酒井貞道は激怒した。必ず、若林踏による卑屈柔弱なイベント紹介文を除かなければならぬと決意した。酒井にはイベントがわからぬ。酒井は、書評家である。本を読み、友と遊んで暮して来た。けれども誰に対して何を知らせたいのかよくわからぬ告知文に対しては、人一倍に敏感であった。

……まあ何というか、若林踏さんが過去7回、本ブログに書いたお知らせでは、このスニークプレビューがどんなイベントかわかりにくかったと思う次第であります。私は当イベントのレギュラーではなく、6回連続のゲストであるというのが厳密な位置づけですが、事実上のレギュラーであることはもう間違いないので、今回は無理を言ってお知らせにしゃしゃり出て参りました。それでは早速、宣伝をば。

 国内ミステリほどではないけれど、毎月毎月、翻訳ミステリは結構な数が出版されています。翻訳ミステリが元気そうで何より——なんですけれど、新刊の中から読む本を選びあぐねている人は多いんじゃないでしょうか。どの作品が面白そうかよくわからない。ちょっと興味のある新刊があっても、内容が曖昧にしかわからなくて、買うふんぎりがつかない。刊行後、書評その他の評判が出揃ってから読もうか決めるつもりでいたが、慌ただしい日常に取り紛れて忘れてしまう。

 そんな貴方にぴったりなのが、このイベントです。その名も、《最速!海外ミステリ先読みスニークプレビュー》!

 よくある作品紹介イベントだと思うなかれ。こんなに特色があるんです!

(1) 業界最速!

 出版社から自信作のゲラをもらい、これに基づいてレビューします。だから、取り上げる作品は、当月内に刊行予定のものか、数日前に出たものばかり。これは早い。

(2) 書評家2名によるクロスレビュー!

 レビュアーが一人だけだったら、評価が偏ってしまうかもしれません。そこで、レビュアーとして、書評家を2人ご用意しています。

(3)レビューはがちんこ!

 一切手抜きなし、ネタバレなしで、がっつりみっちり本気で作品を解説します。

(4) お求めやすい価格(2013/09/15 08:50時点)

 コーヒーかお茶が付いて500円と、入場しやすい料金設定にしています。

(5) 特別ゲストあり!

 翻訳者や編集者をはじめ、毎回、誰かがゲストとして登場します。小説を読むだけではわからない貴重な話が、読む楽しみをより一層広げます。

「ぶっちゃけ、どの新刊がオススメ?」「その作品のどこら辺が面白いの?」翻訳ミステリ・ファンの貴方の、そんなストレートな要望に、正面から全力でお応えする当イベント、翻訳ミステリに興味のある方は必見です!

 さてこの《最速!海外ミステリ先読みスニークプレビュー》ですが、その第9回を2013年10月5日(土)18時から開催します(開場は17時30分)。取り上げるのは、以下の4作品です。

『狼の王子』クリスチャン・モルク(ハヤカワミステリ)

『スノーマン』ジョー・ネスボ(集英社文庫)

『日記は囁く』イザベル・アディ(東京創元社)

『イン・ザ・ブラッド』ジャック・カーリイ(文春文庫)

 このうち、シリーズ第5作目となる『イン・ザ・ブラッド』の刊行を記念して、本イベント初の試みとなる作家特集を組みます。題して《ジャック・カーリイとは何者なのか?》。新作に限らず、これまでの創作活動全体から、カーリイの魅力に迫ります(あ、もちろん既存作もネタバレはしませんよ)。これに伴い、既訳長篇全てを担当されたコンビ、翻訳家の三角和代さんと、編集者の永嶋俊一郎さんをゲストとしてお招きします。三角さんは地方在住なので、この機会を逃すとお話はなかなか聞けないかも。そして永嶋さんは、大好きなカーリイを熱く鋭く語ってくれるでしょう。

 若林踏ともども、準備万端整えて、皆様のお越しをお待ちしております。10月5日の夜は、ビリビリ酒場に集合だ!

最速!海外ミステリ先読みスニークプレビュー#9

レビュアー:若林踏(書評家)、酒井貞道(書評家)

ゲスト:三角和代(翻訳家)、永嶋俊一郎(文藝春秋)

日時:10月5日(土)18:00開始(17:30開場)

場所:新宿ビリビリ酒場 東京都新宿区新宿五丁目11-23 八千代ビル2F

   アクセスはこちら → http://go-livewire.com/theater.html

入場料:500円(コーヒー・お茶付き)

参加方法:リンク先からご予約ください。ただし、予約なしでの当日入場も可能です。

      http://boutreview.shop-pro.jp/?pid=63648295

※ 終演後に、同一会場にて、出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会をおこないます。参加費は3000円です(入場料とは別)。

酒井 貞道(さかい さだみち)

書評家。『ミステリーズ!』等でミステリを書評しています。本シンジケートでは、書評七福神の一人と言った方が通りが良いか? あとクラシック音楽好き。ツイッターアカウントは @haikairojin