『ミステリーズ!』vol.54 AUGUST 2012

東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/8月11日/ISBN:978-4-488-03054-4

【特集】

真夏の夜に愉しみたい ファンタジー&怪奇の調べ

パート1 ファンタジー編

乾石智子 紐結びの魔道師

●訪ねてきたのは、ひとりの貴石占術師だった……

原島文世 ブリストル訪問記

パート2 怪奇編

怪奇翻訳温故知新 西崎 憲インタビュー

R・エイクマン  案内人 西崎 憲◎訳

●旅の途中で人気のない大聖堂に立ち寄った男を襲う、あまりにも異様な白昼の怪異。 本邦初訳

A・キラ=クーチ プシュケー 西崎 憲◎訳

●毎日を淡々と過ごす機関士を突如襲った悲劇。 本邦初訳

S・ジャクスン  お決まりの話題 市田 泉◎訳

●月光の下、わたしとYはあの夜のこと、お決まりの話題に興じる……鬼才女流による優美な怪奇掌編。本邦初訳

【追悼】レイ・ブラッドベリ

中村 融 金原瑞人

【エッセイ新連載】

小林宏明 銃の細道——見る、読む、訳すGUNの世界 第一回

【ブックエッセイ】

高田惠子  私はこれが訳したい DANCING WITH HORSES Klaus Ferdinand Hempfling

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第五回

『彼の個人的な運命』/Sans feu ni lieu

フレッド・ヴァルガス(Fred Vargas)/藤田真利子・訳

創元推理文庫/定価1029円(税込)/8月25日/ISBN:978-4-488-23606-9

先史時代専門、中世専門、第一次世界大戦専門の三人の個性的な歴史学者たちと、連続女性殺人事件の最有力容疑者である奇妙な青年。彼らが、あのボロ館で共同生活をすることに。目撃者、証拠とも、どう考えても犯人としか思えない男と……。ペットのカエルを連れ歩く元内務省調査員ケルヴェレールとともにパリを、ブルゴーニュを、走り回る〈三聖人〉大活躍。終盤の緊迫感は圧巻です。CWA賞3回受賞の作家、ヴァルガスの真骨頂! 解説=三橋暁

『濡れた魚』上下/Der nasse Fisch

フォルカー・クッチャー(Volker Kutscher)/酒寄進一・訳

創元推理文庫/定価各1050円(税込)/8月25日/ISBN:(上)978-4-488-25803-0(下)978-4-488-25804-7

1929年、春のベルリン。ゲレオン・ラート警部が、わけあって故郷ケルンと殺人捜査官の職を離れ、ベルリン警視庁風紀課に身を置くようになってから、一ヶ月が経とうとしていた。殺人課への異動を目指すラートは、深夜に自分の部屋の元住人を訪ねてきたロシア人の怪死事件の捜査をひそかに開始するが……。今最も注目されるドイツ・ミステリが生んだ、壮大なる大河警察小説開幕。

『雨の浜辺で見たものは』/Caught Out in Cornwall

ジェイニー・ボライソー(Janie Bolitho)/山田順子・訳

創元推理文庫/定価1029円(税込)/8月25日/ISBN:978-4-488-19810-7

少女が連れ去られたときにローズが居合わせたのは、本当に偶然だったのだ。とはいえそこはローズ、それだけですむわけがない。頼まれたとはいえ、少女の母親に会いに行き、さっそく事件に鼻をつっこみはじめた。シングルマザーの母親はアル中らしく、その姉も複雑な事情をかかえているらしい。この事件、ただの誘拐ではないかも。恋人の警部に加えて、近くに越してきた父親と、心配性の男性に囲まれたローズは、事件をどう解く? コーンウォール・ミステリ最終巻。

『毒の目覚め』上下/Awakening

S・J・ボルトン(S. J. Bolton)/法村里絵・訳

創元推理文庫/定価各945円(税込)/8月25日/ISBN:(上)978-4-488-20705-2(下)978-4-488-20706-9

その夏、英国の小さな村では蛇が異常発生していた。獣医のクララはある老人の死に疑問を感じる。死因は蛇の毒だが、1匹に咬まれたにしては毒の濃度が高すぎるのだ。さらに近所の家で、世界で最も危険と言われる毒蛇を発見する。数々の事件は、何者かの策略なのか? 言い知れぬ恐怖と謎に挑む女性獣医の姿を圧巻の筆致で描きMWA賞受賞に輝いた、荘麗なゴシック・ミステリ。解説=穂井田直美