■5月の新刊

『ラスト・ウィンター・マーダー』/Blood of My Blood

バリー・ライガ(Barry Lyga)/満園真木・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1340円/5月12日/ISBN:978-4-488-20805-9

トランクルームのユニットに閉じこめられたジャズが目を覚ますと、そばにはふたつの死体が……。これでは自分が殺したと疑われてしまう。一方コニーは、ニューヨークに潜伏しているビリーの手に落ちていた。ジャズの、コニーの運命は? みにくいJとは誰か? 謎の言葉〈カラスの王〉の意味は? ジャズはビリーの跡継ぎとなってしまうのか。驚異の青春ミステリついに完結! 訳者あとがき=満園真木

『埋葬された夏』/Weirdo

キャシー・アンズワース(Cathi Unsworth)/三角和代・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1340円/5月21日/ISBN:978-4-488-27006-3

1984年、イギリスの海辺の町で、ある少女が殺人者として裁かれた——そして20年後、弁護士に依頼された私立探偵が町を訪れ調査を始めたことで、終わったはずの事件が再び動きだす。あの夏、少女のまわりで、本当は何が起きていたのか。現在と過去の交錯する語りがもたらす「被害者捜し」の趣向、深く心に刻まれる真相の衝撃と幕切れの余韻。現代英国ミステリの傑作、ここに登場。解説=霜月蒼

『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊』/When Books Went to War

モリー・グプティル・マニング(Molly Guptill Manning)/松尾恭子・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2016/07/03 17:17時点)2500円/5月30日/ISBN:978-4-488-00384-5

第二次世界大戦終結までに、ナチス・ドイツは発禁・焚書によって一億冊を超える書物をこの世から消し去った。対するアメリカは、戦場の兵隊たちに本を送り続けた——その数、およそ一億四千万冊。アメリカの図書館員たちは、全国から寄付された書籍を兵士に送る図書運動を展開し、軍と出版業界は、兵士用に作られた新しいペーパーバック“兵隊文庫”を発行して、あらゆるジャンルの本を世界中の戦地に送り届けた。本のかたちを、そして社会を根底から変えた史上最大の図書作戦の全貌を描く、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの傑作ノンフィクション! 訳者あとがき=松尾恭子

『偽りの書簡』/Don de Lenguas

ロサ・リーバス&サビーネ・ホフマン(Rosa Ribas and Sabine Hofmann)/宮崎真紀・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1400円/5月30日/ISBN:978-4-488-12807-4

独裁政権下のバルセロナで上流階級の未亡人が扼殺された。新聞記者アナは被害者宅から押収された書類を調べ、恋文を発見する。差出人がわからなかったが、思わぬ援軍を得る。はとこの文献学者ベアトリズは、文章の綴り

方、言い回し、形容詞等から書いた人物像を巧みに導き出し、驚くべき手がかりを見つけ出してみせた。言語と文学を愛する文献学者の叡智が冴え渡る傑作ミステリ! 解説=大矢博子

『ルーフォック・オルメスの冒険』/Les Aventures de Loufock=Holmes

カミ(Cami)/高野優・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)900円/5月30日/ISBN:978-4-488-18501-5

名探偵ルーフォック・オルメス氏。オルメスとはホームズのフランス風の読み方。シャーロックならぬルーフォックは「ちょっといかれた」を意味する。首つり自殺をして死体がぶらさがっているのに、別の場所で生きている男の謎、寝ている間に自分の骸骨を盗まれたと訴える男の謎等、氏のもとに持ち込まれるのは驚くべき謎ばかり。フランス式ホームズ・パロディ短篇集。必読の一冊。訳者あとがき=高野優

『幽霊はお見通し』/The Ghost and Mrs. Jeffries

エミリー・ブライトウェル(Emily Brightwell)/田辺千幸・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)980円/5月30日/ISBN:978-4-488-20006-0

新年早々、またも殺人事件の捜査を任されることになったウィザースプーン警部補。裕福な婦人が殺されたのは、交霊会から帰宅した直後のことだった。今回も主人を陰で助けようとするジェフリーズ夫人と使用人一同だが、このところメイドと馭者の仲が険悪で、捜査に支障が出かねない。奇しくもその原因も、交霊会がらみで!?単純そうで手ごわい事件に探偵団が挑むシリーズ第3弾! 訳者あとがき=田辺千幸

■6月の新刊

『ミステリーズ!』vol.77 JUNEL 2016

東京創元社(雑誌)/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1200円/6月13日/ISBN:978-4-488-03077-3

【特集】パスティーシュ小説、エッセイで贈る 名探偵ルーフォック・オルメスがやって来る!

エッセイ「オルメスの魅力」高野 優

エッセイ「名探偵ルーフォック・オルメスの書誌事件簿」北原尚彦

小説「ルーフォック・オルメス対帆村荘六」芦辺拓

【ブックエッセイ】

廣嶋玲子 私の一冊『パンプルムース氏のおすすめ料理』マイケル・ボンド

戸田早紀 私はこれが訳したい Peter Nimble and His Fantastic Eyes Jonathan Auxier

【評論】

川出正樹 ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 第二十八回

『邂逅 シドニー州都警察殺人捜査課』/Hades

キャンディス・フォックス(Candice Fox)/冨田ひろみ・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1100円/6月13日/ISBN:978-4-488-17905-2

シドニーのマリーナで、海底に沈められたスチール製の収納ボックスが発見された。1メートル四方の箱には全身傷だらけの少女の遺体が収められ、周囲から同様の遺体の入ったボックスが20も見つかった。シドニー州都警察殺人捜査課に異動してきた刑事フランクは、女性刑事エデンと未曾有の死体遺棄事件を追う。オーストラリア推理作家協会賞2年連続受賞の警察小説シリーズ開幕! 訳者あとがき=冨田ひろみ

『過去を殺した女』/Selvrisiko

エルスベツ・イーホルム(Elsebeth Egholm)/木村由利子・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1400円/6月22日/ISBN:978-4-488-15705-0

ディクテの隣家の厩舎が火事になり、同夜、市内の学校が放火された。さらに隣家で留守番をしていた女性が、惨殺死体で発見される。彼女は放火された学校の教師だった。二つの事件は繋がっているのか? 調べるうちに次第に明らかになる、殺された女性教師の意外な過去。母との確執、父の死、娘の巣立ち、年下の恋人との関係と、自らも悩み山積の新聞記者ディクテが、事件を追う。訳者あとがき=木村由利子

『古書贋作師』/The Forgers

ブラッドフォード・モロー(Bradford Morrow)/谷泰子・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1000円/6月22日/ISBN:978-4-488-18405-6

後頭部を殴打され、両手首を切断された状態で発見されたその男は、コナン・ドイルなど著名作家の直筆を偽造する贋作師だった。彼の妹と交際しているわたしも、かつて名を馳せた贋作師。だが逮捕されたことを契機に足を洗い、今は古書オークションハウスで働いている。文豪の筆跡で書かれた、謎の脅迫状に怯えながら……。異様な語りで稀覯本の世界へ読者を誘う、異色のミステリ。解説=三橋暁

『怪盗ニック全仕事3』/The Complete Stories of Nick Velvet: Vol.3

エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)/木村二郎・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1300円/6月22日/ISBN:978-4-488-20116-6

盗みの対象は価値のないもの、誰も盗もうとはしないものに限定されるが、一度引き受けた依頼はどんな困難なものでもやりとげるプロ中のプロ——それが怪盗ニックだ。本書にはそんな彼が日本を訪れる話や、足首を骨折しながらも盗みに挑む話、政府の依頼で動く話など、本邦初訳や単著初収録の作品を多数収めた。短編の魅力がふんだんにつまった傑作シリーズ、文庫版全集第3弾。解説=木村仁良

【収録作品】☆=本邦初訳/◇=単著初収録

「つたない子供の絵を盗め」◇

「家族のポートレイト写真を盗め」

「駐日アメリカ大使の電話機を盗め」◇

「きのうの新聞を盗め」

「消防士のヘルメットを盗め」◇

「競走馬の飲み水を盗め」◇

「銀行家の灰皿を盗め」

「スペードの4を盗め」◇

「感謝祭の七面鳥を盗め」☆

「ゴーストタウンの蜘蛛の巣を盗め」☆

「赤い風船を盗め」☆

「田舎町の絵はがきを盗め」☆

「サパークラブの石鹸(せっけん)を盗め」

「使用済みのティーバッグを盗め」◇

『執着』/Los enamoramientos

ハビエル・マリアス(Javier Marias)/白川貴子・訳

東京創元社(単行本)/本体価格(2016/07/03 17:17時点)2500円/6月30日/ISBN:978-4-488-01662-3

出版社で働くマリアが憧れていた夫婦。その夫が殺された。通り魔殺人なのか? それとも、三角関係の清算か? それとも……。彼は不治の病だったという。ノーベル賞候補とも目される著者による愛と死をめぐる哲学的小説。訳者あとがき=白川貴子

『探偵は孤高の道を』/Claire DeWitt and the Bohemian Highway

サラ・グラン(Sara Gran)/?山祥子・訳

創元推理文庫/本体価格(2016/07/03 17:17時点)1200円/6月30日/ISBN:978-4-488-16203-0

2011年1月。サンフランシスコの私立探偵クレアは、かつての恋人、ポールの死を知る。ギタリストの彼は自宅の居間で銃殺され、膨大なギターのコレクションのうち5本がなくなっていた。犯人の狙いは貴重なギターなのか? 想いを残したまま別れた相手が殺害され、極限まで自らを追い詰めて懸命に真実を追うクレア。『探偵は壊れた街で』で鮮烈な印象を残した女探偵の新たな苦闘。解説=久美沙織