『ミステリーズ!』vol.52 APRIL 2012
東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/4月11日/ISBN:978-4-488-03052-0
いまブームのイヤミスを堪能する、特集「イヤミス読本」。書評家・大矢博子が贈る、ブックガイド&美輪和音最新短編「背徳の羊」掲載
[小説]
ピーター・トレメイン「疵」甲斐萬里江◎訳
●試験にのぞむ若き日のフィデルマ
[ブックエッセイ]
黒原敏行 私はこれが訳したい(3) CHILD OF GOD by Cormac McCarthy
[評論]
川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第三回
『結婚は殺人の現場』/Just Murdered
エレイン・ヴィエッツ(Elaine Viets)/中村有希・訳
創元推理文庫/定価1050円(税込)/4月11日/ISBN:978-4-488-15009-9
ワケあって世をはばかる暮らしのヘレン、新たな職場はブライダルサロン。さまざまな客が来る中で、極めつけのお騒がせ屋だった新婦の母親キキが、式当日に式場で殺されてしまう。運悪く、発見者となったヘレンを警察は容疑者に……? 私生活でも恋人とのあいだに暗雲がたれこめる、崖っぷちヒロインの明日はどっちだ。お待たせしました、転職ミステリ第4弾。著者あとがき=エレイン・ヴィエッツ/解説=坂木司
『ナンシーの謎の手紙』/Nancy’s Mysterious Letter
キャロリン・キーン(Carolyn Keene)/渡辺庸子・訳
創元推理文庫/定価819円(税込)/4月21日/ISBN:978-4-488-25010-2
寒さで凍えそうな郵便配達夫を見かねて、自宅でココアをふるまったナンシー。ところが、親切があだとなり、玄関先にあったはずの手紙がまるごと盗まれてしまったのだ。なかにはロンドンからの謎の手紙や、父のカーソン宛の書留も入っていた。ナンシーは手紙を取り戻すべく調査を開始する。盗まれたなかにあった謎の手紙が、ナンシーと同姓同名の別人を捜して欲しいとの依頼だったことが判明。ますます好調、少女探偵シリーズ第八弾。解説=はやみねかおる
『迷走パズル』/A Puzzle for Fools
パトリック・クェンティン(Patrick Quentin)/白須清美・訳
創元推理文庫/定価861円(税込)/4月27日/ISBN:978-4-488-14706-8
演劇プロデューサーのピーター・ダルースは妻を亡くしてから酒浸りになり、とうとう入院加療の身となった。とある晩、ピーターは「ここから逃げろ。殺人が起こる」という自分の声を聞いてパニックに陥る。幻聴か? その話を聞いた療養所のレンツ所長は、少し前から院内に不穏なことが続発している、評判にも関わるので調べてくれと頼む。探偵役を務めることは社会復帰に向けて効果的との判断だ。かくて内偵を始めたところが美女と恋に落ち、折しも降りかかった殺人事件の容疑から彼女を救うべく奔走するピーター。今や事件解決と二人の退院は、切っても切れない至上命題だ!
『技師は数字を愛しすぎた【新版】』/L’ingenieur aimait trop les chiffres
ボワロ&ナルスジャック(Boileau & Narcejac)/大久保和郎・訳
創元推理文庫/定価987円(税込)/4月27日/ISBN:978-4-488-14107-3
パリ郊外の原子力関連施設で、突然銃声が鳴り響いた。人々が駆けつけると技師長が射殺され、金庫からは重さ20キロほど核燃料チューブが消えていた! パリ市民を核爆発の恐怖、放射能汚染の危険にさらす怖ろしい危険物が盗み出されたのだ。国際スパイ事件なのか? 司法警察の捜査が始まった。そして現場は密室状況にあったことが判明する。更に続く密室状況下の事件。フランスを代表する共作作家による不可能犯罪ミステリの傑作。解説=戸川安宣
『殺す鳥』/The Murder Bird
ジョアンナ・ハインズ(Joanna Hines)/神林美和・訳
創元推理文庫/定価1218円(税込)/4月27日/ISBN:978-4-488-23104-0
夏のコーンウォールで、女流詩人キルスティンは死んだ。バスタブの中、裸で。自殺という検死審問の結論に、娘のサムはただひとり異議を唱える。本当に自殺なら、母の日記と、詩集の表題作になるはずだった詩「殺す鳥」はどうして見つからない? 消えた日記と詩を探すサムの行動が、事件に新たな局面をもたらす……。心理描写に長けた英国の才媛が贈る、サスペンスに満ちた逸品。解説=川出正樹
『フランクを始末するには』/Milo and I
アントニー・マン(Anthony Mann)/玉木亨・訳
創元推理文庫/定価924円(税込)/4月27日/ISBN:978-4-488-24205-3
フランク・ヒューイットは芸能界の大スター。殺し屋の“わたし”は彼の殺害を依頼され……。二転三転するスター暗殺劇の意外な顛末を描いた英国推理作家協会短篇賞受賞作のほか、刑事の相棒に赤ん坊が採用され一緒に捜査を行う「マイロとおれ」、買いものリストだけで成り立つ異色作、ミステリ出版界の裏事情を語る一篇など多彩な12作。奇想とユーモアあふれる傑作短篇集をお楽しみください。解説=野崎六助
収録作品=「マイロとおれ」「緑」「エディプス・コンプレックスの変種」「豚」「買いもの」「エスター・ゴードン・フラムリンガム」「万事順調(いまのところは)」「フランクを始末するには」「契約」「ビリーとカッターとキャデラック」「プレストンの戦法」「凶弾に倒れて」