『彷徨う絆』/BREAKNECK

エリカ・スピンドラー(Erica Spindler)/林啓恵・訳

凍てつく一月の早朝、高級アパートメントの一室で首を折られた若い男の他殺体が発見された。被害者はコンピュータ科学を専攻する地元大学生。凶悪犯罪課の女性刑事コンビ、MCとキットは、サイバー犯罪絡みの線から捜査を始める。そんな矢先、MCの婚約者が何者かに射殺され、時を置かずして大学生のいとこも惨たらしく殺される。それはまさに幸せの絶頂——彼女の婚約を祝うパーティ直後の出来事だった。やがて三件の殺しの裏に浮上した”ブレークネック”という謎の言葉。第四、第五の被害者が出るなか、絶望の淵から犯人を追うMCにも絶体絶命の危機が……。ラブ・サスペンスの女王が放つ話題作!

『ホワイトチャペルの雨音』/Dark Desires

イヴ・シルヴァー(Eve Silver)/高橋恭美子・訳

裕福な家に生まれながらも、数奇な運命に翻弄され、ロンドンで路上生活を余儀なくされた娘ダーシー。彼女は幸いにも、ダミアンという魅力的な医師のもとで働くことになった。ダミアンは解剖学も研究しており、あるときダーシーに画才があることを知ると、解剖した死体の一部の絵を記録のために描いてくれるよう依頼した。ダミアンに心ならずも惹かれていたダーシーは承諾するが、やがて恐ろしい疑念に囚われる。折しも発生していた連続殺人事件の犯人こそダミアンで、彼女が描く死体は事件の被害者かもしれなかったのだ! ヒストリカル・ロマンスの新星、日本初登場。

『炎の山稜を越えて? アウトランダー18』/A BREATH OF SNOW AND ASHES

ダイアナ・ガバルドン(Diana Gabardon)/加藤洋子・訳

秋、ウィスキー造りの季節になった。数週間ぶりにジェイミーとリッジのわが家に戻ったロジャーは家族の無事に安堵を覚えずにはいられなかった。行き道に遭遇した無残に奪われた幼い命のことがずっと頭から離れなかったのだ。何者かによる相次ぐ悪質な焼き討ち事件は、誰の心にも不穏な影を落としていた。そんななかリッジでも見過ごすことのできない気がかりな問題が……。ブリアナが打ち明けたマーサリについてのある心配事——。事情を聞き、真相を確かめるべく妊娠中の彼女に会いに向かったクレア。だがそこで、思いもよらぬ怖ろしい事態に巻き込まれてしまう——。

『妖精王女メリー・ジェントリー2 嘆きの女神の秘密 上・下』/A Caress of Twilight

ローレル・K・ハミルトン(Laurell K. Hamilton)/阿尾正子・訳

晴れて妖精国の正式の王女にして、王位継承者のひとりと認められたメリー。しかし、宮廷での暮らしを選ばず、綺羅星のごとき近衛兵たちと、ロサンジェルスでの生活を続けていた。もうひとりの王位継承者、ケル王子一味に執拗に命を狙われながらも探偵事務所での仕事に復帰したメリーに、ある日変わった依頼人が訪れる。それは百年前に宮廷を追われ、今はハリウッドの女神として君臨している美貌の女優メーヴからの使者だった。謎めいた呼び出しにただならぬ秘密のにおいを感じたメリーは、メーヴの屋敷に向かうのだが、そこで聞かされたのは……。好評シリーズ待望の第2弾!

『最後の吐息』/Last Breath

ジョージ・D・シューマン(George D. Shuman)/上野元美・訳

死者の手を握ると、その人が死ぬ直前の18秒間を読み取ることができるという不思議な能力を持つ盲目の美女シェリー。今までこの能力で様々な謎を解いてきた彼女だったが、前回の事件の後、極度の鬱状態に陥り、しばらく一線をしりぞいていた。しかし、恩人に乞われてある3人の女性の遺体発見現場に赴く。久しぶりに表舞台に現れたシェリーにマスコミが注目、報道されたことで、不測の事態が起こってしまう。犯人はシェリーの能力を利用し捜査陣を翻弄する。命の危険を感じつつも、新たな犠牲者を増やさないため、シェリーは犯人に立ち向かうが……。元ベテラン警察官が描く人間味豊かなミステリー。

『オルモスト・ムーン 月が欠けゆく夜』/The Almost Moon

アリス・シーボルト(Alice Sebold)/イシイシノブ・訳

自分の母親を殺すのは簡単なことだった……。47歳のヘレンは88歳になる母を衝動的に殺してしまった。母は父が死んで以来ここ20年ほど一歩も家から出たことがない。母の世話は父の死以来、ヘレンの義務だった。元々変わり者だった母は年老いてますますヘレンに毒づくようになり、母への献身的な介護が愛によるものか、憎しみによるものかわからなくなってしまっていた……。

ついに究極の選択をとってしまってからの24時間に錯綜するヘレンの47年間の母との日々と、ヘレン自身の娘と夫との生活、次第に静かに壊れていくある女性の気持ちを克明に追った問題作。