『緑衣の女』/Grafarþögn

アーナルデュル・インドリダソン(Arnaldur Indrioason)/柳沢由実子・訳

東京創元社(単行本)/定価1890円(税込)/7月11日/ISBN:978-4-488-01001-0

住宅建設地で発見された、人間の肋骨の一部。事件にしろ、事故にしろ、どう見ても最近埋められたものではない。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近にはイギリスやアメリカの軍のバラックもあったらしい。付近の住人の証言の端々に現れる緑の服の女。数十年のあいだ封印されていた哀しい事件が、捜査官エーレンデュルの手で明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞受賞作。世界が戦慄し涙した。究極の北欧ミステリ。訳者あとがき=柳沢由実子

『泥棒は几帳面であるべし』/Something Missing

マシュー・ディックス(Matthew Dicks)/高山祥子・訳

創元推理文庫/定価987円(税込)/7月11日/ISBN:978-4-488-19104-7

マーティンの生業(なりわい)は泥棒。といっても、窓ガラスを壊したり家を荒らしたりはしない。盗みに入る家を慎重に選び、住人の外出時間や周囲の環境を徹底的に調べて“お得意”を決め、泥棒が入ったことに気づかれないように食料品や宝石などを盗んでいるのだ。だがある日、とんでもない“事件”が発生してしまい……。とびきり几帳面な愛すべき青年の活躍(?)を描くお仕事ミステリ! 訳者あとがき=高山祥子

『ジューンブライドはてんてこまい』/The Diva Takes the Cake

クリスタ・デイヴィス(Krista Davis)/島村浩子・訳

創元推理文庫/定価1155円(税込)/7月11日/ISBN:978-4-488-26107-8

ここ最近、妹ハンナの三度目となる結婚式の準備にかかりきりのソフィ。新郎クレイグには秘密があるようだし、いちいち張り合ってくるライバル・ナターシャとの共同作業も気が重い。加えて当の妹が結婚しないと言いだすわ、突然現れた新郎の元妻がナターシャの家の中庭で死体となって発見されるわと、トラブル続出。はたしてソフィは式を無事に取りしきれるのか? 〈家事アドバイザーの事件簿〉好評シリーズ第2弾。解説=貝谷郁子

『オランダ靴の謎【新訳版】』/The Dutch Shoe Mystery

エラリー・クイーン(Ellery Queen)/中村有希・訳

創元推理文庫/定価987円(税込)/7月20日/ISBN:978-4-488-10438-2

〈オランダ記念病院〉の創設者である大富豪ドールン老婦人が、緊急手術の直前に針金で絞殺された。たまたま病院に居合わせた作家エラリーの指図で事件現場はただちに保存されるが、検証を進め関係者の証言を総合しても、手術着姿の犯人の正体は皆目つかめない。やがて再び病院内で殺人が発生する……! 犯人当てミステリの最高峰として歴史に名を刻む〈国名シリーズ〉第三弾。解説=法月綸太郎

『リュパン、最後の恋』/Le dernier amour d’Arsene Lupin

モーリス・ルブラン(Maurice Leblanc)/高野優・監訳 池畑奈央子・訳

創元推理文庫/定価735円(税込)/7月27日/ISBN:978-4-488-10723-9

自殺したレルヌ公が娘コラに残した遺書には、4人の男友達の中にいるはずのリュパンの正体を突きとめて彼に頼るようにとあった。折しもコラと英国の王位継承権を持つ公爵との縁談が持ち上がる。陰謀に巻き込まれるコラを守るためリュパンは動きだした。長く封印されていた遺作に、遺族の序、ルブラン研究家J・ドゥルアールの「モーリス・ルブラン、最後の小説」、ルブラン自身による「アルセーヌ・リュパンとは何者か?」を併録した完全版。

『刑事たちの三日間』上下/The Yard

アレックス・グレシアン(Alex Grecian)/谷泰子・訳

創元推理文庫/定価各1008円(税込)/7月27日/ISBN:(上)978-4-488-19006-4(下)978-4-488-19007-1

1889年、切り裂きジャックの恐怖が残るヴィクトリア朝ロンドン。地に落ちた警察への信頼を回復するため、ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)に殺人捜査課が創設された。日々捜査に忙殺される中、仲間のひとりが無残な死体となって発見される。事件の捜査を命じられたのは、新米警部補のディだった──。巨大都市にはびこる犯罪の闇、それに立ち向かう刑事の光。斬新なスタイルで贈る傑作警察小説!解説=三橋曉

『アーサー王の墓所の夢』/Relics of the Dead

アリアナ・フランクリン(Ariana Franklin)/吉澤康子・訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)7月27日/ISBN:978-4-488-22206-2

町ごと大火で焼失したグラストンベリー大修道院の墓地から、国王ヘンリー二世の命により掘り出された二体の人骨。それは伝説のアーサー王とその妃グウィネヴィアのものなのか? 住み慣れたケンブリッジの町を追われた女医アデリアは王に依頼され、供を連れ骨の鑑定に赴くが、途中まで一緒だった友人エマの一行は消息を絶ち、目的地でも数々の危難と謎が待ち受ける……。CWA最優秀歴史ミステリ賞シリーズ第三弾。解説=千街晶之