『ミステリーズ!』vol.59 JUNE 2013
東京創元社(雑誌)/定価1260円(税込)/6月11日/ISBN:978-4-488-03059-9
【読切短編】
アン・ペリー
六ペンスの唄を歌おう 吉澤康子◎訳
●ヴィクトリア朝のクリスマス・ディナーで事件は起きる——歴史ミステリの名手登場
【エッセイ】
小林宏明 銃の細道──見る、読む、訳す GUNの世界 第六回
【ブックエッセイ】
駒月雅子 私はこれが訳したい THE EBB-TIDE R.L. Stevenson and L.Osbourne
【評論】
川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第十回
『お菓子の家』/Pepparkakshuset
カーリン・イェルハルドセン(Carin Gerhardsen)/木村由利子・訳
創元推理文庫/定価1995円(税込)/6月11日/ISBN:978-4-488-21603-0
数週間の入院生活を終え自宅に戻った老婦人が見つけたのは、見知らぬ男の死体だった。そのころ誰も知らぬある場所で、殺人者は高揚した気分で自らの行為を思い返していた。悔やんではいない。もっと苦しめてやれなかったのが残念だった。そう、これで終わりではない。ショーベリ警視率いる警察の調べはいっこうに進まず、そのあいだにも次の被害者が……。スウェーデン警察小説の鮮烈なデビュー作。ショーベリ警視シリーズ第一弾。訳者あとがき=木村由利子
『ムーンズエンド荘の殺人』/Nine Man’s Murder
エリック・キース(Eric Keith)/森沢くみ子・訳
創元推理文庫/定価定価945円(税込)/6月21日/ISBN:978-4-488-25203-8
探偵学校の卒業生のもとに、校長の別荘での同窓会の案内状が届いた。吊橋でのみ外界とつながる会場にたどり着いた彼らが発見したのは、意外な人物の死体。さらに、吊橋が爆破されて孤立してしまった彼らを、不気味な殺人予告の手紙が待ち受けていた──。密室などの不可能状況で殺されていく卒業生たち、錯綜する過去と現在の事件の秘密。雪の山荘版『そして誰もいなくなった』! 訳者あとがき=森沢くみ子/解説=福井健太
『消滅した国の刑事』/Torso
ヴォルフラム・フライシュハウアー(Worfram Fleischhauer)/北川和代・訳
創元推理文庫/定価1260円(税込)/6月21日/ISBN:978-4-488-28221-9
2003年12月、ベルリンで女性の凍った胴体(トルソ)が発見される。遺体の頭部は山羊の頭につけかえられていた。ツォランガー警視正が捜査に乗りだすが、まもなく、今度はナイトクラブで異様な羊の死骸が見つかる。そして彼の前に兄の死の真相を調べている女性が現われ……。複雑に絡み合う登場人物たちの思惑と、二転三転する事件。ドイツの実力派ミステリ作家が突きつける驚愕の結末! 訳者あとがき=北川和代
『冬のフロスト』上下/Winter Frost
R・D・ウィングフィールド(R. D. Wingfield)/芹澤恵・訳
創元推理文庫/定価各1365円(税込)/6月28日/ISBN:(上)978-4-488-29106-8(下)978-4-488-29107-5
寒風が肌を刺す一月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗に酔っ払ったフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァー”といった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。われらが名物親爺フロスト警部は、とことん無能で好色な部下に手を焼きつつ、マレット署長の点数稼ぎが招いた人手不足の影響で、またも休みなしの活動を強いられる……。大人気警察小説第5弾。解説=養老孟司
『シャボン玉ピストル大騒動』/The Boy Who Invented The Bubble Gun
ポール・ギャリコ(Paul Gallico)/山田蘭・訳
創元推理文庫/定価945円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-19405-5
発明家を夢見る九歳半の少年ジュリアンは、自信作のシャボン玉ピストルの特許を取るため、こっそり家を出て単身ワシントン行きの夜行バスに乗り込んだ。だがそこにはヴェトナム帰還兵から陸軍大佐、KGBのスパイに殺人犯まで乗り合わせていた! 少年が旅路で出会うさまざまな人々と事件は、彼に何をもたらすのか? あたたかさと切なさが彩るロードノベルの名品、新訳決定版。解説=三橋暁
『チャーチル閣下の秘書』/Mr. Churchill’s Secretary
スーザン・イーリア・マクニール(Susan Elia MacNeal)/圷香織・訳
創元推理文庫/定価1155円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-25502-2
チャーチルがイギリス首相に就任した一九四〇年、ロンドンにナチスの攻撃が迫っていた。数学の才に長けたアメリカ育ちのマギー・ホープは、首相官邸で首相閣下の秘書として勤務することになった。首相官邸を取り巻く謀略、みずからにまつわる秘密を知ることもなく……。才気煥発なマギーが体当たりで陰謀に挑む、魅力のシリーズ開幕編。
『孤児の物語II 硬貨と香料の都にて』/The Orphan’s Tales: In the Cities of Coin and Spice
キャサリン・M・ヴァレンテ(Catherynne M. Valente)/井辻朱美・訳
東京創元社(単行本)/定価5880円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-01653-1
【2008年ミソピーイク賞受賞作】
スルタンの皇女は婚礼の日を迎えようとしていた。皇女は、魔物と呼ばれる女童が弟に物語を語って聞かせた〈庭園〉で、結婚式をあげたいと望んだ。その日〈庭園〉は婚礼のごちそうと人々であふれた。宴を抜け出した童子は隠れひそんでいた女童のもとに逃げこみ、そして再び瞼に書かれた物語は始まる……。万華鏡のなかの世界。摩訶不思議な謎の宴。飽くことなく語られた魔物の物語は、すべてが最後に収束し、ここに大団円を迎える。訳者あとがき=井辻朱美
『HHhH プラハ、1942年』/HHhH
ローラン・ビネ(Laurent Binet)/高橋啓・訳
海外文学セレクション(単行本)/定価2730円(税込)/6月28日/ISBN:978-4-488-01655-5
【2010年ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作】
「ナチにおけるユダヤ人大量虐殺の首謀者ハイドリヒ。〈金髪の野獣〉と怖れられた彼を暗殺すべくプラハに送り込まれた二人の青年とハイドリヒの運命。ハイドリヒとはいかなる怪物だったのか? ナチとはいったい何だったのか? 登場人物すべてが実在の人物である本書を書きながらビネは、小説を書くということの本質を自らに、そして読者に問いかける。この緊迫感溢れる小説を私は生涯忘れないだろう。」──マリオ・バルガス・リョサ 訳者あとがき=高橋啓