機械オンチのくせに新しいもの好きで、これまでも数々の「ハイテク・ガジェット」を買っては結局、粗大ゴミにしてきました。

 PDAの元祖、アップルのNewtonは、今のiphoneの4倍くらいの大きさで日本語対応はしておらず、とても実用的とは言えない代物。当時としてはゴミ箱に書類を捨てる時の動作が新鮮で悪戯書きをしては捨てて遊んだくらい。その後、3台くらい買ったソニーのClieはスケジュールや住所録の管理に役にたったけれど、残念ながら生産中止に。

 そんな私が昨年、懲りずに購入してしまったのがアマゾンのkindle。ご存じのように英語にしか対応していないのですが、翻訳ものの編集者にとってはなかなかの優れものなんです。

 これまでワードファイルやPDFで届いていた「タイプ原稿」は、全部プリントアウトして、大量の紙の束を持ち歩く必要がありました。重たいし、どこまで読んだかわからなくなったり、順番がグチャグチャになって大変でしたよね。

 そんなデータをkindleに入れればスマートに検討本を読むことができるんです。おまけに音声で読み上げてくれる機能もついている(男性・女性の切替可)ので黙読するスピードよりずっと早く読める(集中していないと英語の聞き取りがチトきびしいけど)。

 さらに、英語にしか対応していないkindleで日本語を読む裏ワザが。じつは暮れの翻訳忘年会で白石朗さんに教えてもらったんですが、日本語の文書もPDFにして取り込めば画像として表示されるんです。いったん画像になってしまうと活字の大きさを変えることができないので、あらかじめかなり級数を大きくしてPDFを作る必要はありますけど。

 原書のリーディングから割付までこれ一台で仕事が全部できる日も遠いことではないかもしれません。その前にkindleのような電子書籍のシステムが確立すれば、出版社もいらなくなるかも!?

執筆者・早川書房編集部C