こんにちは。東京創元社Sと申します。2013年9月11日、アンドリュー・カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』を刊行いたしました。この本は翻訳者の田内志文さんが企画を持ち込まれたイラスト入りの大人の寓話で、あらすじと試訳を読んだ瞬間に「企画にしましょう!」となったすごいパワーのある本なのです。

カナダの銀行に紫色の帽子を被った強盗が現れ、その場にいた13人から“もっとも思い入れのあるもの”を奪っていきます。そしてその後、銀行強盗の被害者たちにさまざまな出来事が起こり始めます。身長が日に日に縮んだり、夫が雪だるまになったり、母親が98人に分裂したり──。くわしいあらすじは、〈webミステリーズ〉の「今月の本の話題」をご参照ください。冒頭を立ち読みもできます。とにかくヘンテコで面白いですので、気になる方はぜひ。お値段も、単行本なのに驚きの1260円です(笑)。

長編作品ですが、さまざまな短いエピソードの繋がりとしても読める本書の魅力を、より多くのひとに届けたい! ということで、朗読会とミニ・トークイベントを開催する運びとなりました。

朗読・ミニ・トークイベントにご出演していただくのは、本書を企画持ち込み&翻訳された田内志文先生と、詩人、翻訳者、比較文学者と、さまざまな分野でご活躍されている管啓次郎先生。おふたりは数々の朗読イベントを主催されており、今回も作品のさまざまな場面を読み上げてくださいます。また、翻訳の際のエピソードや作品のおもしろさを語っていただくミニ・トークも予定しています。

イベント参加には、本を読んでいなくてもまったく問題ありません。お時間がある方はぜひいらしてください。

みなさまのご参加、心よりお待ちしております!

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こんにちは。杉江松恋です。読者を代表して私からも一言。

この本の情報がネットに流れたとき、反応した人が一様に「内容はわからないが題名が気になる」と言っていたのが印象的でした。

いや、本当に「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」なんですよね。

何も嘘は言っていないという。

寓話的な要素が強く、エピソードの裏の意味をひとつひとつ考えたくなる小説です。

たとえばお母さんが無数に分裂して小さくなってしまった話では、息子夫婦にとってお母さんはどういう存在だったのか、とか。

そんな風に何かひとつは必ず引っかかりを感じるエピソードがあるはずです。

100人読者がいれば、たぶん読み方も100通りぐらいある。自分はこの登場人物に共感を覚えるんだけどなあ、とか、考えながら読むと楽しいと思います。

ちょっとディケンズ『クリスマス・キャロル』みたいなところもあるので、シーズンズ・ギフトとしてどなたかにプレゼントするのもいいかも。

決して派手なところのある小説ではないですが、読むと心の中に暖かいものが生まれると思います。

お薦め。ぜひ朗読会も訪ねてみてください。よかったら、仲のいいお友達や、ご家族と一緒に。

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【イベント概要】

日時:2013年10月2日(水) 18:30受け付け開始、19:00本会開始(約1時間半を予定しています)

会場:Darts&BilliardBar BOOMERANG(ブーメラン)

*高田馬場駅徒歩3分

東京都新宿区高田馬場2−15−7 03ビル3.4F

JR山手線・東西線・西武新宿線高田馬場駅

TEL:050-5815-6888 

http://www.hotpepper.jp/strJ000003789/

参加費:1000円+ドリンクをお好みで

ご予約:tss@tsogen.co.jpまで、お名前とご連絡先をメールでお知らせください。件名を「銀行強盗被害者の会参加申し込み」としてください。

※先着30名様まで。座席には限りがありますが、立ち見も可能です。ご予約の方を優先いたします。

出演:

田内志文

翻訳者、物書き。イースト・アングリア大学院にて文芸翻訳を学ぶ。ロビラ&トリアス・デ・ベス『グッドラック』(ポプラ社)、R.カールソン&K.カールソン『君に贈る最後の手紙』(日本実業出版社)などの翻訳を手がける他、管啓次郎・野崎歓編『ろうそくの炎がささやく言葉』(勁草書房)、アンソロジー『辞書、のような物語。』(大修館書店)などに短編小説を寄稿。英国のビリヤード競技、スヌーカーの選手としても活動中。

管啓次郎

詩人、翻訳者、比較文学者。明治大学大学院理工学研究科教授。著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』『コヨーテ読書』『オムニフォン』『本は読めないものだから心配するな』他多数。テグジュペリ『星の王子さま』翻訳も手がける。小説家の古川日出男、音楽家の小島ケイタニーラブとともに朗読劇『銀河鉄道の夜』を制作し、各地で上演した。