『陸軍士官学校の死』上下/The Pale Blue Eye
ルイス・ベイヤード(Louis Bayard)/山田蘭・訳
創元推理文庫/定価各1029円(税込)/7月10日/ISBN:(上)978-4-488-29602-5 (下)978-4-488-29603-2
引退した名警官ガス・ランダーは、ウエストポイント陸軍士官学校のセアー校長に呼び出され、内密に処理したい事件の捜査を依頼される。同校の士官候補生の首吊り死体から、何者かが心臓をくり抜き持ち去ったというのだ。捜査の過程でランダーは、ひとりの年若い協力者を得る。士官候補生一年の彼は青白い顔の夢想家で、名をエドガー・アラン・ポオといった——青年時代の文豪ポオを探偵役に迎えた、詩情豊かな傑作謎解きミステリ。解説=川出正樹
『暗殺のハムレット ファージングII』/Ha’Penny
ジョー・ウォルトン(Jo Walton)/茂木健・訳
創元推理文庫/定価1260円(税込)/7月27日/ISBN: 978-4-488-27906-6
ドイツと講和条約を締結して和平を得たイギリス。政府が強大な権限を得たことによって、国民生活は徐々に圧迫されつつあった。そんな折、ロンドン郊外の女優宅で爆発事件が発生する。この事件は、ひそかに進行する一大計画の一端であった。次第に事件に巻き込まれていく女優ヴァイオラと刑事カーマイケル。ふたりの切ない行路の行方は──。壮大なる歴史改変小説、堂々の第二幕。解説=三橋曉
『死刑台のエレベーター【新版】』/Ascenseur pour I’Echafaud
ノエル・カレフ(Noel Calef)/宮崎嶺雄・訳
創元推理文庫/定価987円(税込)/7月27日/ISBN:978-4-488-14304-6
完全犯罪を実行したジュリアンは、電源を落とされた無人のビルのエレベーターに閉じこめられてしまう。36時間後にようやく外に出た彼を待っていたのは、身におぼえのない殺人容疑だった。アリバイはなく、閉じこめられていたことなど決して明かせない! 偶発する出来事が重なり追い詰められていく男の苦悩と恐怖。胸苦しいほどの焦燥を見事に描ききった超一級サスペンス。ルイ・マルの映画化作品も映画史に残る傑作となった。解説=小森収
『移動図書館貸出記録2 アマチュア手品師失踪事件』/The Mobile Library: Mr Dixon Disappears
イアン・サンソム(Ian Sansom)/玉木亨・訳
創元推理文庫/定価1029円/7月27日/ISBN:978-4-488-29703-9
壮大なる紆余曲折の末、イスラエル青年は移動図書館の司書として田舎町に順応しつつあった。そんな折、地元百貨店の経営者にしてアマチュア手品師のディクソン氏が店から姿を消す。不運にも現場に居合わせたイスラエルは警察からさんざんな目にあわされたこともあり、氏の行方を独自にさがすことにするのだが……。笑いと本への愛情にあふれた、話題の移動図書館シリーズ第2弾。今回もどたばた満載でお送りします。解説=大矢博子
『回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】』/The Memoirs of Sherlock Holmes
アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)/深町眞理子・訳
創元推理文庫/定価924円(税込)/7月27日/ISBN:978-4-488-10117-6
レースの本命馬が失踪し、調教師の死体が発見された。犯人は厩舎情報をさぐりにきた男なのか? 錯綜した情報から事実のみを取りだし、推理を重ねる名探偵ホームズの手法が光る「〈シルヴァー・ブレーズ〉号の失踪」。探偵業のきっかけとなった怪事件「〈グロリア・スコット〉号の悲劇」、宿敵モリアーティー教授登場の「最後の事件」など、11の逸品を収録するシリーズ第2短編集。解題=戸川安宣/解説=小池滋