きのうの前編に引き続き、本日も「熱いおすすめコメント」をご紹介します。

 作品は得票数順、投票者のお名前は投票メール到着順(敬称略)です。お名前のうしろの書名は投票時にご記入いただいた投票者ご本人の代表訳書です。コメントなしで投票した方は、お名前と代表訳書のみ挙げさせていただきました。

 また、受賞作と最終候補作がとりあげられた「書評七福神今月の一冊」の該当月のリンクも添えました。えりすぐりの5作品を七福神はどんなふうに読んだのか。ぜひリンク先もお読みください。

候補作『トゥルー・クライム・ストーリー』ジョセフ・ノックス/池田真紀子訳(新潮社)

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喜須海理子(『女優エヴリンの七人の夫』)

圷香織(『夜明けを探す少女は』)

鈴木 恵(『われら闇より天を見る』):信頼できない語り手が次々に登場する物語自体とても面白かったのですが、その語り手たちのインタビューやメールの文体をみごとに訳し分けて物語の仕掛けを十分に活かしている、池田真紀子さんの翻訳にも拍手を送りたいと思います。

東野さやか(『グレイラットの殺人』):関係者の証言から事件の真相が浮かびあがってくる話……と思いきや、読めば読むほど混沌としていき、不安になるばかり。『堕落刑事』のシリーズとはまったく異なるのに、ジョセフ・ノックスらしさ満開で楽しめた。

熊井ひろ美(『ゴーストランド 幽霊のいるアメリカ史』)

上條ひろみ(『見知らぬ人』):わざわざ第二版と書かれていたり、著者ノックス自身が登場するなど、さまざまなたくらみに満ちた作品。読み進むにつれて登場人物の印象がどんどん変わっていくので、やめられない止まらない。ノーストレスな読み心地もすばらしい。

白石 朗(『ビリー・サマーズ』):文庫で700ページ近い作品だが、女子学生失踪事件の風景と事件をめぐる人間関係が関係者の証言のモンタージュで目まぐるしく変化し、余韻を残す結末まで引きずられるようにして読了した。

『トゥルー・クライム・ストーリー』2023-10-12 書評七福神の九月度ベスト!

候補作『哀惜』/アン・クリーヴス/高山真由美訳(早川書房)

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田口俊樹(『長い別れ』):地味な作品ですが、候補作五作の中で一番主人公に感情移入できました。

吉野弘人(『悪魔が唾棄する街』):地味だけど、こういう作品こそ、もっと評価されてほしい。いつかこんな作品も訳してみたいと思わせる良作でした。最後の翻訳ミステリー大賞にふさわしい作品だと思います。
 シンジケート・スタッフのみなさん、15年間ご苦労様でした。15年前は翻訳家でもありませんでした。この賞を目指してがんばり、ここまで来ることができました。ほんとうに、ほんとうにありがとうございました。

高橋知子(『シャーロック・ホームズ10の事件簿』)

加賀山卓朗(『頰に哀しみを刻め』):本筋とは関係ありませんが、同性愛者の警官という設定が当たりまえのように話に溶けこんでいるところが新しいと思いました。もちろん本筋も立派。

ニキ リンコ(『塩とコインと元カノと』):刑事たちも被害者も町の住民も全員が不完全で、傍目には些細に見える隠しごとに必死な人もいて。悩みの大小で差をつけず、一歩引いて見る「待ち」と諦めと温かさ。空間的にも時間的にも視界が広がる読後感に一票。

安達眞弓(『この、あざやかな闇』):一次投票と別の作品を選びました。最後の受賞作品ですので、15年前から訳書が唯一出ている、アン・クリーヴスに最後を飾っていただきたく『哀惜』を選びました。静謐な、しみじみといい作品です。

『哀惜』 2023-04-13 書評七福神の三月度ベスト!

候補作『卒業生には向かない真実』ホリー・ジャクソン/服部京子訳(東京創元社)

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瀬尾具実子(『未来省』):衝撃の大きさ、感情の揺さぶられ方がピカイチでした。どんでん返しを最後の方ではなく真ん中に持ってきたこと、前作前々作からの伏線回収も含めた驚き。文句なしです。

浦崎直樹(『ブルターニュ料理は死への誘い』):衝撃的な結末でした。

吉澤康子(『あの本は読まれているか』)

満園真木(『夜に啼(な)く森』)

『卒業生には向かない真実』2023-08-10 書評七福神の七月度ベスト!


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