『ミステリーズ!』vol.73 OCTOBER 2015

東京創元社(雑誌)/本体価格(2015/11/01 08:54時点)1200円/10月13日/ISBN:978-4-488-03073-5

【ブックエッセイ】

高橋恭美子 私はこれが訳したい Unlikely Friendships Jennifer S. Holland

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第二十四回

『もうひとりのタイピスト』/The Other Typist

スーザン・リンデル(Suzanne Rindell)/吉澤康子・訳

単行本/本体1900円/10月13日/ISBN:978-4-488-01048-5

1924年、ニューヨーク。ローズは警察署のタイピストとして、地味ながら安定した生活を送っていた。だが、美しい黒髪を断髪にし、最新流行の高級な服に身を包んだ自由奔放なタイピスト、オダリーが現れ彼女の人生は一変する。ローズはオダリーに魅了され心酔するが、しだいに彼女のふるまいに犯罪の影を感じ、生い立ちにも疑問を覚えはじめる。嘘と秘密を纏う、美貌の新人タイピストの真の目的とは──。訳者あとがき=吉澤康子

『スパイ学校の新任教官』/The Prime Minister’s Secret Agent

スーザン・イーリア・マクニール(Susan Elia MacNeal)/圷香織・訳

創元推理文庫/本体1260円/10月21日/ISBN:978-4-488-25505-3

1941年初冬。スパイ任務で心に癒しがたい傷を負ったわたし、マギー・ホープ。辛い記憶を振り払うように、スコットランドにある特別作戦執行部(SOE)の訓練キャンプの鬼教官として、スパイのひよっこたちを鍛え上げていた。そんな折、親友のバレリーナから公演に招待され、エディンバラを訪れることに。だが、舞台で事件が発生して……。マギーがさらなる成長を遂げる、シリーズ第四弾。訳者あとがき=圷香織/解説=穂井田直美

『獣の記憶』/Wolfszeit

ニーナ・ブラジョーン(Nina Blazon)/遠山明子・訳

創元推理文庫/本体1160円/10月21日/ISBN:978-4-488-28703-0

首のない死体。噛みさかれたような傷跡。狼か未知の獣の仕業か。博物学者の卵トマスは、襲撃を生き延びた少女に出会う。十八世紀フランスを舞台にしたゴシックミステリ決定版。訳者あとがき=遠山明子

『人形遣い』/Blut sommer

ライナー・レフラー(Rainer Loffler)/酒寄進一・訳

創元推理文庫/本体1200円/10月30日/ISBN:978-4-488-23509-3

解体され、内臓を抜かれた死体……解体屋事件と呼ばれる連続殺人事件の犯人は人形遣いと名乗る人間だった。遺体の声を聞くという独特なプロファイリング手法で数々の事件を解決してきた分析官は、死体から何を聞き出すのか? 訳者あとがき=酒寄進一

『にぎやかな眠り【新版】』/Rest You Merry

シャーロット・マクラウド(Charlotte MacLeod)/高田惠子・訳

創元推理文庫/本体1000円/10月30日/ISBN:978-4-488-24603-7

農業大学のある田舎町バラクラヴァに、今年もクリスマスがやってきた。町をあげての浮かれ騒ぎを見に、群衆が押し寄せる季節が。毎年の喧噪に業を煮やした大学教授のシャンディは、自宅をどぎつく飾りたて旅に出るが、それが事件を招いてしまう。戻ってきたわが家で、友人の妻が変死していたのだ! アガサ賞生涯功労賞作家が贈る、万人に愛された傑作ミステリ・シリーズ第一弾。解説=浅羽莢子

『なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集』/The Smoking Room and Other Stories

シャーリイ・ジャクスン(Shirley Jackson)/市田泉・訳

創元推理文庫/本体1000円/10月30日/ISBN:978-4-488-58304-0

家に出没するネズミを退治するため、罠を買うようにと妻に命じた夫が目にする光景とは……ぞっとする終幕が待ち受ける「ネズミ」。謎の追跡者から逃れようと都市を彷徨う女の姿を描く、美しい悪夢の結晶のごとき一編「逢瀬」。犯罪実話風の発端から、思わぬ方向へと話がねじれる「行方不明の少女」など、悪意と妄念、恐怖と哄笑が彩る23編にエッセイ5編を付す。本邦初訳作多数。訳者あとがき=市田泉

【収録作品】

「序文 思い出せること」

「スミス夫人の蜜月(バージョン1)」

「スミス夫人の蜜月(バージョン2)——新妻殺害のミステリー」

「よき妻」

「ネズミ」

「逢瀬」

「お決まりの話題」

「なんでもない日にピーナツを持って」

「悪の可能性」

「行方不明の少女」

「偉大な声も静まりぬ」

「夏の日の午後」

「おつらいときには」

「アンダースン夫人」

「城の主(あるじ)」

「店からのサービス」

「貧しいおばあさん」

「メルヴィル夫人の買い物」

「レディとの旅」

「『はい』と一言」

「家」

「喫煙室」

「インディアンはテントで暮らす」

「うちのおばあちゃんと猫たち」

「男の子たちのパーティ」

「不良少年」

「車のせいかも」

「S・B・フェアチャイルドの思い出」

「カブスカウトのデンで一人きり」

「エピローグ 名声」