『ミステリーズ!』vol.53 APRIL 2012

東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/6月9日/ISBN:978-4-488-03053-7

【特集】

話題のアイスランド・ミステリ『湿地』刊行でさらに注目度アップ! 北欧ミステリの粋

[エッセイ]

アーナルデュル・インドリダソン、ついに日本上陸 柳沢由実子

ヘニング・マンケルを訳して 柳沢由実子

スウェーデン・ミステリの今 久山葉子

[小説]

アンナ・ヤンソン「あなたの肌を感じる」久山葉子◎訳

●私の指は彼らを魂まで裸にする。スウェーデンの人気作家、日本初紹介

【ブックエッセイ】

須賀しのぶ 私の一冊 『死者を起こせ』 フレッド・ヴァルガス

杉江松恋  路地裏の迷宮踏査 〈最終回〉 バウムのグランド・ホテル

日暮雅通  私はこれが訳したい(4) The Complete Annotated Father Brown by G.K.Chesterton

北原尚彦  ホームズ書録(3) 新発掘! 「ホームズ対ルコック」 とは一体なんぞや?

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第四回

『湿地』/Mýrin

アーナルデュル・インドリダソン(Arnaldur Indriðason)/柳沢由実子・訳

東京創元社(単行本)/定価1785円(税込)/6月9日/ISBN:978-4-488-01343-1

北の湿地にある建物の半地下の部屋で、老人の死体が発見された。金品が盗まれた形跡はなく、突発的な犯行であるかに見えた。だが、現場に残された三つの言葉のメッセージが事件の様相を変えた。次第に明らかになる被害者の隠された過去。衝撃の犯人、そして肺腑をえぐる真相。シリーズは世界四十カ国で紹介され七百万部突破。グラスキー賞を2年連続受賞、CWAゴールドダガー受賞。いま最も注目される北欧の巨人、ついに日本上陸。訳者あとがき=柳沢由実子/解説=川出正樹

『深い疵』/Tiefe Wunden

ネレ・ノイハウス(Nele Neuhaus)/酒寄進一・訳

創元推理文庫/定価各1260円(税込)/6月21日/ISBN:978-4-488-27605-8

ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が射殺された。凶器は第二次大戦期の拳銃で、現場には「16145」の数字が残されていた。司法解剖の結果、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯行に及んだのは何者なのか。複雑な構成&誰もが嘘をついている&著者が仕掛けたミスリードの罠。ドイツでシリーズ累計200万部突破、破格の警察小説! 訳者あとがき=酒寄進一

『吊るされた女』/Crime School

キャロル・オコンネル(Carol O’Connell)/務台夏子・訳

創元推理文庫/定価各1554円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-19513-7

キャシー・マロリー、ニューヨーク市警巡査部長。完璧な美貌、コンピューター・ハッキングにかけては天才的な頭脳をもち、他人に感情を見せることのない氷の天使。相棒の刑事の情報屋だった娼婦が、何者かに吊された。美しい金髪は切られて口に詰めこまれ、周囲には虫の死骸。あれこれ臆測をめぐらす仲間を尻目に、マロリーは事件を連続殺人鬼の仕業と断定する。だが……。ミステリ史上最もクールなヒロインが、連続殺人鬼に挑む。解説=村上貴史

『シャーロック・ホームズの復活【新訳版】』/The Return of Sherlock Holmes

アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)/深町眞理子・訳

創元推理文庫/定価各1554円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-19513-7

名探偵ホームズが宿敵モリアーティー教授とともに〈ライヘンバッハの滝〉に消えてから3年。青年貴族の奇怪な殺害事件をひとりわびしく推理していたワトスンに、奇跡のような出来事が……。名探偵の鮮烈な復活に世界が驚喜した「空屋の冒険」、暗号ミステリの至宝「踊る人形」、奇妙な押し込み強盗事件の謎「六つのナポレオン像」など、珠玉の13編を収めるシリーズ第3短編集。解題=戸川安宣/解説=巽昌章

収録作品=「空屋(くうおく)の冒険」「ノーウッドの建築業者」「踊る人形」「ひとりきりの自転車乗り」「プライアリー・スクール」「ブラック・ピーター」「恐喝王ミルヴァートン」「六つのナポレオン像」「三人の学生」「金縁の鼻眼鏡」「スリークォーターの失踪」「アビー荘園」「第二の血痕」

『この声が届く先』/On the Line

S・J・ローザン(S. J. Rozan)/直良和美・訳

創元推理文庫/定価各1239円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-15312-0

リディアを誘拐した——晩秋の朝、私立探偵ビルは突然の電話でそう告げられる。相棒の命を救うため、彼は正体不明の犯人に指示されるまま、手がかりを求めニューヨークじゅうを奔走する。与えられた猶予はわずか十二時間。犯人により殺人事件の容疑者に仕立てあげられたビルは、警察と売春組織に追われながらも、頼れる仲間の力を借りて、リディアの居場所を突き止めようとする。シリーズ史上最も緊迫した展開の連続で送る第十作。解説=三橋曉

『ゴースト・ハント』/Ghost Hunt

H・R・ウェイクフィールド(H. R. Wakefield)/鈴木克昌・他訳

創元推理文庫(ホラー)/定価各1239円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-15312-0

幽霊屋敷訪問の様子を実況するラジオ番組のリポーターが訪れたのは、30人にも及ぶ自殺者を出したという異様な来歴を秘めた邸宅だった……。極限の恐怖を凝縮した代表作「ゴースト・ハント」他、瀟洒な田舎の別荘(カントリー・ハウス)の怪異譚「暗黒の場所」など本邦初訳作5篇を含む、正統的な英国怪奇小説最後の書き手と謳われる名手・ウェイクフィールドの逸品18篇を集成した、初の文庫版傑作選。訳者解説=鈴木克昌

収録作品=「赤い館」「ポーナル教授の見損じ」「ケルン」「ゴースト・ハント」「湿ったシーツ」「“彼の者現れて後去るべし”」「“彼の者、詩人(うたびと)なれば……”」「目隠し遊び」「見上げてごらん」「中心人物」「通路(アレイ)」「最初の一束」「暗黒の場所」「死の勝利」「悲哀の湖(うみ)」「チャレルの谷」「不死鳥」「蜂の死」