『養鶏場の殺人/火口箱』/The Tinder Box / Chickenfeed

ミネット・ウォルターズ(Minette Walters)/成川裕子・訳

創元推理文庫/定価945円(税込)/3月12日/ISBN:978-4-488-18711-8

1920年冬、エルシーは教会で純朴な青年に声をかけた。恋人となった彼が4年後に彼女を切り刻むなどと、だれに予想できただろう──。英国で実際に起きた殺人事件をもとにした「養鶏場の殺人」と、強盗殺害事件を通して、小さなコミュニティーにおける偏見がいかにして悲惨な出来事を招いたかを描く「火口箱」を収録。現代英国ミステリの女王が実力を遺憾なく発揮した傑作中編集。解説=大矢博子

『鐘楼の蝙蝠』/Bats in the Belfry

E・C・R・ロラック(E. C. R. Lorac)/藤村裕美・訳

創元推理文庫/定価903円(税込)/3月22日/ISBN:978-4-488-21104-2

作家ブルースは、ドブレットと名乗る謎の男に身辺に付きまとわれて神経をとがらせていた。彼を心配する友人の頼みを受けて、新聞記者グレンヴィルはドブレットの住みかを突き止めるが、件の人物は翌日行方をくらませ、空き家からはパリに出立したはずのブルースのスーツケースが発見される。そして部屋からは首と両手首のない遺体が……。謎に次ぐ謎、黄金期本格の妙味溢れる傑作。解説=駒月雅子

『パパ、ママ、あたし』/Mamma, pappa, barn

カーリン・イェルハルドセン(Carin Gerhardsen)/木村由利子・訳

創元推理文庫/定価1260円(税込)/3月22日/ISBN:978-4-488-21604-7

ハンマルビー署の刑事ペトラは、公園で凍えきった赤ん坊を発見した。近くにはひき逃げの被害にあったらしい、母親と思われる女性の死体が。警察が捜査を開始しようとした矢先、一本の電話が入った。フィンランドフェリーの船内で十六歳の少女が絞殺体で見つかったという。犯人は恋人か、行きずりの男か。子供をめぐる二つの事件は、意外な展開を見せる。ショーベリ警視シリーズ。訳者あとがき=木村由利子

『エリザベス王女の家庭教師』/Princess Elizabeth’s Spy

スーザン・イーリア・マクニール(Susan Elia MacNeal)/圷香織・訳

創元推理文庫/定価1323円(税込)/3月22日/ISBN:978-4-488-25503-9

わたし、マギー・ホープはチャーチル首相のタイピストから、MI-5の工作員へ抜擢された。だが、持久力に難ありと訓練に落第してしまう。落ち込むわたしに命じられたのは、ウィンザー城に疎開している王女の警備役。王位継承権第1位の14歳のエリザベス王女を、ナチスが狙っている恐れがあるというのだ。そして表向きは数学教師として城に赴くや否や、一大事件が勃発した……! 訳者あとがき=圷香織