『愛おしい骨』/Bone by Bone

キャロル・オコンネル(Carol O’Connell)/務台夏子・訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)/9月11日/ISBN:978-4-488-19512-0

十七歳の兄と十五歳の弟。二人は森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように偏執的に保たれた家。何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。何が起きているのか。次第に明らかになる町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作。解説=川出正樹

『エアーズ家の没落』/The Little Stranger

サラ・ウォーターズ(Sarah Waters)/中村有希・訳

創元推理文庫/定価(上)1008円 (下)1050円(税込)/9月18日/ISBN:(上)978-4-488-25407-0 (下)978-4-488-25408-7

かつて隆盛を極めながらも、第二次世界大戦終了後まもない今日では多くのものを失い、広壮なハンドレッズ領主館に閉じこもって暮らすエアーズ家の人々。かねてから彼らと屋敷に憧憬を抱いていたファラデー医師は、往診をきっかけに知遇を得、次第に親交を深めていく。その一方、続発する小さな“異変”が、館を不穏な空気で満たしていき、人々の心に不安を植えつけていく……。たくらみに満ちた、ウォーターズ文学の最新傑作登場。解説=三橋曉

〈創元推理文庫2010年復刊フェア〉

※ミステリ関連のものだけ取りあげています。全10点のラインナップは下記参照。

http://www.tsogen.co.jp/news/2010/09/10092620.html

『理想的な容疑者』●新カバー

カトリーヌ・アルレー/荒川浩充訳

創元推理文庫/定価840円(税込)/ISBN:978-4-488-14018-2

深夜、口論の果てにドライブ中の車から妻を降ろし、置き去りにしたミシェル。翌朝、殺害され、車で轢かれ顔の判別もできない女性の変死体が路上で発見された。ミシェルの車には傷があり、状況は彼を理想的な容疑者にしたて上げていた。身に覚えのない彼なのに、実の兄さえ彼を殺人犯だと思いこんでいる! 信じてもらえなかった男のたどった道は? フランス冒険小説大賞受賞の傑作。

『不変の神の事件』

ルーファス・キング/高田惠子訳

創元推理文庫/定価819円(税込)/ISBN:978-4-488-19102-3

●鮎川哲也氏推薦——「作者の名を聞いて、昔の愛人に逢ったような胸のときめきを覚えた。」

「これは殺人じゃないわ。処刑よ」リディアは宣言した。姉を自殺に追い込んだ憎むべき恐者が、いま残された家族の前で息絶えたのだ。死体を処分し、事件を隠蔽しようとする彼ら。そして、目撃者の通報を受け、着実に彼らの跡を追う警察。だが、物語はここから思いも寄らぬ相貌を見せ始める。知られざる名手のサスペンス溢れる代表作。

『フレンチ警部とチェインの謎』●新カバー

F・W・クロフツ/井上勇訳

創元推理文庫/定価1050円(税込)/ISBN:978-4-488-10605-8

快活な青年チェイン氏はある日、ホテルで初対面の男に薬を盛られ、意識を失う。翌日自宅に戻ると、家は何者かに荒らされていた。一連の犯行の目的は何か? 独自の調査を始めたチェイン氏を襲う危機また危機。いよいよ進退窮まったとき、フレンチ警部が登場し事件の全貌解明に乗り出す。本書は冒険小説と謎解きミステリの妙味を兼ね備えた、クロフツ初期の輝かしい傑作である。

『魔術ミステリ傑作選』

オットー・ペンズラー編/中村能三他訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)/ISBN:978-4-488-17001-1

人類の歴史の発端から観客を魅惑してきた魔術師、占星術師、手品師、奇術師、魔女たち。さまざまな魔術の世界を舞台に、偉大な作家たちが贈る十三の魔術と推理の物語。

【収録作品】

クレイトン・ロースン「この世の外から」

ラドヤード・キプリング「スドゥーの邸で」

ジョン・コリアー「登りつめれば」

カーター・ディクスン「新透明人間」

フレデリック・I・アンダスン「盲人の道楽」

ラファエル・サバチニ「時の主」

ウィリアム・アイリッシュ「パパ・ベンジャミン」

マニュエル・ペイロウ「ジュリエットと奇術師」

マクスウェル・グラント「気違い魔術師」

ウォルター・B・ギブスン「パリの一夜」

ベン・ヘクト「影」

スタンリー・エリン「決断の時」

E・S・ガードナー「抜く手も見せず」