ブレイキング・ポイント/Winged Creatures (2007)

ロイ・フライリッチ(Roy Freirich)著/船越隆子訳

小学館文庫/定価 860円(税込)/発行年月日:2010/11/05

衝撃の映画原作小説!

惨劇のあとから「心の迷路」は始まる!

 ミシガン州の小さな町のレストランで突如銃乱射事件が発生し、偶然店内に居合わせた二人が殺され、犯人は自殺した。物語は、惨劇に巻き込まれた五人の男女の視点でその後が描かれる。父親を殺された少女とボーイフレンド、シングルマザーのウェイトレス、銃弾でかすり傷を負った自動車教習所経営者、そして一瞬の差で惨劇から逃れたERの医師。少女は宗教的救済を説き始め、ボーイフレンドは失語症のような沈黙に陥る。ある者は育児放棄に、ギャンブル逃避に……。日常の現実感を失った人々が心の迷路に入り込んでいくさまを緻密に描いていく。そして次第に凄惨な事件の状況が明らかになっていく。

 フォレスト・ウィッテカー、ケイト・ベッキンセイル、ダコタ・ファニング、ジェニファー・ハドソンら個性派キャストで映画化された問題作。この12月にDVDがレンタル開始されるが、心理描写の綾はやはり小説のほうが迫真の出来!

編集者からのおすすめ情報

オススメその1——解説は、『アスペルガー症候群』等のベストセラーが話題になっている、作家・精神科医の岡田尊司氏。このような「心の傷」は、銃規制のある日本でも問題になりつつあると言う。最近多発する事件を見ていると、なるほどと思わせられます。

オススメその2——フォレスト・ウィッテカー、ケイト・ベッキンセイル、ダコタ・ファニング、ジェニファー・ハドソンらで実現した映画が、2010年12月3日からDVDレンタル開始されます(セルDVDは2010年12月17日発売)。

ロイ・フライリッチ(Roy Freirich)ニューヨーク生まれ。ミシガン大学で英文学修士号を受け、同州アナーバーで開催された国際映画祭りでみずから脚本・共同演出した Persona Non Grata が注目される。以後、脚本家として活躍。2009年北米公開の映画『ブレイキング・ポイント』では、自身の小説をみずから脚本化。

船越隆子(ふなこし たかこ)1957年徳島生まれ。東京大学文学部英文科卒。訳書に『夕光の中でダンス〜認知症の母と娘の物語』(オープンナレッジ社)、『スコット・フィッツジェラルド作品集 わが失われし街』(響文社、共訳)などがある。またドキュメンタリー番組の吹替え翻訳も多数手がけている。

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●映画『ブレイキング・ポイント』予告篇(字幕なし)