173742.jpg  白石朗

 騙し絵というのがありますね。おばあさんの横顔だと思っていると、ちょっとした目の移動で愛らしい少女の横顔に見えてきたり。あるいはその逆だったりする絵が代表的なのかな。

http://www.geocities.jp/meto178/illusionline_girl_or_old.html

http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/v/ladyAndOldWoman/ja/index.html

 1冊の小説がこの騙し絵のように思えることがあります。最初に読んだときにはどうにもおもしろく思えなかった作品が、ほかの人のひとことで様相をたがえ、うかつさにほぞを噛みつつ読みなおすと、初読時には無駄な枝葉とばかり思っていた部分が燦然と輝きはじめた経験が、ぼくには何度もあります。おばあさんだと思ってたら、ちょっと向こうむいてる女の子だったのか! ま、初読でキモが見抜けないほど眼力がないせいもあるんですが、それでもほかの人の読み方、楽しみ方の力を借りながら、好きな本、読み返したい本が少しずつでも増えていくのは楽しいことです、はい。

 ですから、4月14日の「第3回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション」が、そんなふうに本好き同士で本のいろいろな読み方や「おもしろがり方」をぞんぶんに語りあえる場になればいいなと思います。みなさまのふるってのご参加を、事務局一同お待ちしています。

(しらいしろう:1959年の亥年生まれ。進行する老眼に鞭打って、いまなおワープロソフト「松」でキング、グリシャム、デミル等の作品を翻訳。最新訳書はデミル『ゲートハウス』、キング『アンダー・ザ・ドーム』。ツイッターアカウント@R_SRIS

 20120102101224.jpg 越前敏弥

 ええっと……

 白状すると、わたくし、今回の翻訳ミステリー大賞の1次投票に、この長屋メンバーでただひとり参加していません。去年と今年は公私にわたる諸事情から自由に本を読める時間が少なくなっていて、ベスト5を選べるだけの冊数を読んでいないと自己診断したからです。あれこれ迷いましたが、今回は自分自身でも納得がいかないので、辞退させてもらうことにしました。時間の余裕ができたら、また必ず投票するとここで宣言します。

 ただ、それでも、決められた5作を読んで1作を選ぶという2次投票には今年ももちろん参加します(というか、いま投票しました)。数か月の時間をもらって5作(まあ、今回は長いのが多くて、しかもその一因が自分の訳書だったりするんですが)を読むという条件ですから、さまざまな事情から1次に投票できなかった有資格者の皆さんも、ぜひ2次には投票してくださるようお願いします。投票締め切りまで、まだ時間はあります。

 4月14日の授賞式&コンベンションでは、各地方の読書会でお会いしたかたがたや、今後お会いするであろうかたがたに、ひとりでも多くお目にかかれたらうれしいです。通の人も初心者の人も楽しめる、年に一度の一大イベントへどうぞお越しください。

(えちぜんとしや:1961年生。おもな訳書に『解錠師』『夜の真義を』『Yの悲劇』『ダ・ヴィンチ・コード』など。趣味は映画館めぐり、ラーメン屋めぐり、マッサージ屋めぐり、スカートめくり[冗談、冗談]。ツイッターアカウント@t_echizen。公式ブログ「翻訳百景」 )

20111003174437.jpg 加賀山卓朗

 翻訳家の皆さんの票をただ集計しただけなのに、今回の翻訳ミステリー大賞候補5作は驚きのバラエティ。しかもバランスがとれている。世の中うまくできてますね。リアルタイム開票やさまざまなイベントも楽しみですが、当日は東京の隠れ家みたいな旅館であれこれ語らいましょう。私は北方水滸伝について語りたいな(違)。

(かがやまたくろう:ロバート・B・パーカー、デニス・ルヘイン、ジェイムズ・カルロス・ブレイク、ジョン・ル・カレなどを翻訳。運動は山歩きとテニス)

20111003174611.jpg 上條ひろみ

 長屋の兄さん方も書いてくださっていますが、第三回翻訳ミステリー大賞の二次投票の締め切りが近づいてまいりました。翻訳者のみなさま、締め切りは今月末、3月31日です。一次投票を逃した方も、二次投票のみの参加が可能ですので、何はともあれ投票を。そしてみんなで翻訳ミステリー界を盛りあげていきましょう。

 さて、無事投票していただいたあとは、いったい今年の受賞作はなんだろう?と胸をふくらませて、4月14日の翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションに集うのが吉。わが国の最高学府にほど近い、アカデミックな雰囲気のアンティークな和風旅館で、どうか熱いリアルタイム開票の感動を味わってください。

 そして、記念トークや読書地図で楽しんだあと、ぜひお立ち寄りいただきたいのが「コージー部屋」です。えっと、ここはわたしの担当なので、詳しく説明させていただきますね。

「コージー部屋」とは、コージーミステリーを愛する人たちや興味がある人たちが集い、お茶とお菓子を楽しみながら、コージーのおもしろさ、ちょっとトホホなところ、でも憎めないところなどについて大いに語り合う部屋。第一回でもやったのですが、好評につき、帰って参りました。今年は当サイトの連載【小財満の、俺、このコージー連載が終わったら彼女に告白するんだ】でおなじみのミステリ書評家の小財満さんとともに、みなさまをお待ちしています。

「コージー部屋」では、自作・市販を問わずお菓子の差し入れ大歓迎。とくに今年は、コージーミステリーのレシピを見て作ったお菓子を持ち寄って(持参できるものにかぎります)、みんなで試食会!みたいな流れになったらうれしいなと思っているので、お菓子作りが好きな方はぜひチャレンジしてください。もちろんアレンジしたものやオリジナルでもいいですよ。コージーファンだけでなく、コージーの楽しさに目覚めたい方、お酒は苦手だからお茶とお菓子がほしいわという方も、ぜひのぞいてみてくださいね。コージーの意外な楽しみ方や、注目の作品など、耳寄りな情報が聞けるかもしれませんよ。

(かみじょうひろみ:神奈川県生まれ。ジョアン・フルークの〈お菓子探偵ハンナ・シリーズ〉(ヴィレッジブックス)、カレン・マキナニーの〈朝食のおいしいB&Bシリーズ〉(武田ランダムハウスジャパン)などを翻訳。趣味は読書とお菓子作り)

■翻訳ミステリー長屋かわら版・バックナンバー■