蘇えるスナイパー(上・下)/I,SNIPER(2009)
スティーヴン・ハンター (Stephen Hunter)/公手成幸訳
定価各890円(本体価格(2010/12/07 21:16時点)各848円+税)/発行:2010/12/01
ISBN:(上)9784594063139、(下)9784594063146
これぞハンターの真骨頂。西部劇に限りなき愛を込めて……
原題は『I,Sniper』。
伝説のスナイパーとしてのボブ・リーの矜持と、
作中に登場する最新鋭スコープ、iSniper の掛け詞となっています。
冒頭、四件の狙撃事件が発生。
被害者は、映画女優(某有名女優そのまんまのキャラです)、大学教授夫妻、コメディアン。
四人は、それぞれ凄腕のスナイパーによって急所を射抜かれて即死します。
捜査線上には、ヴェトナム戦争の伝説的スナイパー、カールが浮上しますが、
彼もまた自殺とおぼしき状況で発見。一見落着かと思われるなか、この経緯に何か納得できないものを感じたのが、あのFBI特別捜査官ニック・メンフィスでした。
そして、引退生活を送る老英雄ボブ・リー・スワガーの携帯に、捜査協力要請の一報が……。
解説の野崎六助さんが、
「長年のハンター愛読者として、折り紙をつけよう。これはベスト・オブ・ベストだ。シリーズの集大成というだけでなく、最高に突出している」と書いてくださっています。
おお。すばらしい。
本当か? と思われる方は、ぜひご一読あれ。
絶対損はさせません。
なにせ、これこそは、まさに、読者がハンターに期待するところの、
「スナイパー vs. スナイパー」小説なのですから!
少なくとも、ここにいるボブは、日本でチャンバラやってた、ちょっとオッドでファンクなボブではない。
正真正銘のプロフェッショナル。稀代の天才スナイパーがついに帰って来たのです。
個人的には、無敵の80年代的ダイハード・ヒーロー像(初期三部作)に、タランティーノ的要素(『四十七人目の男』)、イーストウッド的要素(『黄昏の狙撃手』)を加味してボブ・リーというキャラを培ってきたハンターが、ついに70年代に回帰した(=居直った)作品ではないかと。
皆様が楽しんでくださることを心より願っております。
(扶桑社書籍編集部Y)
スティーヴン・ハンター(Stephen Hunter)1946年ミズーリ州カンザスシティ生まれ。68年ノースウェスタン大学卒業。71年ボルティモアサン紙に入社、書評担当などを経て映画批評担当になる。96年ワシントンポスト紙に転じ、映画批評部門のチーフとなる。2003年ピューリッツアー賞(批評部門)を受賞。傍らスワガー・シリーズを執筆している。
●スティーヴン・ハンター版元公式サイト→ http://authors.simonandschuster.com/Stephen-Hunter/1485163
公手 成幸(くで しげゆき)英米文学翻訳家。主な訳書に、ハンター『ダーティホワイトボーイズ』『ブラックライト』『狩りのとき』『悪徳の都』『最も危険な場所』『ハバナの男たち』『四十七人目の男』『黄昏の狙撃手』(以上、扶桑社ミステリー)、スウィアジンスキー『解雇手当』、スティール『傭兵チーム、極寒の地へ』(共にハヤカワ文庫)、デイヴィッド『時限捜査』(創元推理文庫)がある。