『追撃の森』/The Bodies Left Behind
ジェフリー・ディーヴァー/土屋晃訳
ISBN 9784167812065
6月8日発売
文春文庫 定価1050円
2人の女を追う2人の殺し屋。
深夜の森で知力を尽くした死闘がはじまる。
国際スリラー作家協会最優秀長編賞受賞作。
文庫オリジナルで贈る巨匠の新作長編。
保安官事務所にかかってきた不審な通報。発信元の別荘を訪れた女性保安官補ブリンを待ち受けていたのは所有者夫婦の射殺死体と殺し屋の銃撃だった。なんとか森に逃れたブリンは、やはり別荘から逃げてきた女ミシェルを助けて逃走を開始する。2人の女を追う2人の殺し屋——リーダーのハートは敵の手の内を慎重に読み、罠を仕掛ける頭脳派だった。ここに無人の森での逃走と追撃のゲームがスタートした。知力と体力を限界まで駆使した一夜の戦いの末、生き延びるのは誰か?
『獣たちの庭園』以来となるジェフリー・ディーヴァーのノンシリーズ作品が文庫オリジナルで登場です。訳者からいただいた翻訳原稿を読んだときに真っ先に思ったのは、
ディーヴァーのドンデン返し短編を密度そのまんまで長編にしたみたいだ!
という感想でした。じっさいディーヴァー自身がインタビューで、「ドンデン返しの効果を重視して、それを軸に全体を組み上げていく」という短編の執筆方法を、『追撃の森』の執筆のときには適用したと答えています。
追う者と追われる者が、邪魔の入らない無人地帯で、知恵を振り絞りながら近距離で戦う。それが本書です。主人公の保安官補ブリンは、ディーヴァー作品の主人公には珍しく、特殊技能を持ちません。彼女にあるのは冷静な思考と不屈の意思のみ。テクノロジーの支援もなく、限られた時間と空間で敵に対抗し、夜明けまで生き延びなければならない。
冷静な思考を誇るプロフェッショナルである敵方のハートと彼女の裏のかき合いは、ディーヴァーのゲーム性の真骨頂。
本文560ページの8割以上をたった一晩の攻防に費やした、ディーヴァー会心の超緊迫サスペンスです。
(文藝春秋翻訳出版部N)