ロードサイド・クロス/Roadside Crosses (2009)
ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳
/10月28日発売
文藝春秋/定価2500円
その十字架が殺しを予告する——
Webに仕掛けられた巧妙な完全犯罪に
《人間嘘発見器》キャサリン・ダンスが挑む!
『ウォッチメイカー』で鮮烈にデビュー、『スリーピング・ドール』では殺人カルト教祖と頭脳戦を演じた《人間嘘発見器》キャサリン・ダンス捜査官を主人公するシリーズ第2作が登場です。
有名ブログで交通事故を起こしたとして槍玉に挙げられた高校生トラヴィス。ブログでは名前や学校は伏せられていたものの、コメント欄でたちまち個人情報が暴かれ、彼は悪意に満ちたバッシングの標的となってしまう。その直後、殺人を予告する十字架が発見され、バッシングに加担した女子高生が殺されかかるという事件が発生した。
一方、トラヴィスは行方をくらまし、バッシングの加害者たちが次々に襲われはじめた。エスカレートする犯行はやがて死者を出してしまう。事件の原因が炎上したブログにあると見たカリフォルニア州捜査局のキャサリン・ダンスはトラヴィスの行方を追いつつ、ブログの一時閉鎖をブログ主に要請するが、言論の自由を盾に拒否されてしまう。
犯人はトラヴィスなのか? オタクとして学校で白眼視されていた彼は、ネットゲームでは冷酷な殺人者としてふるまっていたというが……
周到に貼りめぐらされた欺瞞。関係者たちが隠す秘密。尋問の天才キャサリン・ダンスは、彼らの嘘をひとつひとつ見破りながら、悪辣な完全犯罪の真相へ徐々に迫ってゆく。
人間の所作から、その心理を見抜く「キネシクス分析」。それが《人間嘘発見器》キャサリン・ダンスの得意技です。それを駆使して、少しずつ真相へ迫る醍醐味が、『スリーピング・ドール』以上に冴えわたっています。サスペンスとしての緊迫感も見事、真相の驚愕度ではディーヴァー作品中でも上位に属するのではないかと思います。
『ウォッチメイカー』を読んだとき、ディーヴァーが「泣かせの腕」を上げたと感心したのですが、本書を読んで、さらに腕を上げたように思いました。ダンスがある人物を抱きしめるシーン。「ここはグっときますよねー」と翻訳者の池田真紀子さんとうなずきあいました。
さらにさらに。本作でディーヴァーは、リンカーン・ライム・シリーズ以上に、「シリーズとしての魅力」を増強しているのです。ダンスの捜査を妨害しようとする内部の敵の登場や、彼女の家族やプライベートに関する物語が、絶妙なバランスで脇筋を彩っています。
是非お楽しみください。
ちなみに本書、リンカーン・ライム・シリーズの『ソウル・コレクター』、ノンシリーズの『青い虚空』と合わせて、サイバースペースを扱った三部作の最終作だとディーヴァー氏本人が語っています。
本書の刊行に合わせて、ジェフリー・ディーヴァー氏の初来日も予定されています。イベントの予定もありますので、弊社書籍営業部のツイッター・アカウント( @bunshun_hceigyo )や、担当編集者のツイッター・アカウント( @Schunag )などをチェックください。詳細を随時おしらせします。
(文藝春秋翻訳出版部・永嶋俊一郎)
■緊急告知:ジェフリー・ディーヴァー来日記念イベント・11/10(水)東京の丸善・丸の内本店にてトークイベント開催。詳細は丸善のサイトで → http://www.maruzen.co.jp/Blog/Blog/maruzen02/P/11585.aspx
■YouTube: Meet Jeff Deaver: Roadside Crosses
■YouTube: Roadside Crosses TV Ad
■ジェフリー・ディーヴァー公式サイト → http://www.jefferydeaver.com/
■ジェフリー・ディーヴァー Twitter → http://twitter.com/JefferyDeaver
■文藝春秋サイトの本書紹介 → http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163297200