こんにちは、若林踏です。参院選やら豪雨やらで騒いていたら、もう7月も終わり。各種ミステリベストテンの締切が待つ11月まで、あと3か月というところまで来ました。ミステリクラスタの年末は近い!

 というわけで気合入れていきます。海外ミステリの新作情報を生トークで紹介する「最速!海外ミステリ先読みスニークプレビュー」第7回を8/3(土)18:00より新宿ビリビリ酒場で開催します。レビュアーはいつものように若林踏×酒井貞道、あ、今回は夕方の18時開演ですからね、18時。いつもより遅めの時間なので、お間違いなく。

 それでは、今回取り上げる作品のラインナップをご紹介します。

・アーバン・ウェイト『訣別のトリガー』(鈴木恵訳・新潮社)

 1990年代初頭のニューメキシコを舞台に、麻薬ディーラーからの汚れ仕事を行うレイ、彼の従弟である元保安官のトム、贖罪の念を背負って生きる2人の男の姿を描く、硬質な犯罪小説です。デビュー作『生、なお恐るべし』では『ウィンターズ・ボーン』の作者ダニエル・ウッドレルから「才気とスピードを兼ね備えた現代のウェスタン小説」と称賛の言葉を受けたウェイトですが、本作でも荒んだ石油産業の町を背景に壮絶なガンファイトが展開し物語を盛り上げます。ペキンパー映画好き、あるいは伊藤明弘『ワイルダネス』のファンは今回のスニーク必聴ですぜ。

・リンジー・フェイ『ゴッサムの神々』(野口百合子訳・東京創元社)

 1845年、創設されたばかりのニューヨーク市警で警察官として勤務することになったティムは、少年が胴体を十字に切り裂かれる猟奇殺人と対峙することになる。本邦初登場の著者リンジー・フェイはホームズ・パスティーシュでデビューを飾り、第2作目である本書でMWA賞最優秀長篇賞にノミネート。ちなみに作家のほかに女優業もこなしているそう(著者近影はこちら。あ、かわいいですね)。19世紀のニューヨークにおける人種・宗教の問題も織り込んだ歴史小説として読みごたえあり。こちらは歴史ミステリ好き要チェックです。

・ジョー・ネスボ『ヘッドハンターズ』(北澤和彦訳・講談社)

 今回から新たにご協力いただくことになった講談社からは、何とあのジョー・ネスボの最新邦訳が登場です!邦訳は『コマドリの賭け』以来4年ぶり。で、内容はというと、まあ、これがとにかく変。辣腕のヘッドハンター、ロジャーの生活ぶりが延々と描かれ、(とにかくロジャー、嫌な奴!)なんだ何も大したことが起きないじゃないか、と思っていたら、飛んでもない不意打ちを食らって若林は笑ってしまいましたとさ。映画化もされたこのクライムフィクションの、どこがどう“ヘン”なのかは会場に来てからのお楽しみ。

・ジェフリー・ディーヴァー『ポーカー・レッスン』(池田真紀子訳・文藝春秋)

 そしてお待ちかね。いよいよディーヴァーの短編集第2弾のお目見えです。『クリスマス・プレゼント』であれだけどんでん返しの連発で、「もうどれだけ人の目を回す気ですかディーヴァーさん!」と思った貴方、甘い。今度もお馴染みリンカーン・ライムが登場する作品はじめ、全部で16の物語が貴方の三半規管を狂わせます。なぜディーヴァーの「騙し」は読者を虜にするのか。本短編集を手掛かりにその「騙し」の魅力に迫ります。

 以上4作品、笑えるネスボから驚愕のディーヴァーまで多彩な品ぞろえでお待ちしております。500円というワンコイン価格(2013/07/27 16:58時点)でのご提供ですので、お気軽に足をお運びください。

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Live Wire [193] 13.8.3(土) 最速!海外ミステリ先読みスニークプレビュー#7

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若林 踏(わかばやし ふみ)

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 ライター。挟名紅治の生まれ変わり。『ミステリマガジン』や書評サイト『bookjapan』等で主にミステリ小説の書評を中心に書いています。本読み以外の趣味は刑事ドラマ鑑賞。好きな刑事は「大都会PartII」の徳吉刑事。

 ツイッターアカウントは @sanaguti