『ミステリーズ!』vol.74 DECEMBER 2015

東京創元社(雑誌)/本体価格(2015/12/27 19:21時点)1200円/12月12日/ISBN:978-4-488-03074-2

【ブックエッセイ】

法村里絵 私はこれが訳したい To Kill a Mockingbird Harper Lee

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第二十五回

『深い森の灯台』/The Redge

マイクル・コリータ(Michael Koryta)/青木悦子・訳

創元推理文庫/本体1300円/12月12日/ISBN:978-4-488-11706-1

深い森の中に立つ灯台で、それを建てた男が自殺した。死の直前の彼から謎のメッセージを受けた保安官代理主任のキンブルは、この土地ではるか昔から恐るべき出来事が続いていたことに気づく。さらに丘陵の周辺で次々に不穏な出来事が起こりはじめる。事故を起こし幻を見たキンブルの部下。夜が来ると攻撃的になる動物たち。そして森に正体不明の青い光が現れ、新たな惨劇が……。解説=千街晶之

『蹄鉄ころんだ【新版】』/The Luck Runs Out

シャーロット・マクラウド(Charlotte MacLeod)/高田惠子・訳

創元推理文庫/本体1000円/12月12日/ISBN:978-4-488-24630-3

生涯の伴侶を得て、幸せいっぱいのシャンディ教授を新たな騒動が襲う。貴金属工芸店での強奪事件に巻きこまれたのを皮切りに、同僚が愛情こめて育てた美しい雌豚は誘拐され、殺人まで起きてしまう。すべては不幸のおまじない──何者かが逆さに打ちつけた馬房の蹄鉄のせいなのか? 年に一度の馬の競技会が迫るなか、教授は捜査に励む。温かな笑いに彩られた傑作ミステリ第二弾。訳者あとがき=高田惠子

『センター18』/The Ninth Configuration

ウィリアム・ピーター・ブラッティ(William Peter Blatty)/大瀧啓裕・訳

単行本/本体1700円/12月21日/ISBN:978-4-488-01042-3

1960年代後半、ヴェトナム戦争の時代。妄想に取りつかれた合衆国軍の将校たちは、仮病と疑われながら秘密収容所に送りこまれ、治療と研究の対象となっていた。最後の収容所となったセンター18には、元宇宙飛行士のカットショー大尉を始め、様々な強迫観念に囚われた兵士たちが収容されていた。新たに配属された海兵隊の精神科医ハドスン・ケイン大佐は、収容者たちの話を聞き続ける中で、かつての患者が見ていた悪夢に繰り返し苛まれる──

館に蔓延する狂気と悪夢。そして“奇蹟”の顕現。『エクソシスト』の鬼才が贈る傑作。訳者あとがき=大瀧啓裕

『秋の城に死す』上下/Hostoffer

モンス・カッレントフト(Mons Kallentoft)/久山葉子・訳

創元推理文庫/本体各1300円/12月21日/ISBN:(上)978-4-488-25607-4(下)978-4-488-25608-1

長年にわたりフォーゲルシュー伯爵家が所有していたスコーグソー城。それを買い取った弁護士ピエテションが殺害された。被害者は幼い頃からこの土地で育ち、貧しい出自にもかかわらず評判の天才児だったらしい。警察の捜査線上に浮かんだのは、代々所有していた領地を売る羽目になった伯爵とその息子と娘。また、被害者は海外に逃亡中の詐欺師とも取引があったらしい。恨みか金か。古城での奇怪な殺人に女性刑事モーリンが挑む。訳者あとがき=久山葉子

『マジシャンは騙りを破る』/The Ambitious Card

ジョン・ガスパード(John Gaspard)/法村里絵・訳

創元推理文庫/本体1100円/12月21日/ISBN:978-4-488-28902-7

ミネソタ州ミネアポリスとセントポール。ツインシティと呼ばれるこのあたりの川沿いの洞窟で、今夜、死後の世界と交信できるという男のショーがテレビで生中継される。マジシャンのぼくの役どころは、そのインチキを暴くこと。それがうまくいった翌日、ぼくは警察に連れていかれる。件の男が殺され、ぼくが容疑者のひとりだというのだ……。ライトなミステリ・シリーズ第一弾。訳者あとがき=法村里絵