『悪魔に食われろ青尾蠅』/Devil Takes the Blue-Tail Fly

ジョン・フランクリン・バーディン(John Franklin Bardin)/浅羽莢子・訳

創元推理文庫/定価735円(税込)/12月11日/ISBN:978-4-488-13503-4

精神病院に入院して二年。ようやく退院が許されたハープシコード奏者のエレンは、夫の待つ家に帰り、演奏活動の再開を目指す。だが楽器の鍵の紛失に始まる奇怪な混乱が身辺で相次ぎ、彼女を徐々に不安に陥れていく。エレンを嘲笑うがごとく日々増大する違和感は、ある再会を契機に決定的なものとなる。早すぎた傑作としてシモンズらに激賞され、各種ベストに選出された幻の逸品。解説=松浦正人

『人形遣いと絞首台』/The Weed that Strings the Hangman’s Bag

アラン・ブラッドリー(Alan Bradley)/古賀弥生・訳

創元推理文庫/定価1155円(税込)/12月11日/ISBN:978-4-488-13603-1

教会の墓地で、11歳の少女フレーヴィアは、テレビで有名だという人形遣いとアシスタントの女性に出会った。乗ってきたヴァンが壊れてしまったのだが、修理代がないという。そこで、お金を稼ぐために『ジャックと豆の木』を上演することになったんだけど……。異例の数の新人賞に輝いた『パイは小さな秘密を運ぶ』につづく、化学大好き少女探偵、フレーヴィア・シリーズ第二弾! 解説=大矢博子

『魔女の館』/The Witch’s House

シャーロット・アームストロング(Charlotte Armstrong)/近藤麻里子・訳

創元推理文庫/定価945円(税込)/12月18日/ISBN:978-4-488-26305-8

同僚アダムズの不正行為に気づき怒りに駆られた大学講師パットは、帰宅しようとした彼を追跡、詰問したあげく殴られて老婆の棲む一軒家に囚われの身となる。凶暴な飼い犬ともども危険視されているミセス・プライドは重傷を負ったパットを息子と呼び世話をするが、医者を呼ぼうともせず外界との交渉は絶望的。突然消息を絶ったパットを案じる妻アナベルは、学長や警察の出方に業を煮やして探索を始める。その間にもパットの身体と精神の状態は悪化の一途を辿り……。名手が贈る円熟の長編サスペンス。解説=小森収

『愛は血を流して横たわる』/Love Lies Bleeding

エドマンド・クリスピン(Edmund Crispin)/滝口達也・訳

創元推理文庫/定価1008円(税込)/12月18日/ISBN:978-4-488-15602-2

スタンフォード校長は頭をかかえていた。化学実験室からの盗難、終業式の演劇に出演する女生徒の失踪に続き、教師二人が射殺されたのだ。校長は、来賓として訪れていた名探偵フェン教授に助力を求める。犯行現場に赴き、鋭い推理を披露するフェンだが、翌日村はずれの田舎家でまたもや殺人が……。J・D・カーに私淑しミステリをものした才人による、黄金期の香気漂う英国探偵小説。解説=宮脇孝雄

『サイモン・アークの事件簿II』/The Second Casebook of Simon Ark

エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)/木村二郎・訳

創元推理文庫/定価1050円(税込)/12月18日/ISBN:978-4-488-20110-4

2000年の長きにわたる人生の大半を、悪魔と超自然現象の探求についやす謎の男、サイモン・アーク。彼の行く先々で、怪奇な謎が死者を生む。カスパー・ハウザーの伝説に酷似した雪原の死、ロシアとアメリカで相次ぐ宇宙飛行士怪死事件、インド洋の島に跳梁する吸血鬼の影、ファラオの墓から発掘された喇叭が招いた死……いずれ劣らぬ難事件に、オカルト探偵が卓越した推理力で挑む8編を収録した、珠玉の第2短編集。解説=木村仁良

『東京創元社 文庫解説総目録』/Tokyo Sogensha Paperbacks: Bibliography and Index

高橋良平+東京創元社編集部・編

東京創元社/定価5250円(税込)/12月18日/ISBN:978-4-488-49511-4

創元推理文庫は、1959年4月、『兇悪の浜』『黄色い部屋の謎』『赤い館の秘密』『ベンスン殺人事件』の4点同時刊行でスタートしました。本書は、2010年3月までに弊社が刊行した文庫全点に内容紹介を付した『文庫解説総目録』です。創元推理文庫(ミステリ、ホラー&ファンタジー[旧・怪奇と冒険]、ゲームブックス)、創元SF文庫、イエローブックス、創元ノヴェルズ、創元ライブラリ、創元コンテンポラリの全文庫作品を掲載しています。巻末には詳細な作品名・著者名索引を付しました。

また、別冊の[資料編]には、創元推理文庫をはじめ現在までに小社が刊行した文庫の基礎となった単行本叢書・単行本全集・および現在も刊行されている関連ジャンルの単行本について、リストと読み物をまとめました(全刊行物のリストではありません)。第1部には新規の座談会や過去のエッセイを収録し、第2部では歴史を追うかたちで、叢書ごとのリストを中心に月報や雑誌等で発表された座談会、エッセイ等を採録。各叢書の冒頭に載せた案内文は、内容見本や広告文から採録したものです。第3部には関連ジャンルの単行本のリストを掲載しています。

東京創元社発のひとりごと(編集部・S)