『螺鈿の四季』/The Lacquer Screen

ロバート・ファン・ヒューリック/Robert Hans van Gulik

和爾桃子訳

ISBN:978-4-15-001832-0 刊行日:2010/01/07

ハヤカワ・ミステリ 1,365円(税込)

神の探偵に、休息のときはなし

初任地での激務に疲れたディー判事は、都出張の帰途おしのびで風光明媚の地、威炳の町に滞在する。副官のチャオタイだけを同行させ、ゆっくりと骨休めをしようという魂胆だ。しかし神の探偵に休息はなかった。挨拶のため現地の知事を訪問すると、なにやらその挙動があやしい。どうやら家庭内に問題を抱えているようだ。屋敷内に飾られた漆塗りの屏風が原因らしいのだが……そのうえ、町では無頼漢に間違われ、泥棒仲間に誘われてしまう。さらに城外の沼地で女性の死体が発見され、判事はたちまち事件の渦中へ。ついにシリーズ全長篇の新訳刊行完成!

『拮抗』/Even Money

ディック・フランシス&フェリックス・フランシス/Dick Francis, Felix Francis

北野寿美枝訳

ISBN:978-4-15-209098-0 刊行日:2010/01/07

ハヤカワ・ノヴェルズ 1995円(税込)

知られざるブックメーカー業界の内幕と、錯綜する謎を描く、競馬シリーズ最新作。

亡き祖父から受け継ぎ、競馬専門のブックメーカー業を営むネッド・タルボット。女王陛下が観戦する英国最大の競馬レース“ロイヤル・アスコット”の初日、馬券を売っている彼の前に、父親のピーターと名乗る男が現われた。

両親は自動車事故で死んだと祖父母から聞かされていたネッドは、にわかに信用することはできなかった。男は36年前にネッドの母が死んだあと、当時一歳のネッドを残してオーストラリアに渡ったという。その驚くべき話が終わった直後、二人の前に暴漢が出現した。「金はどこだ」とすごむ男に抵抗したピーターは、刺殺されてしまう。

警察のDNA鑑定の結果、ピーターが父親であることが確定するが、同時にネッドは警察から思わぬことを告げられる。ピーターが36年前に妻を殺した容疑者だというのだ。彼はその真偽と父が帰国した目的を探るが、やがて暴漢が父の持ち物を探していることを知る。さらに、別の男が父の持ち物を狙って彼の家に侵入する事件も起きた。父はいったい何をしていたのか? 競馬場内が通信不能になる事件が続発する中、病気の妻をいたわりながら謎を追うネッドに、さらなる苦難が!