『ミステリーズ!』vol.57 FEBRUARY 2013
東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/2月9日/ISBN:978-4-488-03057-5
【読切短編】
アンドレアス・グルーバー
ゴーストライター 酒寄進一◎訳
●一度は自分の名前で小説を発表したい。ゴーストライターの男の望みが招いた事態とは?
メスメリズムの実験 酒寄進一◎訳
●ロンドン、ホワイトチャペルのうらぶれた横町。“予言 六十ポンド”の看板の正体は?
【エッセイ】
小林宏明 銃の細道──見る、読む、訳す GUNの世界 第四回
【ブックエッセイ】
月村了衛 私の一冊『ソロモン王の洞窟』H・R・ハガード
直良和美 私はこれが訳したい The Jealous One Celia Fremlin
【評論】
川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第八回
『ベンスン殺人事件【新訳版】』/The Benson Murder Case
S・S・ヴァン・ダイン(S. S. Van Dine)/日暮雅通・訳
創元推理文庫/定価903円(税込)/2月21日/ISBN:978-4-488-10319-4
証券会社の経営者ベンスンがニューヨークの自宅で射殺された事件は、有力な容疑者がいるため、解決は容易かと思われた。しかし捜査に、尋常ならざる教養と才気をもつファイロ・ヴァンスが加わり、事態は一変する。物的・状況証拠を否定するヴァンスが用いる、心理学的推理とは? 巨匠のデビュー作にして、米国本格ミステリ黄金時代の幕開けを告げた記念碑的傑作、新訳で登場。解説=戸川安宣
『夏を殺す少女』/Rachesommer
アンドレアス・グルーバー(Andreas Gruber)/酒寄進一・訳
創元推理文庫/定価1155円(税込)/2月21日/ISBN:978-4-488-16005-0
酔った元小児科医がマンホールにはまり死亡。市議会議員がエアバッグの作動で運転をあやまり死亡。一見無関係な事件の奥に潜むただならぬ気配に、弁護士エヴェリーンは次第に深入りしていく。一方ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、病院での少女の不審死を調べていた。オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたりの軌跡が出会うとき、事件がその恐るべき真の姿を現し始める。ドイツでセンセーションを巻き起こした、衝撃作登場。訳者あとがき=酒寄進一
『遮断地区』/Acid Row
ミネット・ウォルターズ(Minette Walters)/成川裕子・訳
創元推理文庫/定価1323円(税込)/2月27日/ISBN:978-4-488-18710-1
バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火?瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて……。現代英国ミステリの女王が放つ、新境地にして最高傑作。解説=川出正樹
『跡形なく沈む』/Sunk Without Trace
D・M・ディヴァイン(D. M. Devine)/中村有希・訳
創元推理文庫/定価1155円(税込)/2月27日/ISBN:978-4-488-24009-7
憎き母が死んだ。何一つ秘密を漏らさないまま──。父を知らずに育ったルース・ケラウェイは、母の遺品から手掛かりを得て小都市シルブリッジへ渡った。父親を捜す傍ら、なぜか数年前の協議会議員選挙の不正も探ろうとするルースの不可解な行動は、人々の不安を煽り、ついに殺人事件まで発生する。複雑な人間関係を操り、鮮やかなフーダニットを演出する円熟期の傑作。本邦初訳。解説=佐々木敦
『バスカヴィル家の犬【新訳版】』/The hound of the Baskervilles
アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)/深町眞理子・訳
創元推理文庫/定価756円(税込)/2月27日/ISBN:978-4-488-10121-3
名家バスカヴィル家の当主が怪死を遂げた。激しくゆがんだ表情を浮かべた死体の近くには巨大な犬の足跡があり、土地の者は全身から光を放つ巨大な生き物を目撃していた。それらの事実が示唆するのは、忌まわしい〈バスカヴィル家の犬〉の伝説にほかならなかった……。寂莫とした荒れ地(ムーア)を舞台に展開する、恐怖と怪異に満ちた事件の行方は? シリーズ屈指の傑作長編、新訳決定版。解題=戸川安宣/解説=小山正
『怪樹の腕 〈ウィアード・テールズ〉戦前邦訳傑作選』
会津信吾/藤元直樹編
東京創元社(単行本)/定価2940円(税込)/2月27日/ISBN:978-4-488-01306-6
●荒俣宏氏推薦——「日本ホラー小説史を一変させる「埋蔵金」発掘だ! 伝説のアメリカ怪奇雑誌が戦前にここまで翻訳されていたとは!!」
戦前の日本では、現在ほどではないにせよ相当な早さで海外の小説が翻訳紹介されていた。完全訳は少なく、豊かな翻案的作品が大衆小説誌の誌上を飾っていた。
本書は、そのような戦前に紹介された作品のなかから、アメリカの著名な怪奇小説専門誌〈ウィアード・テールズ〉に発表されたホラー短編の秀作怪作を選り抜き、当時の文章のまま現代によみがえらせたものである。
各編ごとに詳細な解説を付し、巻末には日本への〈ウィアード・テールズ〉掲載作の移入状況を俯瞰する論考を収めた。
はじめに=会津信吾・藤元直樹/各編解題=会津信吾/パルプ・マガジンと日本人=会津信吾/怪奇な話——ウィアード・テールズ=藤元直樹
「深夜の自動車」アーチー・ビンズ/妹尾韶夫訳
「第三の拇(ぼ)指紋」モーティマー・リヴィタン/延原謙訳
「寄生手(きせいしゅ)─バーンストラム博士の日記─」R・アンソニー/栄訳
「蝙蝠鐘楼(こうもりしょうろう)」オーガスト・ダーレス/妹尾アキ夫訳
「漂流者の手記」フランク・ベルナップ・ロング/訳者不明
「白手(しろて)の黒奴(くろんぼ)」エリ・コルター/訳者不明
「離魂術(りこんじゅつ)」ポール・S・パワーズ/甲賀三郎翻案
「納骨堂に」ヴィクター・ローワン/大関花子訳
「悪魔の床(とこ)」ジェラルド・ディーン/大関花子訳
「片手片足の無い骸骨」H・トムソン・リッチ/大関花子訳
「死霊」ラウル・ルノアール/安田専一訳
「河岸(かし)の怪人」ヘンリー・W・ホワイトヒル/辺見素雄翻案
「足枷の花嫁」スチュワート・ヴァン・ダー・ヴィア/内海雄翻案
「蟹人(かにおとこ})」ロメオ・プール/大川清一郎翻案
「死人の唇」W・J・スタンパー/訳者不明
「博士(はくし)を拾ふ」シーウェル・ピースリー・ライト/大川清一郎翻案
「アフリカの恐怖」W・チズウェル・コリンズ/小幡昌甫翻案
「洞窟の妖魔」パウル・S・パワーズ/小幡昌甫翻案
「怪樹(かいじゅ)の腕」R・G・マクレディ/小幡昌甫翻案
「執念」H・トンプソン・リッチ/妹尾アキ夫訳
「黒いカーテン」C・フランクリン・ミラー/妹尾アキ夫訳
「成層圏の秘密」ラルフ・ミルン・ファーリー/妹尾アキ夫訳