『首なし騎士と五月祭』/Eat, Drink and be Buried

ケイト・キングズバリー(Kate Kingsbury)/務台夏子・訳

創元推理文庫/ 定価1008円(税込)/5月11日/ISBN: 978-4-488-25305-9

ここは紳士淑女の御用達の静かな隠れ家、ペニーフット・ホテル。そんなホテルの常連客が、村のパブからの帰り道に首なし騎士に遭遇。さらに逃げる途中で、五月祭の柱に縛られた女性の死体を見たというのだ。本気にする者はなかったが、翌日ホテルの宿泊客から、妻が行方不明との訴えが。森にいたジプシーたちに疑いの目が向けられたが、ホテルの女主人セシリーは納得がいかず、石頭の支配人の心配をよそに、またしても調査を始める。解説=大津波悦子

『この世の涯てまで、よろしく』/Nachleben

フレドゥン・キアンプール(Fredun Kianpour)/酒寄進一・訳

東京創元社(単行本)/定価2100円(税込)/5月11日/ISBN:978-4-488-01335-6

青年ピアニスト、アルトゥアは死んでから50年後の世界に蘇ってしまう。さらにひょんなことから知り合った音大生ベックに誘われ、幽霊以上に浮世離れしている学生たちと共同生活を送ることになった。突然の新しい人生には、なぜおかしな出来事ばかり起こるのか。幽体離脱ができるようになったり、不気味な“怪人”が現れたり、おまけに殺人事件まで発生するなんて……。不可解な事件をめぐり、青年ピアニストと音大生たちが走る走る! “謎”が奏でる秘密と再会の物語。

『ロザムンドの死の迷宮』/The Death Maze

アリアナ・フランクリン(Ariana Franklin)/吉澤康子・訳

創元推理文庫/定価1533円(税込)/5月28日/ISBN:978-4-488-22205-5

ケンブリッジを震撼させた連続殺人は過去のこと。わが子アリーや召使いのマンスールたちと平穏に暮らしていた女医アデリアは、アリーの父ロウリー司教に呼び出される。迷路に囲まれた塔の中で、国王ヘンリー二世の愛妾ロザムンドが毒を盛られたのだ。最大の容疑者である王妃エレアノールは雲隠れしており、このままでは国全体を巻きこむ戦乱が起きてしまう。アデリアはその検死の技と推理で真相をつかみ、戦を阻止できるのか。出色の中世歴史ミステリ第二弾。

『紳士と月夜の晒し台』/Death in the Stocks

ジョージェット・ヘイヤー(Georgette Heyer)/猪俣美江子・訳

創元推理文庫/定価1029円(税込)/5月28日/ISBN:978-4-488-12711-4

月夜の晩、ロンドンから離れた村の広場で、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の刺殺体が発見された。動機を持つ者にはこと欠かないが、浮世離れした容疑者たちを前に、ハナサイド警視は苦戦する。そんなとき、思わぬ事態が発生して……。ヒストリカル・ロマンスの大家として知られる一方、セイヤーズも認めた力量を持つ著者による、巧みな人物描写と緻密なプロットの傑作本格ミステリ。解説=福井健太

『ヒュペルボレオス極北神怪譚』/Hyperborean Grotesques

クラーク・アシュトン・スミス(Clark Ashton Smith)/大瀧啓裕・訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)/5月28日/ISBN:978-4-488-54103-3

邪神ツァトッグアが地底に潜み、魔物が跋扈する超古代大陸ヒュペルボレオス。栄華を誇る首都コムモリオムが放棄されるまでの奇怪な?末を描く「アタムマウスの遺書」、異端の魔術師エイボンと宿敵の対決が思わぬ結末を迎える「土星への扉」他、アトランティス最後の島ポセイドニスの逸話も併載する。『ゾティーク幻妖怪異譚』に続き、美と頽廃の詩人による23の綺想を収める傑作集。