去る10月19日(金)に第3回「真夏の読書探偵」作文コンクールの最終審査結果を発表しましたが、きょうとあすは最優秀作品賞を受賞なさった3人のかたの作品全文を掲載します。

 スペースの都合で、まずおふたり(木下雄太さん、山内優莉さん)の作品をご紹介し、あすおひとり(小平采果さん)の作品をご紹介します。ご了承ください。

木下雄太さん(小1・東京都) 「あおい目のこねこ」

    お読みになった本——『あおい目のこねこ』 エゴン・マチーセン著、せたていじ訳、福音館書店

小平采果さん(小4・神奈川県) 「宇宙への秘密の鍵」

    お読みになった本——『宇宙への秘密の鍵』 ルーシー&スティーヴン・ホーキング著、さくまゆみこ訳、岩崎書店

山内優莉さん(小5・埼玉県) 「モーツァルトはおことわり」

    お読みになった本——『モーツァルトはおことわり』 マイケル・モーパーゴ著、さくまゆみこ訳、岩崎書店

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【木下雄太さんからの受賞コメント】

とてもうれしいです。なぜかというと、そういうことがいままでなかったからです。

きっとさくぶんをいっぱいかいたからだとおもいます。

さくぶんをかいたときはちょっとたいへんでむずかしかったです。でも、がんばってよかったです。

『あおい目のこねこ』のいちばんおもしろかったところは、あおいめのこねこがさんぐらすをかけたところです。

これからもぼくは、ほんをたくさんよんでいきたいです。

「あおいめのこねこ」をよんで

木下 雄太

 ぼくは、「あおいめのこねこ」のひょうしやさしえをみて、とてもきにいりました。とくに、ひょうしのあおいめのこねこがいばってるみたいでおもしろいとおもいました。また、おはなしをよんでみると、なかまはずれだったあおいめのこねこがさいごにはなかまにはいれてよかったとおもいました。

 このほんのあらすじは、あおいめのこねこが、おなかをすかせないためにねずみのくにへいっぴきでたびだすおはなしです。たびをしているとちゅうで、あおいめのこねこはいろいろなどうぶつにであってびしょぬれにされたり、からかわれたりしていたが、たまたまいぬにしがみつき、ねずみのくににつくことができました。それをきいろのねこたちにおしえてあげてきいろのねこたちにみとめられるおはなしです。

 ほんについてかんがえたことが、三つあります。

 まず、こねこについてよくわかったことがあります。それは、ねずみのくににいきたいことです。なぜならおなかいっぱいすきなものをたべることがうれしいからです。ぼくはオクラや、きゅうりなどのみどりのものがすきなので、おなかいっぱいたべるとうれしくなるとおもいます。

 つぎに、もしもじぶんがあおいめのこねこならどうするかをかんがえました。ぼくは、ねずみのあしをさがします。そのあしあとをさがせばかならずねずみのくにがみつかるからです。

 さいごにこのほんをよんで、きづいたことがあります。それは、きいろのめのこねこが、あおいめのこねこのきもちをかんがえていないとおもって、それはわるいとおもったことです。なぜなら、あおいめのこねこがねずみのくにをみつけたことを、きいろのめのこねこたちにつたえたときに、うそかわからないのにうそつきよばわりしたからです。もしもぼくがそれをされたら、やなきもちがするとおもいます。

 このことから、このほんをよんだひとは、はなすときにあいてのきもちをかんがえてほしいとおもいました。そうすれば、いやなきもちをするひとがいなくなってみんながきもちよくすごせるとおもうからです。

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【山内優莉さんからの受賞コメント】

「優莉!すっごいよ〜!」 

夜中に母に起こされました。メールを見て私もびっくり!うれしくてドキドキしました。

次の日、姉がケーキを買ってきてくれて 家族でお祝いをしてもらいました。

この本は、ストーリーだけでなく絵もとても美しく私はすぐに物語の世界に引き込まれていきました。

これからも世界中のたくさんの本を読みたいです。ありがとうございました!

モーツァルトはおことわりを読んで

山内 優莉

 私は三才のころからピアノを習っています。モーツァルトの曲は明るく軽かいで好きな曲ばかりです。例えば、かたくるしいバッハやむずかしいテクニックのいるリストなら、私もちょっとおことわりかなぁと思います。けれどなぜ、モーツァルトがおことわりなのだろうと不思議に思いながら読み始めました。

 ヴェニスの床屋の息子、パオロ・レヴィ。母がずっとかくしていた大切なバイオリン。パオロはそれを見た時、世界の全ての音楽がこのバイオリンの中にあり、とじこめられていて出てきたがっていると感じたのでした。けれども、とじこめられていたのは音楽だけでなく、両親をふくむユダヤ人の悪夢のような悲しいひみつだったのです。

 私はユダヤ人に会ったことがあります。二年前にニューヨークに旅行に行った時です。シルクハット、せ広、くつ全て真っ黒にそろえた男の人達。みんな同じ不思議なかみ型をした子供達。その人達だけの社会があるみたいで、私はこわくて近寄れませんでした。

「あんな風になったのには、理由があるのよ。」そう教えてくれたのは、ローレンと言う姉の友人の弁ご士さんでした。かの女もユダヤ人です。ローレンはおしゃれですてきな人です。私は同じユダヤ人でも、どうしてこんなにも、分かれているのだろうと思いました。ローレンが言っていた理由が、この本を読んで、少し分かった気がします。

 もっとくわしく知りたくて、私なりに調べたり、「ライフ・イズ・ビューティフル」と言う映画を見たりしました。

 第二次世界大戦中、ヒットラーひきいるナチスドイツは、ユダヤ人と言う理由だけで、その人達をとらえ、強制収容所に入れました。労働できない大半の人々はガス室に送られ、そこで殺されてしまいました。何百万人の人達がです。

 私は、それが大昔の信長や家康の戦国時代ではなく、たった六、七十年前のそ父母の時代だということにもおどろきました。

 パオロの両親やバンジャマンは、楽器が演そうできるという理由で生きのびることができました。しかし、想像もできないようなつらい思いをするのです。オーケストラは、汽車からおりてくる仲間のユダヤ人達にきょうふをやわらげるための道具だったのです。多くの人がそのままガス室に送られました。その時演そうしていたのが、モーツァルトの曲だったのです。

 その時かなでた音色ってどんな感じだったのだろう。

 私は発表会などで演そうする時、(どうか聴いて下さい)と心でとなえながらおじきをします。はく手をもらうと、とても気持ちが良いです。でも、イライラしていて、ピアノにあたりきつい音を出しおこられることもあります。また、大大大大好きな嵐の曲をきくと、ワクワクして、大声で歌いおどり出してしまいます。音楽は、イヤイヤする物ではなく、心から音を楽しむことだと思うのです。

 でも、パオロの両親やバンジャマンは殺されないように、つらい思いをかくして演そうをしなければならなかったのです。いくらモーツァルトの曲でも、明るい音ではなく、悲しみをごまかした音だったと思います。かれらは、楽器をぶきに戦っていたのです。

 その後、パオロの父は音楽をふういんし、母は、バイオリンを大切にかくし、バンジャマンは、音楽を続けました。

 そして、そのバイオリンは、三人をつなげパオロによってすてきな音をかなでることができたのです。父との約束で、モーツァルトだけは、ひきませんでした。

 五十才の誕生日で初めてひくモーツァルト。父達も、天国で優しい音色をきき、感動することでしょう。きっと今までとじこめられていた、悲しく苦しい記おくも、うすれていくはずだと思います。

 私もそのコンサートに行って、パオロのバイオリンを聴いてみたいです。

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 最優秀賞を受賞なさった3人のかたには賞状と図書カード5,000円ぶんを、優秀賞の3人のかたには賞状と図書カード1,000円ぶんを近日中にお送りします。

 また、今回応募してくださった全員に、予選委員からの個別コメントとともに、参加賞としてこのクリアファイルをお送りします。お楽しみに!

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 作成は今年もデザイナーの村上武彦さんにお願いしました。ご協力ありがとうございました。