翻訳出版において、重要な版権ビジネスの場に、ブックフェアがあります。
読者のみなさんのなかにも、東京国際ブックフェアに行かれたかたもいらっしゃると思いますが、ああいったイヴェントが世界各都市で開催されているのです。みなさんが見るのは、おもに国内の出版業界の見本市の部分だと思いますが、裏では国際的な版権取り引きが行なわれているのです。
翻訳出版界での主要なフェアとしては、アメリカで行なわれる〈ブックエキスポアメリカ〉と、英国ロンドンのブックフェア、イタリア・ボローニャの児童書中心のフェアなどがあげられますが、なかでも最大なのが、毎年10月上旬に開催されるドイツ・フランクフルトのブックフェアで、ビッグサイト何個分みたいな広大な会場に、文字どおり世界中から参加者が集結します。今年は、10月14日〜18日までの開催でした。
世界中の出版社が、このフェアに今後の目玉商品をぶつけてきます。かつては、期待度だけで高額での版権売買があったりしたそうですが、それも今は昔。とくに経済危機後の今年は、大手が出展を縮小したり、エージェントが早めにミーティングを切りあげて帰国したりと、ちょっとさびしい様相でした。
そのなかでも話題作はあって、今回よく耳にした注目作品は「ヴァンパイアと魔女のロマンス」。それだけ聞くと、はぁ? という感じかもしれませんが、これがけっこう鳴り物入りで、ウンチクも展開もすごいんですって。すこし先には、日本でも話題になってるかもしれませんよ。
扶桑社(と)
【フランクフルトの会場内になぜかあった鳥居】