2012年12月19日、都内において第四回翻訳ミステリー大賞の最終候補作を決定する予選委員会が開催されました。予選委員会には、青木純子、上條ひろみ、白石朗、鈴木恵、田口俊樹(50音順)の全予選委員が出席、また立会人として翻訳ミステリー大賞事務局の川出正樹が同席、立会人の杉江松恋からは事前に意見書が提出されました。

 予選委員会ではまず、11月30日に締め切られた第一次投票結果(投票者全52名、投票作品全83作)について、立会人をふくめて確認作業をおこないました。

 まず全52名の投票のすべてが有資格者(フィクションの訳書が少なくとも1冊ある者、またはそれに準する訳業のある者)によるものであること、および各投票者が規定どおり5作に投票していること、無効票のないことを全員で確認しました。

 また投票された作品がいずれも対象年度内に刊行された(奥付で2011年11月1日から2012年10月31日)翻訳フィクションであることを全員で確認しました。

 つづいて、投票結果の上位5作についての検討にうつりました。ここでは予選委員全員がフィクション翻訳者の総意である投票結果を厳粛に受けとめ、また5作のいずれにも候補作とするにあたって特段の問題のないことを確認、最終候補作とすることに異存がないとの意見を表明いたしました。

 さらに立会人・杉江松恋の事前提議により、投票結果の集計点数では6位以下ではあるものの、上位5作の一部と同数以上の票数をあつめた一作につき、これを候補作とするかどうかの議論がおこなわれました。その結果、票数から多数の翻訳者に支持されたことは明白であり、その意図を汲むことも翻訳ミステリー大賞の役割であることから、当該作品を候補作にくわえて全6作にすることを決定いたしたました。

 なお最終候補作の作数については、サイトに掲載された投票要項に「5作を目安として大賞候補作を選出」とあり、6作としても規約上の問題のないことも確認いたしました。なおこの規約は、昨年度の予選委員会での議論をふまえたものであることを書き添えておきます。

 上記の議論の結果、最終候補作を以下の6作とすることを決定いたしました。(作品名50音順)


『解錠師』スティーヴ・ハミルトン/越前敏弥訳(早川書房)

『罪悪』フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一訳(東京創元社)

『湿地』アーナルデュル・インドリダソン/柳沢由実子訳(東京創元社)

『毒の目覚め』S・J・ボルトン/法村里絵訳(東京創元社)

『深い疵』ネレ・ノイハウス/酒寄進一訳(東京創元社)

『無罪 INNOCENT』スコット・トゥロー/二宮磬訳(文藝春秋)


 最終候補作の決定後、今後の選考と発表のスケジュールや形態について話しあい、以下のように決定いたしました。


2次投票締切:2013年4月11日(木)

公開開票式および贈賞式:2013年4月13日(土)


*二次投票要項、および公開開票式と贈賞式(およびコンベンション)の詳細や参加方法は、おって当サイトにて公表の予定です。また一次投票で投票のあった全作品を近日中に公開いたします。

 また、二次投票は「一次投票に参加していなくても、最終候補作をすべて読了した有資格者であれば投票できる」旨の告知をさらに徹底することもあわせて各委員が申し合わせました。

——翻訳ミステリー大賞・予選委員会 

【一次投票者】阿尾正子,青木悦子,青木純子,青木創,安達眞弓,飯干京子,緒川さら,加賀山卓朗,片山奈緒美,門野集,金井真弓,金井美子,上條ひろみ,喜須海理子,北田絵里子,木村浩美,熊井ひろ美,栗木さつき,栗原百代,小林さゆり,駒月雅子,酒寄進一,佐々田雅子,澁谷正子,島村浩子,白石朗,白須清美,鈴木恵,芹澤恵,高橋佳奈子,高橋知子,高山真由美,田口俊樹,立石ゆかり,対馬妙,寺尾まち子,成川裕子,法村里絵,羽田詩津子,東野さやか,堀川志野舞,松井里弥,三浦玲子,三角和代,皆川孝子,宮崎真紀,森なおみ,森沢くみ子,森嶋マリ,山岸真,山西美都紀,横山啓明(以上52名、五十音順、敬称略)

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