■10月の新刊

『ミステリーズ!』vol.67 OCTOBER 2014

東京創元社(雑誌)/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1200円(税抜)/10月14日/ISBN:978-4-488-03067-4

【東京創元社60周年記念】

トークイベント

酒寄進一×高橋 啓×柳沢由実子

「翻訳小説が面白い!──ドイツ・フランス・北欧文学を語る」

【ブックエッセイ】

青木悦子 私はこれが訳したい Shoot a Sitting Duck David Alexander

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第十八回

【コラム】

レイコの部屋 第十二回

『窓辺の老人 キャンピオン氏の事件簿I』/The Case of the Old Man in the Window and Other Stories

マージェリー・アリンガム(Margery Allingham)/猪俣美江子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)880円(税抜)/10月14日/ISBN:978-4-488-21004-5

クリスティらと並び、英国四大女流ミステリ作家と称されるアリンガム。その巨匠が生んだ名探偵キャンピオン氏の魅力を存分に味わえる、粒ぞろいの短編集。袋小路で起きた不可解な事件の謎を解く「ボーダーライン事件」や、20年間毎日7時間半も社交クラブの窓辺にすわり続けているという伝説をもつ老人をめぐる、素っ頓狂な事件を描く表題作など計7編のほか、著者エッセイを併録。解説=戸川安宣

【収録作品】「ボーダーライン事件」「窓辺の老人」「懐かしの我が家」「怪盗〈疑問符〉」「未亡人」「行動の意味」「犬の日」/著者エッセイ「我が友、キャンピオン氏」

『月を盗んだ男 NASA史上最大の盗難事件』/Sex on the Moon: The Amazing Story Behind the Most Audacious Heist in History

ベン・メズリック(Ben Mezrich)/高山祥子・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1800円(税抜)/10月14日/ISBN:978-4-488-00383-8

ジョンソン宇宙センターの研修生、サド・ロバーツ。彼は2002年に、NASAが保管する“アポロ計画で月から採取した石”を盗み出してしまう。物理学、地質学、人類学を専攻、ユタ州立大学天文ソサエティを創設、ロシア語と日本語を習得した優秀な学生だったはずの彼が、なぜそんな事件を引き起こしたのか? どうやって厳重な警備を突破したのか? FBIはどのように彼を追いつめたのか? 信じがたい事件の真相に迫る傑作ノンフィクションノベル! 訳者あとがき=高山祥子

『探偵ブロディの事件ファイル』/Case Histories

ケイト・アトキンソン(Kate Atkinson)/青木純子・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2014/11/18 22:54時点)2500円(税抜)/10月22日/ISBN:978-4-488-01037-9

フランスに住むことを夢見る、バツイチ探偵ブロディ。中年の変人姉妹に依頼された34年前に消えた当時3歳の妹捜し(死んだ父親の家を片付けたら、妹とともに消えたぬいぐるみが出てきたんです!)、猫屋敷からいなくなった(誰かがさらっていったんです)黒猫捜し、さえない男の妻の浮気調査(あいつがあんなにゴージャスな女をものにできたなんて!)等々。『世界が終わるわけではなく』のアトキンソンがミステリを書いたのです。訳者あとがき=青木純子

『愛の裏側は闇 III』/Die dunkle Seite der Liebe

ラフィク・シャミ(Rafik Schami)/酒寄進一・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2014/11/18 22:54時点)2500円(税抜)/10月22日/ISBN:978-4-488-01034-8

1959年秋、シリア。大学進学が認められたファリードは、友人の影響で共産主義青年同盟に入る。ラナーとは秘密裡に交際をつづけていたが、混乱を極める政情の中で秘密警察に逮捕されてしまう。そしてダマスカス郊外の収容所に送られ、日常的に虐待を受ける獄中生活が始まる。一方のラナーは、家族の卑劣な企てにより無理矢理結婚させられる。心を閉ざして結婚生活をやりすごそうとするが、ついに精神に変調を来しはじめてしまう。それぞれに訪れた地獄の先に待つものとは——。今世紀最大級の世界文学、堂々の完結。訳者あとがき=酒寄進一

『出張鑑定にご用心』/Consigned to Death

ジェーン・K・クリーランド(Jane K. Cleland)/高橋まり子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1180円(税抜)/10月31日/ISBN:978-4-488-12805-0

港町ポーツマスでオークションハウスを営むジョシーは、ある日地域の警察署長の訪問を受ける。家財の出張鑑定をした老富豪が自邸で殺されたというのだ。容疑者となった彼女は、家財リストにあるルノアールの絵が見つからないことを出発点に、仕事と並行して独自の調査を進めるが──確かな審美眼を持つ腕きき女性オーナーが主人公となる、アンティーク×ミステリのシリーズ第一弾。訳者あとがき=高橋まり子

『ウィンブルドン』/The Finalists

ラッセル・ブラッドン(Russell Braddon)/池央耿・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1100円(税抜)/10月31日/ISBN:978-4-488-20408-2

キングとツァラプキン。境遇の異なる若きテニス世界ランカーは、試合を通じて意気投合し親友となった。彼らは互いに高めあい、やがてともにウィンブルドン選手権への出場を果たす。だが、その世界一の大舞台では、ある大胆な犯罪計画が実行されつつあった──。青年たちの友情を軸に、白熱する試合と犯罪の行方を描いて手に汗握らす、極上のスポーツ小説にして大傑作ミステリ! 訳者あとがき=池央耿/解説=北上次郎

『消えた少年』/Pojke Forsvunnen

アンナ・ヤンソン(Anna Jansson)/久山葉子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)各1300円(税抜)/10月31日/ISBN:978-4-488-17505-4

政治家である夫との隙間風に悩み、幼なじみの陶芸家に心惹かれるエルヴィーラ。最初は陶像のモデルになるだけだったが、それだけではすまなくなった。一度だけの情事。だが、ひとりの少年に見られていた。そしてその直後、少年が姿を消す。母親は半狂乱で行方を捜すが……。壊れかけた二つの家族。北欧の伝説息づく風光明媚なゴットランド島で何が? 自らも離婚を経験し、子どもと別れて暮らす女性警官マリア・ヴェーンが事件を追う。訳者あとがき=久山葉子

■11月の新刊■

『最後の1分』/The Last Minute

エレナー・アップデール(Eleanor Updale)/杉田七重・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1800円(税抜)/11月12日/ISBN:978-4-488-01035-5

クリスマスを控えたある日、ヒースウィックの町で連続爆発事件が起きた。主な原因は事故発生から半年を経ても明らかになっていない。クリスマスに娘が会いに来るのを楽しみにしている老人、一世一代の大葬儀を控えた葬儀会社の経営者、次期選挙を控えた不倫中の政治家、就職活動中の冴えない若者、そして……。ひとりひとりの登場人物たちの人生の一コマが、一分というものすごく限られた時間のなかに凝縮し、見事に描かれた野心作。

『ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密』/Paganini’s Ghost

ポール・アダム(Paul Adam)/青木悦子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1080円(税抜)/11月12日/ISBN:978-4-488-17806-2

名ヴァイオリン職人ジャンニのもとに、パガニーニ愛用の名器“大砲(イル・カノーネ)”が持ちこまれる。修理の翌日、美術品ディーラーの撲殺死体が発見された。彼はホテルの金庫に黄金製の箱を預けており、中にはエリーザという女性がパガニーニに宛てた古い手紙があった。これは事件解明の手がかりなのか? 名職人にして名探偵が“悪魔のヴァイオリニスト”をめぐる壮大な歴史の謎に挑む! 解説=青柳いづみこ

『赤い右手』/The Red Right Hand

ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ(Joel Towsley Rogers)/夏来健次・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)800円(税抜)/11月21日/ISBN:978-4-488-13408-2

語り手の私ことハリー・リドルは注意力と観察眼に恵まれた外科医である。手術を依頼された帰りに車が故障し、助けを求めて高名な大学教授の邸宅に行き着いた。修理ののち道行きを再開するや、婚約者が車もろとも攫われたと訴えるエリナ・ダリーに行き合う。赤い目に裂けた耳と鋭い歯、ねじれた脚──不気味な外見の小男を追って警察も動き出した。教授宅に戻った私は、警官が聴取した内容も交えて連続殺人事件の顛末をノートに綴り、悪夢の一夜の再構築を試みる。そこから立ち顕れた真相とは? 一世一代の超絶技巧、ミステリ史に残る比類なき怪作。訳者あとがき=夏来健次

『いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集』/Don’t Look Now

ダフネ・デュ・モーリア(Daphne du Maurier)/務台夏子・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1200円(税抜)/11月21日/ISBN:978-4-488-20604-8

ヴェネチアで不思議な老姉妹に出会ったことに始まる夫婦の奇妙な体験、映画『赤い影』の原作「いま見てはいけない」、父の死の謎を解くために父の旧友を訪ねた娘が知った真相「ボーダーライン」、代理でエルサレムへのツアーの引率役を務めることになった聖職者に降りかかる出来事「十字架の道」など、日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、天性の語り手である著者の才能を遺憾なく発揮した作品五編を収める粒選りの短編集。解説=山崎まどか

「いま見てはいけない」

「真夜中になる前に」

「ボーダーライン」

「十字架の道」

「第六の力」

『失踪当時の服装は【新訳版】』/Last Seen Wearing

ヒラリー・ウォー(Hillary Waugh)/法村里絵・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1000円(税抜)/11月28日/ISBN:978-4-488-15208-6

1950年3月。カレッジの一年生、ローウェルが失踪した。彼女は成績優秀な学生でうわついた噂もなかった。地元の警察署長フォードが捜索にあたるが、姿を消さねばならない理由もわからない。事故か? 他殺か? 自殺か? 雲をつかむような事件を、地道な聞き込みと推理・尋問で見事に解き明かしていく。巨匠が捜査の実態をこの上なくリアルに描いた警察小説の里程標的傑作! 解説=川出正樹

『怪盗ニック全仕事1』/The Complete Stories of Nick Velvet: Vol.1

エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)/木村二郎・訳

創元推理文庫/本体価格(2014/11/18 22:54時点)1160円(税抜)/11月28日/ISBN:978-4-488-20114-2

人から依頼されて動くプロの泥棒、怪盗ニックが盗むのは「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけ。そんな奇妙な条件にもかかわらず、彼のもとには依頼が次々舞い込んでくる。ターゲットはプールの水、プロ野球チーム、恐竜の尾……それらをいったいどうやって盗む? 短編の名手ホックが創造したユニークな怪盗の全仕事を発表順に収録した文庫版全集第1弾。解説=木村仁良

「斑の虎を盗め」

「プールの水を盗め」

「おもちゃのネズミを盗め」

「真鍮の文字を盗め」

「邪悪な劇場切符を盗め」

「聖なる音楽を盗め」

「弱小野球チームを盗め」

「シルヴァー湖の怪獣を盗め」

「笑うライオン像を盗め」

「囚人のカレンダーを盗め」

「青い回転木馬を盗め」

「恐竜の尻尾を盗め」

「陪審団を盗め」

「革張りの柩を盗め」

「七羽の大鴉を盗め」