乱気流(上下)Turbulence (2009)

ジャイルズ・フォーデン(Giles Foden)/村上和久・訳

新潮文庫/定価:本体上=552円 下=590円(税別)

ISBN:上巻=978-4-10-217761-7 下巻=978-4-10-217762-4

ノルマンディー上陸作戦当日——。

300万人の兵士と6000隻の艦艇、そしてヨーロッパの運命がこの日の天候にかかっていた。

連合軍の科学者たちは上陸5日前に当日の正確な天候を割り出すよう命じられる。しかし、5日も先の天候を正しく予測することは可能なのか? 予測に大きな影響を与えるのが乱気流とされている。

そんな乱気流の解析に必須とされる係数を導く数式を編み出したのが科学者ライマンだった。しかし、彼は徹底的な平和主義者だった。軍への協力を拒否する彼に、英国気象庁の予報官メドウズは接近を命じられる。徐々に親しくなってゆく彼らを、だが悲劇が襲う——。全欧州の命運を賭けた試みは成功するのか。

デビュー作『スコットランドの黒い王様』(新潮クレストブック)でウィットブレッド賞処女長編小説賞など英国の文学賞を総ナメにした気鋭が、虚実ないまぜに第二次世界大戦最大の作戦の真実に肉薄する。天才科学者の苦闘のドラマを描いた、ずっしりとした骨太の小説!(解説:古山裕樹)

【著者紹介】1967 年イギリス、ウォリックシャー生れ。5歳で父親の仕事のために家族とアフリカへ。マラウイ、ナイジェリア、タンザニア、エチオピア、ウガンダと移り住んだ後、帰国。ケンブリッジ大学を卒業後「タイムズ文芸付録」に勤務。「ガーディアン」紙の文芸局副編集長として働きながら執筆した『スコットランドの黒い王様』でデビューし、1998年度ウィットブレッド賞処女長編小説賞を受賞。現在はノーフォークに在住。

【訳者紹介】(ムラカミ・カズヒサ)1962年札幌市生れ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家。訳書に、ロビンズ『カストロ謀殺指令』、ロンスン『実録・アメリカ超能力部隊』、マノック『Uボート113 最後の潜航』、ディートリッヒ『ピラミッド 封印された数列』『ピラミッド ロゼッタの鍵』、プレスフィールド『砂漠の狐を狩れ』など。

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