日本でも爆発的人気を博しているBBC制作『SHERLOCK/シャーロック』。このドラマの見どころは、なんといっても脚色の素晴らしさ。舞台をヴィクトリア時代から現代のロンドンに移動。もしホームズが現代にいたら○○するだろう、というアイディアを縦横無尽に膨らましつつ、原作ファンへの目配せも忘れず、あちらこちらにいろんな仕掛けを盛りこんだ、贅沢でなおかつ奔放な想像力に満ちあふれた稀に見る傑作に仕上がっています。

 名作と謳われるグラナダTV版『シャーロック・ホームズの冒険』Sherlock Holmes シリーズは、その丁寧な時代感作りと、故ジェレミー・ブレットのあまりのシドニー・パジェット挿絵激似っぷりに誰もが驚嘆しましたが、今回の新版はまさにそのままロケ地が舞台になっているところが、馴染みやすくライブ感も得られるという強みだと思います。ロンドンのシンボルとして有名な場所の数々が随所に使われているのも、世界中にファンが多い理由の一つかもしれません。

 そこで、人気ファンサイト SHERLOCKOLOGY を頼りに、2日でできる、そして(私のように)超絶方向音痴でも大丈夫な、主要ロケ地巡りをレポートします。

:文中の情報は2012年10月現在のものです。

  バスを含めすべての交通機関はルート等が変更になる可能性があるので、最新の情報をご確認ください。

  【略称】St→Street、Ave→Avenue、Rd→Road、Sq→Square、Gdn→Garden、Pl→Place

■1日め/地下鉄・徒歩編■

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 まずは聖典に敬意を表し、地下鉄 Bakerloo Line の Baker St 駅を目指しましょう。芸が細かいタイルにご注目。

 この駅は他に4線が通っていますが、このタイルは Bakerloo Line のみなのでご注意! 駅前 Marylebone Rd に出て、マダム・タッソー蝋人形館が左にあれば、右の交差点を横に走るのが Baker Street。その交差点を渡って右折し直進、Sherlock Holmes Museum が 221B です。ちなみに Bond Street のデパート Selfridge’s の横から出ている、Baker Street Station行きの74番バスは、ドラマ中でシャーロックとジョンが手に手を取って逃亡中に横切るあのバスですが、くれぐれもマネなどされないよう。

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 さてここからが現代版。地下鉄で Euston Square駅 に向かいます。地上出口前を通る Euston Rd を右に向かってすぐ右折すると Gower St。通り沿いに見慣れた赤い日除けのお店……その横にはあの黒い扉が!!!

 ファンの人なら、「あれ?ドアの左に青い丸なんてあったっけ」とすぐに気づくのでは。これは blue plaque と呼ばれ、その建物が歴史的人物の生家や下宿先だったことを証明するプレートです。ここは1830年代にイタリアの政治家ジュゼッペ・マッツィーニが住んでいたそうで、これがあるとベイカー街じゃないのがバレバレなため、撮影では外灯でカバー。

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 右のお店 Speedy’s は看板通りの軽食屋さんです。10席ちょっとの狭い店内には、撮影時のキャストの写真が壁一杯に飾られていて大興奮。地元の人でとても混んでいますが、せっかくなのでお昼を食べてみました。ジャケットポテトのベイクドビーンズ添えでお腹いっぱい。

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 腹ごなしに歩きます。先ほどの Euston Rd に戻り、来た道を反対側にどんどん進み Upper Woburn Place の交差点に来たら、信号を右折し南に向かって直進。途中、道路反対側の建物に blue plaque が見えますが、ここにはディケンズが住んでいたとか。歩きつづけて数分後には柵で囲った公園 Russell Square Gardens に到着。

 ジョンがシャーロックと知り合うきっかけとなった旧友と出会った場所ですね。

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 ジョンのベンチで一息ついたら南側の出口から出て Bedford Pl に入り、突きあたりの Great Russell St を右に折れれば大英博物館です。スルーするにはもったいないところですが、時間がない方はツアーを続行。入り口を背に Coptic St という路地に入り、直進して New Oxford St に当たったら Shaftesbury Ave に渡ります。そのままさらにずず〜っと南下すると、Great Windmill St と交差するあたりにシーズン1、第2話で見覚えのある光景が……。間もなくエロス像でおなじみの Piccadilly Circus に着きます。オープニング、およびシーズン1の最終話で被害者が立たされたあの場所です。Coventry St から右折し Haymarket をどんどん南下して Cockspur St を左に折れるとネルソン提督像が見えてきたそこが Trafalgar Sq です。

 シャーロックとジョンが会話していたあの風景がまさに!

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 広場のライオンに触ったあと(?)は、信号を渡って The Mall に入り、Admiralty Arch をくぐりぬけ、右側を歩きます。左に St. James’s Park を見て、ICAの目印がある右手階段を上ってすぐ右にマイクロフト行きつけのディオゲネスクラブが見つかります

 白亜の建物のドア横には The British Academy と書いてありますが、気にしないが吉(?)。

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The Mallに戻り、右にまっすぐ行けば Buckingham Palace。シーツ姿の彼を思い浮かべながらここで衛兵交代を見学するもよし、そうでない方は向かいに渡り公園内に。Horse Guards Rd をそのまままっすぐ南下し公園を抜け、Birdcage Walk を渡り、Cockpit Steps という小道に入ります。そのまま Old Queen St に入り直進。突き当たった Tothill St を右に、一つ目の道 Broadway を左に入って、ガラス張りのビルの前に奇妙な電動サインを見つけたらそこが New Scotland Yard です!

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 動く看板を好きなだけ愛でたら Broadway から大通りの Victoria St に出ます。右に向かって道なりにずんずん歩いて Grosvenor Gdns を過ぎ、左折して Eaton Sq に入り、更に右折。そのまま直進すれば44番がアイリーン・アドラーの住まいです(注:一般住宅なので撮影のさいにはご注意のほど)。

 とりあえずこれで1日目のノルマを終えました。

 明日に備えてシーズン1、第2話に出てきたソーホーの中華街で晩御飯などいかがでしょうか。

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(後篇へつづく)

♪akira

 小2の時にエラリー・クイーン『エジプト十字架の秘密』を読んで以来、翻訳ミステリにどっぷりはまった会社員。最近の一押しはべリンダ・バウアー。トヨザキ社長の書評王ブログ『書評王の島』にて「愛と哀しみのスットコ映画」を超不定期に連載中。『柳下毅一郎の皆殺し映画通信』でスットコ映画レビューを書かせてもらってます。

 Twitterアカウントは @suttokobucho