皆さま、どうも初めまして。武田ランダムハウスジャパン、編集部のAです。

 武田ランダムハウスジャパン? 

 はて、聞きなれない出版社だな。

 それって岡田ジャパンみたいなこと?

 そう思われた方も多いのではないでしょうか。この4月よりランダムハウス講談社は社名変更し、「武田ランダムハウスジャパン」として新たなるスタートを切ることになりました。

 文庫も4月にリニューアルし、「ランダムハウス講談社文庫」改め「RHブックス・プラス」となります。ラインナップについては変わらず、これまでにご紹介してきた著者やシリーズも引き続き刊行していきます。編集部としては今まで以上に楽しい本作りに邁進していく所存です!!!

 と、なんだか肩に力の入った、堅苦しいお知らせですみません。でもついつい力が入ってしまうのには理由があります。じつは私は文庫創刊時のメンバー。文庫には並々ならぬ思い入れがあるのです。

 思い起こせば5年前。中途採用で入社したばかりの私に前社長がこう告げました。「来年の秋に文庫を創刊してよ」と。……え? それってあと半年しかないし、私まだ編集経験2年の駆け出しなんですけど。しかも編集担当はふたりだけ!? しかし、うろたえる私などお構いなしに文庫創刊の命は下されたのです。

 そこからは怒涛の日々。同じくまだ若い先輩編集者(女子)と組んで、あちこち走り回りました。文庫のコンセプト決めから始まり、ターゲット読者層と刊行ジャンル決め、そして用紙や文庫の大きさ決め(文庫サイズとひと言でいっても、各出版社で微妙に大きさが違うのをご存じでしたか?)。

 大枠が決まったら、今度は出す本の企画と翻訳依頼です。翻訳者が集うパーティでは、大勢の翻訳者さんに(無理むりなスケジュールで)お願いして回り、汗だくになりました。その姿を見た他社の編集者に「ランダムが翻訳者狩りをしてるよ」とからかわれたこともありましたっけ(笑)。会社で仕事をする日は毎晩のように終電かタクシー帰り。誰もいない深夜のオフィスで女子ふたり、やさぐれたこともありました。お肌も荒れました。

 そんな若輩な担当編集者たちを見るに見かねた(?)業界内の優しい方々……翻訳者、著作権エージェント、そして書評家の方々から多大なるお力添えをいただき2005年9月、「ランダムハウス講談社文庫」は無事に創刊することができたのです。初めて書店さんの棚に「ランダムハウス講談社文庫」の棚が出現したときの感動たるや! 記念すべき刊行第1弾のなかには、コージー・ミステリの『お茶と探偵1 ダージリンは死を招く』もありました。いまではうちのコージー・ミステリの看板シリーズとなり、今年の6月には9巻目にあたる『ホワイト・ティーは映画のあとで』が刊行されるまでに成長してくれています。読者の皆さまへの感謝は言うまでもありません。

 文庫創刊から5年。がんばってきたつもりでも、歴史ある他社さんの文庫に比べたらうちの文庫は、まだまだひよっこ。吹けば飛ぶような存在です。大丈夫かな、名前が変わってもまた読者の方に手にとってもらえるのかな、と我が子を心配する母のような気持ちでいますが、でも結局、編集者としてできるのはひたすら面白い本を続けること、ですね。

 文庫リニューアルということで様々な思い出がよみがえり、ついつい文庫愛を長々と連ねてしまいましたが、最後に皆さま。

 今後とも「RHブックス・プラス」と「武田ランダムハウスジャパン」をどうぞよろしくお願いします!!!