『ミステリーズ!』vol.56 DECEMBER 2012

東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/12月11日/ISBN:978-4-488-03056-8

【特別企画】

名古屋読書会&ミステリーキッチンレポート

【読切】

フィル・ラヴゼイ「宿題」神林美和◎訳

●英語の「宿題」にひそむ、ある企みとは?——CWA最優秀短編賞受賞作

【エッセイ】

小林宏明 銃の細道——見る、読む、訳すGUNの世界 第三回

【ブックエッセイ】

青木純子  私はこれが訳したい 第7回 THE MOONSTONE Wilkie Collins

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第七回

『修道女フィデルマの探求』/A Canticle for Wulfstanand Other Stories

ピーター・トレメイン(Peter Tremayne)/甲斐萬里江・訳

創元推理文庫/定価1008円(税込)/12月11日/ISBN:978-4-488-21817-1

法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、鋭い推理で難事件を解決する。聖女の血が入った小瓶を携えた修道女が森の中で殺された「ゲルトルーディスの聖なる血」、孤島にただひとつ建つ修道院の院長が無惨な死体で発見された「不吉なる僧院」、ダロウの修道院で学んでいたサクソンの王子が不可解な状況下で殺害された「ウルフスタンへの頌歌」など全五編を収録。人気シリーズの日本オリジナル短篇集第3弾。訳者あとがき=甲斐萬里江

【収録作品】「ゲルトルーディスの聖なる血」「汚(けが)れた光輪(ヘイロウ)」「不吉なる僧院」「道に惑(まど)いて」「ウルフスタンへの頌歌(カンティクル)」

『曲がった蝶番』/The Crooked Hinge

ジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr)/三角和代・訳

創元推理文庫/定価987円(税込)/12月20日/ISBN:978-4-488-11834-1

1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。あの沈没の夜に──。やがて、決定的な証拠によって事が決しようとした矢先に、不可解極まりない事件が発生した! 巨匠カーによるフェル博士登場の逸品、新訳版。解説=福井健太

『サイモン・アークの事件簿4』/The Fourth Casebook of Simon Ark

エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)/木村二郎・訳

創元推理文庫/定価1029円(税込)/12月20日/ISBN:978-4-488-20112-8

まだ見ぬ人知を超えた存在と巡り合うため、二千年の歳月を生きる謎の男サイモン・アークの旅は続く。鐘の音が鳴り響く修道院で起きた中国人修道士殺害事件、北米の湖に出現し四人もの人を殺めた大海蛇の怪異、かの切り裂きジャックが遺した秘宝のありかとその正体……この世のむこう側を垣間見させる、伝説と怪異に彩られた八つの妖しい事件から、鋭敏な推理力で真実を導き出すオカルト探偵の活躍、日本オリジナルの第四短編集。解説=木村仁良

【収録作品】「悪魔の蹄跡(ひづめあと)」「黄泉(よみ)の国の判事たち」「悪魔がやって来る時間」「ドラゴンに殺された女」「切り裂きジャックの秘宝」「一角獣の娘」「ロビン・フッドの幽霊」「死なないボクサー」

『キリストのクローン/覚醒』上下/Acts of God

ジェームズ・ボーセニュー(James Beauseigneur)/田辺千幸・訳

創元推理文庫/定価各1029円(税込)/12月20日/ISBN:(上)978-4-488-55206-0(下)978-4-488-55207-7

クリストファーは世界中の人々の眼前で死からの復活を果たし、自らがイエスの再来であることを証明した。さらに彼は、ユダヤの人々の信仰と文化の礎というべきエルサレムの神殿に踏み入って祭壇を汚し、十戒の石板を破壊した。それらは神を崇めるためのものであり、人間の新たな進化にはそうした信仰は妨げになるというのだ。神と聖書に真正面から挑んだ問題作、ついに最終巻へ!解説=霜月蒼

『チェットと消えたゾウの謎』/To Fetch a Thief

スペンサー・クイン(Spencer Quinn)/古草秀子・訳

東京創元社(単行本)/定価各1890円(税込)/12月20日/ISBN:978-4-488-01305-9

バーニーが息子とチェットとともにサーカスへ出掛けるとなんと「本日休演」の張り紙が。警察も駆けつけて騒然としている! サーカスの花形、アフリカゾウとゾウ遣いが、誰にも見られずに消えてしまったという。そんなことは可能なのか? サーカス撲滅を主張する動物愛護団体が陰にいるのか? それとも身代金目的の誘拐なのか? 道化師の依頼でふたりは調査を開始する。ベーコンに心ひかれるチェットの超犬的な活躍に、乞うご期待。訳者あとがき=古草秀子