注意!

 この連載は完全ネタバレですので、ホームズ・シリーズ(正典)を未読の方はご注意ください。

 このコラムでは、映像作品やパスティーシュ、およびコナン・ドイルによる正典以外の作品を除き、全60篇のトリックやストーリーに言及します。(筆者)

■資料の部の原則(このコラム全体で使う略称)

 SH:シャーロック・ホームズ

 JW:ジョン・H・ワトスン

 SY:スコットランド・ヤード

 B=G:ウィリアム・ベアリング=グールド(研究者)

 ACD:アーサー・コナン・ドイル

 BSI:ベイカー・ストリート・イレギュラーズ(団体)

 SHSL:ロンドン・シャーロック・ホームズ協会

 正典:ACDの書いたホームズ・シリーズ(全60篇)

■第9回「オレンジの種五つ」■

【1】資料の部

  • 原題……The Five Orange Pips(Strand Magazine英・米両版)/ Adventures of Five Orange Pips (Chicago Inter-Ocean) / The Story of Five Orange Pips (St. Louis Post-Dispach)

/略称:FIVE

  • 主な邦題……「オレンジの種五つ」(新潮文庫、河出文庫、光文社文庫)、「五つのオレンジの種」(創元推理文庫/深町眞理子、ハヤカワ文庫、ちくま文庫、角川文庫/石田文子)、「五個のオレンジの種」(創元推理文庫/阿部知二)、「五つぶのオレンジのたね」(角川文庫/鈴木幸夫)、「五粒のオレンジの種」(講談社文庫)、「五つぶのオレンジの種」(集英社コンパクト・ブックス)。その他明治・大正時代の訳に「暗殺党の船長」「秘密結社暗殺団」「蜜柑の種子が五つ」などがある。

/略称:『オレンジ』

  • 初出……Strand Magazine 1891年11月号(英)、Strand Magazine 1891年12月号(米)
  • 初出時の挿絵……シドニー・パジェット(英・米とも)
  • 単行本初版……The Adventures of Sherlock Holmes 1892年10月14日(英)、1892年10月15日(米)
  • 事件発生・捜査年月……1887年9月29日〜30日(B=G)。ワトスン自身の記述は「1887年9月末」
  • 登場人物(&動物)
    • SH、JW
    • 依頼人……ジョン・オープンショー(ホーシャムの屋敷の相続人)
    • 被害者……イライアス・オープンショー(ジョンの伯父、英国人だが米南北戦争の元大佐)、ジョゼフ・オープンショー(ジョンの父、イライアスの弟、元工場主)、ジョン・オープンショー
    • 犯人/悪役……ジェイムズ・キャルホウン(帆船ローン・スター号の船長)
    • 警察官……警部と警官ひとりずつ(おそらくサセックス州警察)
    • 若い女性キャラ……なし
    • その他……プレンダーガスト少佐(タンカーヴィル・クラブ醜聞事件依頼人)、フォーダム弁護士(イライアスの弁護士、ホーシャム在住)、フリーボディ少佐(ジョゼフの旧友、ポーツダウン・ヒル要塞の司令官)、メアリ(イライアスのメイド)
  • 執筆者……JW
  • ストーリー(あらすじと構成)

 結婚してベイカー街を離れていたワトスンは、妻が伯母のもとに出かけた数日間、古巣の下宿に泊まり込んでいた。1887年9月の末、秋分の嵐の中をやってきたのは、若い依頼人ジョン・オープンショー。伯父と父親が相次いで不審な死をとげたあと、自分にも脅迫状らしきものが届いたため、相談にやってきたのだった。

 伯父のイライアスは、アメリカに渡ってフロリダの農場主としてひと財産つくったあと、南北戦争に従軍して大佐にまで昇進したが、1869年ないし1870年にイギリスへ戻り、サセックス州ホーシャムに屋敷をかまえた。少年だったジョンは伯父に気に入られ、1878年からその屋敷に住みはじめると、やがて管理をまかされるようになる。

 1883年3月のこと、インドのポンディシェリの消印がついた手紙の封を伯父が切ると、乾いたオレンジの種が五つ、転がり出た。「K・K・Kだ!」と叫んで青ざめた彼は、屋根裏の小箱の中身を燃やし、遺言をつくり、酒びたりになっていく。それから7週間後の晩、庭の小さな池で死んでいるイライアスが発見され、自殺と断定されたのだった。

 その伯父の屋敷を相続した父ジョゼフのところへも、スコットランドからオレンジの種が五つ入った手紙が届く。1885年1月のことだった。手紙には「書類を日時計の上に置け」という指示もあったが、イライアスがすべて焼きすててしまっていたし、当のジョゼフはいたずらだとしてとりあわなかった。

 だがその五日後、ジョゼフは採掘あとの深い穴に落ちて死んでしまう。今度も事故死としてかたづけられ、ジョンが屋敷を相続することとなった。そしてつい昨日のこと、彼のもとへも五粒のオレンジの種が届いたのだった。ロンドンの消印がある手紙には、「K・K・K」という文字と「書類を日時計の上に置け」という文面。

 警察に届けても相手にされなかったこと、手紙が着いてからすぐに自分のもとに来なかったことを聞くと、ホームズはいつになく怒りをあらわにして、早急に対処するようジョンに指示する。伯父の書類でわずかに焼け残った紙片を元の小箱に入れ、日時計の上に置けという指示だ。

 イライアスはアメリカからある書類を持ち帰り、そのせいで暗殺者(脅迫者)たちに狙われたというのが、ホームズの考えだった。彼の持つ百科事典によれば、K・K・Kは元南軍兵士たちがつくった過激な秘密結社で、政治的に対立する相手にはオレンジの種などを送って警告したあと、暗殺するという。その結社が1869年にいきなり活動を停止したということからも、イライアスの関与が疑われた。そして、三つの手紙の消印と犯行日との関係から、その暗殺者たちが帆船に乗っていることなどを、ホームズは推理する。

 だが、ホームズの出動は間に合わなかった。翌朝、調査を開始しようとした矢先、新聞にジョン・オープンショー事故死の報が出ていたのだ。蒸気船の船着き場付近でテムズ川に落ちたジョンは、事故死と判断されていた。

 依頼人を殺され、「自尊心を傷つけられた」とみずから言うホームズ。彼は食事もせずに一日中調査を続け、犯人たちの乗っているのが米船籍のローン・スター号であることを突きとめると、船の到着する港へオレンジの種を五つ入れた復讐の手紙を送る。ところが、ローン・スター号は大西洋で嵐に巻き込まれてしまい、ホームズの手紙は彼らの元に届かなかったのだった。

  • ストーリー(ショートバージョン、あるいは本音のあらすじ)

 伯父イライアスと父ジョゼフが不審死したあと、2人への脅迫手紙と同じオレンジの種を受け取った、ジョン・オープンショー。手紙の主であるK・K・Kは南北戦争後につくられた暗殺もする秘密結社で、その活動を停止させるような書類をイライアスが持ち帰ったことで命を狙われたとホームズは推理するが、すでに遅かった。せっかく嵐の中を相談に来たジョンは、帰り道に襲われて水死してしまう。復讐を誓うホームズは、犯人を突きとめて逆にオレンジの種を送るが、相手の乗った帆船は嵐で沈んでしまう。依頼人も犯人も死んでしまい、うやむやになる事件。

  • 事件の種類……(オープンショー一家への)脅迫および殺人事件
  • ワトスンの関与……221Bで話を聞くだけ。
  • 捜査の結果……依頼人が殺されたのち犯人を突きとめるが、逮捕はできず死なれてしまう。依頼人がホームズのもとに来たあと殺されてしまうケースとしては、「踊る人形」がある。
  • ホームズの報酬/事件後の可能性………ジョン・オープンショーの父ジョゼフは、イライアスの屋敷と14000ポンド(現在の価値にして3億円以上)の銀行預金を相続した。そのジョゼフはもともと「かなりの財産を手に引退」しているので、約2年後にジョンが相続したとき、双方からの遺産は相当な額になったと思われる。したがって、ジョン自身が死ななければ、ホームズの報酬はかなりの金額になったろう。ジョンに妻子がいた気配はないので、彼の遺産はオープンショー家のほかの者に渡ったと思われる。

 その依頼人の死後、ただ働きとわかりながら、ホームズは自分の「自尊心」のため、一種の復讐のために、丸一日調査をしたのだった。

  • 物語・構成のポイント

 前述のように、依頼人も犯人も死んでしまうレアケースであるが、犯人を突きとめてはいるので、ホームズ自身がこの事件の冒頭で言っている「失敗」には数えられないであろう(彼の言う「失敗」は、相手に「出し抜かれた」場合なので)。

 ただ、事件が“解決した”という印象をもちづらく、尻すぼみの感がある作品であることは、確か。ワトスンは冒頭で、この事件は「謎の一部分しか解明されず、彼があれほど重要視する論理的・絶対的な証拠でなく、憶測や推量でしか説明のつかない」ものの部類だと書いており、確かにその通りだろう。そのせいで、初期の傑作揃いの『冒険』の中では比較的目立たない作品となっているのかもしれない。

“尻すぼみ感”を味わえる事件としては、「ブルース・パーティントン型設計書」もあるが、あちらはワトスンが結末部分の記述で手を抜いたような印象も受ける。

 ホームズ物語には、依頼人自身や事件解決の手がかりがアメリカとつながりのある場合(しかも過去の因縁話)が多く、これもそのひとつ。

  • ホームズの変装
    • なし
  • 注目すべき推理、トリック
    • 依頼人の靴に付いている土から場所を推理するのは、ホームズの手法として典型的。
    • 脅迫手紙の消印が港町であること、投函した日と犯行の日のずれなどから、犯人が帆船に乗っているという推理。
  • 本作に出てくる“語られざる事件”(ホームズが関わったもののみ)
    • 「“パラドールの部屋”事件」
    • 「“アマチュア乞食団”の事件」
    • 「バルク型英国帆船ソフィ・アンダースン号の失踪事件」
    • 「ウッファ島のグライス・パタースン一族の奇妙な冒険」
    • 「カンバーウェルの毒殺魔事件」
    • 「タンカーヴィル・クラブ醜聞事件」
  • よく引用される(あるいは後世に残る)ホームズのせりふ
    • 「ぼくにはきみのほかに友だちはいないよ。客を呼ぶようなこともない」(ワトスンに向かって)
    • 「失敗は四度ありましたよ——三度は男に、一度は女に出し抜かれました」(オープンショーに)
    • 「ぼくのところに持ち込まれる事件に、尋常なものはありませんよ。ここはいわば、最終上告裁判所ですから」
    • 「理想的な推理家というものはね……ある事実を示されれば、その事実に至るまでのすべてのできごとばかりでなく、そこからどういう結果が生じるかまでをすべて見抜けるんだ」
    • 「ワトスン、ぼくはプライドを傷つけられたよ……もちろん、取るに足らん個人的な感情ではあるが、自尊心が傷つけられた」
  • 注目すべき(あるいは有名な)ワトスンのせりふおよび文章
    • 「ああ、あれはおかしな診断書だったよ」(『緋色の研究』のときにつくったホームズの知識と能力リストを振り返って)

◆今月の画像

20141225152238.jpg 20141225152239.jpg

【左:今月の画像(1)】『ストランド』誌「オレンジ」のイラスト(シドニー・パジェット)

【右:今月の画像(2)】オープンショーの言う“カーペット政治屋たち”をKKKがリンチするという絵。The Independent Monitor, Alabama, 1868

【2】コラムの部

  • 作品の注目点、正典における位置づけ、書誌的なことなど

 資料の部で書いたように、『冒険』所収12作の中ではあまり目立たない作品だが、ホームズが「ぼくにはきみ(ワトスン)のほかに友だちはいない」と言い切っていることや、彼自身が過去の失敗例に触れていること、ホームズの考える理想の推理家像が説明されることなど、重要な点はいくつかある。また、ジョン・オープンショーの死を知らされたとき、ホームズにしては珍しく感情をあらわにし、「興奮を抑えきれずに部屋のなかを歩き回った」。→「翻訳に関する話題」参照

  • 邦題の話題

 明治・大正以外の訳では、ほぼ似たような邦題がつけられている。オレンジを「蜜柑」としたのは、その時代ならではだろう。

  • シャーロッキアーナ的な側面

「オレンジ」は、ワトスンの結婚生活について書かれている、数少ない事件のひとつ。ここで言及される「妻」は事件の年代から言って『四つの署名』のメアリだと思われるが、彼女の登場する作品は少ないばかりでなく、彼女をまともに描いたイラストもほとんどない。

 この作品では「語られざる事件」が冒頭に五つ、すぐあとの会話にひとつ出てくるが(同じ1887年に起きたと考えられる)、いずれもパスティーシュによく使われるタイトルである。「“アマチュア乞食団”の事件」については、この「オレンジ」の次の作品である「唇のねじれた男」のヒュー・ブーンとの関係が指摘されることもあるが、彼が団体に所属していたという根拠は薄いと思われる。

 K・K・Kの連中が乗っていたバルク型帆船ローン・スター号と、乗組員の階級は、当然ながらテキサスにあるホームズ団体で支部の名前などに使われている。

 ホームズの下宿にメイドがいたことのわかる、3作品のひとつ(残り二つは『緋色の研究』「ブルース・パーティントン型設計書」)。

  • ドイリアーナ的/ヴィクトリアーナ的側面

 この作品の中心テーマであるKKKは、ホームズが読みあげる『アメリカ百科事典』の記述どおりの団体だが、襲撃を前もって警告するためにメロンやオレンジの種を送りつけるという歴史的事実は、なかったようだ。KKKの警告として知られるのは、むしろ“燃える十字架”のほうだろう。“種”を送る、しかも五つ送るというのは、ドイルの創作なのか……。この点について、『緋色の研究』におけるモルモン教の記述とからめて、「ドイルは作品を書く上で調べが足りない」といった記述もネット上で見かける。だが、小説を書く上で虚実をないまぜにするのは、何もドイルだけの手法というわけではないだろう。

 また、KKK(クー・クラックス・クラン)の名前の由来にしても、通常はギリシャ語の“円環、集まり”を表わすkuklosが転訛したものと、“氏族”を表わす英語のclanからきているとするのが一般的だが、ドイルはこれに、ライフル銃の撃鉄を起こす音にちなむという解釈を与えている。『アメリカ百科事典』はドイルの創作であるものの、当時存在した別の百科事典には、似たような記述が存在するのだ。

 つまり、正典の(ドイルの)『アメリカ百科事典』には、KKKの名前の由来として“ライフル銃の撃鉄”説しか書かれていない。ところがハヤカワ文庫の大久保康雄訳では、“ギリシャ語語源”説も巧妙に加えて訳文を補足しているので、非常に興味深い。

 なお、この「オレンジ」は、ドイル自身が1927年に表明した「好きなホームズ作品」リストの中で、第7位。

  • 翻訳に関する話題

 オープンショーの死を知らされたホームズは、興奮を抑えきれずに部屋のなかを歩き回り、青白い顔を紅潮させ、「両手の細長い指を神経質に組み合わせたりはなしたりして」いた。この部分の原文は(He paced about the room ….. with)a nervous clasping and unclasping of his long, thin hands.で、clasp and unclasp one’s handsは、「両手を握り合わせたりほどいたりする」こと。『しぐさの英語表現辞典』(研究社)によれば、「居ても立ってもいられない不安なとき;落ち着きのないしぐさ」とある。また、clasp one’s hands (together)なら、「両手を握り合わす」ことで、哀願や絶望、大喜び、緊張、祈りなど強い感情のため、胸の前、あるいは膝や机の上で手をかたく握り合わせることを意味する。ホームズがいかに興奮しているかがわかるだろう。

 ちなみに、単純に「手を握ったり開いたり」しているという訳も散見するが、それだけだと、片手を握ったり開いたりしているだけの印象を受けるのではないだろうか。もちろん、両手を前や上に突き出してそれぞれをぐっと握りしめれば、興奮しているようすには見えるが。

◆今月の画像

20141225152240.jpg 20141225122513.jpg

【左:今月の画像(3)】19世紀のバルク型帆船の模型

【右:今月の画像(4)】ダラスのホームズ団体“The Crew of the Barque Lone Star”のマーク

★今月の余談に代えて★

 前回は、今年9月末にスイスのダヴォスで開かれたドイル・シンポジウムの話を少しだけ書いた。このシンポジウムには英米の著名シャーロッキアンが多数参加したが、ロンドン・ホームズ協会の幹部で長年ホームズ・コレクションの管理者をしている、キャサリン・クックもそのひとりだ。たまたまディナーの席で真向かいに彼女が座ったので、当時私が気になっていた質問をしてみた。これまでにも書いてきた、BBCテレビ『SHERLOCK』がシャーロッキアン/ホーメジアン界に与えた影響についてである。

『SHERLOCK』ファン、あるいはカンバーバッチ・ファンとしての“シャーロッキアン”は、その多くが女性であり、ネット上のサイトやブログやFacebook、Twitterを通じて世界中に広がっている。だが、そうした新たな映像化ホームズ作品ファンがシャーロッキアンの団体に入ってくるかというと、少なくとも日本では、会員数にほとんど変化が見られなかった。グラナダ・テレビのジェレミー・ブレットがブームになったときと比べると、増加はないに等しいと言えるのではないだろうか。

 では、ロンドンのホームズ協会はどうなのだろう、というのが私の疑問だった。最古参のBSIは推薦+会長による認可で会員になれるシステムだから、比較の対象にはならない。だが、SHSLは日本と同様、会費さえ払えば入会できるので、動向が気になるところだ。

 キャサリンの答は、ほぼ予測とおりだった。ロンドンでも『SHERLOCK』ファンによる会員増加はほとんどないという。その理由については、そうしたファンは前述のようにネット上でつながり、自分たちだけで楽しむ傾向があるので、わざわざ既存の(しかも堅苦しく思えるような)ホームズ団体へは入ってこないのだろうというのが、彼女の考えだった。おそらくそのとおりなのだろう。すると、ブレット・ホームズのときは映像だけでなく原作(正典)を読もう、あるいは正典を研究する人たちと交流しようという考えの人がいたが、カンバーバッチ・ホームズの場合はいないということなのだろうか。

 そう思っていたら、フランスのホームズ協会では一気に会員が増えたという噂を聞いた。真偽を確かめるため、フランス語訳者のシャーロッキアン、寺井杏里氏に確認したら、確かにそうだった。今年の初めにフランスの雑誌が『SHERLOCK』を始めとする最近の映像化作品の特集をしたところ、次の週には100人以上の入会があったのだという。驚くべし、映像の力。フランスの協会は会費無料で、今年10月の時点で2000人以上いるというから、日本を抜いて世界一の会員数になったと言えよう。

 ところがその後、フランスの協会と親しいロンドン在住のシャーロッキアン、清水健氏に聞いたところ、なんと『SHERLOCK』の影響でフランス協会は分裂したという。要するに『SHERLOCK』認める派(ファン?)と、そうでないオーソドックスなシャーロッキアンの対立なのだろうか。

 続報を待ちたい。いや、来月のBSI総会にフランス協会の連中が来たら、ぜひともこのことを聞いてみよう。……来るだろうか?

日暮 雅通(ひぐらし まさみち)

 1954年千葉市生まれ。翻訳家(主に英→日)、時々ライター。ミステリ関係の仕事からスタートしたが、現在はエンターテインメント小説全般のほか、サイエンス&テクノロジー、超常現象、歴史、飲食、ビジネス、児童書までを翻訳。2014年も十冊ほど訳書が出る予定。

 個人サイト(いわゆるホームページ)を構築中だが、家訓により(笑)SNSとFacebook、Twitterはしない方針。

日本人読者のためのホームズ読本:シリーズ全作品解題(日暮雅通)バックナンバー