魔女遊戯/〓ri〓ja t〓kni〓

 イルサ・シグルザルドッティル ( Yrsa Sigur〓ard〓ttir )/ 戸田裕之・訳

 集英社文庫/定価980円(税込)/発売日:2011年2月18日


北欧アイスランド発、斬新な歴史ミステリ

 昨今、次々と登場する北欧ミステリのなかでも、とっておきの“新顔”をご紹介。人口30万人。昨春の噴火ではヨーロッパ一帯の空港閉鎖を引き起こし、CNNキャスターでさえ正確にその名前を発音することができなかった火山を有する国、アイスランド(ロンドン・ブック・フェアが多大な影響を受けましたね)。その北の国から、出版と同時に世界20カ国が飛びついた、斬新な歴史ミステリが登場です。

 冬の早朝、奇妙な絞殺死体がアイスランド大学史学部棟で見つかった。殺されていたのはドイツ人留学生、ハラルド・グントリープ。死体からは両目がくりぬかれており、胸には不思議な印が刻まれていた。レイキャヴィク警察は死の直前までハラルドと一緒にいた薬の売人を逮捕したが、ドイツに住むハラルドの母親はこれに納得できず、ドイツ留学の経験もある女弁護士トーラに電話で犯人捜しを依頼した。

 飛び抜けて高額な報酬を示され、一瞬舞い上がったトーラだったが、事件ファイルに目を通してその猟奇性と深刻さに圧倒される。

 目をひいたのは、ハラルドの魔女オタクぶりだった。ハラルドは中世ヨーロッパの魔女狩り、魔女への拷問・処刑を比較研究するためにアイスランドに来ており、同じ趣味を持っていた祖父から莫大な遺産と魔女関係の絵画、古い手紙など、瞠目に値するコレクションも引き継いでいた。

 ハラルドの死の数日前からの行動を辿ることにしたトーラは、ハラルドが向かったというアイスランド北西部にある魔法と魔術の博物館、さらに、中世には地獄の入口だと信じられていたヘクラ山の西の古い教会を巡る。そして、実際に魔女を狩るため使用された15世紀の悪名高い稀覯本『魔女への大槌』入手に、ハラルドが異様なほどこだわっていたという事実をつきとめるのだが……。

ジェームズ・パターソン氏もぞっこん、なにもかも新鮮な歴史ミステリにご期待ください!