恒例イベント「君にも見えるガイブンの星」は、7月19日に開催されます。いつもとは違い、土曜日の開催ですのでご注意を。

 もしご予定がなければ、ぜひ新宿Live Wire Cafe(旧BIRIBIRI酒場)にお運びください。

「君にも見えるガイブンの星(ガイブン酒場改め)」とは、本来はミステリー・プロパーの読者である杉江が、世界のさまざまな文学を読むことに挑戦してみたいと考えて始めたイベントです。その月以降に出る外国文学を早読みし一足先に内容をご紹介するという趣旨で、河出書房新社、新潮社、白水社、早川書房の各社にご協力いただいて開催をしております。心強いイベント・パートナーは、書評家の倉本さおりさん。2人してうんうん唸りながら山と積まれた本を読んでいます。

 前回の6月分から、新刊紹介と作家特集を分けて隔月開催としました。新方式スタート後最初の作家特集は、傑作選集『この世界の女たち』が刊行されたばかりのアン・ビーティでした。帯に推薦文を寄せられた作家の山内マリコさんをお招きし、ビーティの魅力について語りあいました。

イベントの概容はこちらのレジュメでご覧ください。

以下、倉本さんに内容を総括していただきましたので、ご覧ください。

 今回は同性かつ同年代の山内マリコさんがゲストということで、自分にとって共感できるポイントと、そうでないポイントとの違いがよりくっきり鮮やかに感じられたような気がします。

 ビーティの新刊『この世界の女たち』の中には80年代から2000年代までの間に発表された傑作短篇が収められていますが、作品の良し悪しとは別に、私が個人的に「しっくりくる」と思ったのは、どれも2000年代に書かれたもの。山内さんも全く同じように感じたと聞いて、改めて世代間に流れる空気の違いについて胸を馳せることになりました。「その時代をリアルに生きていた大人じゃないとやっぱりわからないことがあるのかもしれない」という山内さんの正直な感想は、ビーティ作品に登場する様々な世代の主人公たちの孤独ともつながっているような気がします。それだけに、この機会にビーティと同じ80年代に活躍した女性作家の作品群をまとめて読むことになったのは、自分にとってすごく有意義なことだったと思っています。

 加えて、解釈の仕方に作家さんならではの目線があちこちに潜んでいた点も、いつものガイブンの星とはひと味違う面白さにつながっていたのではないでしょうか。たとえば、「プロットにはならないようなことを書いている」という山内さんの指摘。なぜこんなことになったのか、なぜここまで関係がこじれたのか、それを小説にしようと思うと、たいていは事件や起爆剤となる人物といった余計な装置が必要になる。けれどビーティがそうした装置を使わず(あるいは感じさせず)に関係そのものを切り取っているという指摘は、純粋な読み手にはない視点のように感じられて非常に興味深かったです。(余談ですが、ミニマリズムの作家の話のときに、山内さんが「ビーティは最初はとっつきにくいけど、握手したらスムーズに会話になる感じ」と喩えたのに対して、杉江さんが「カーヴァーは握手してみたらその手がけっこう汚れていた、っていう感じですかね」と返したのは面白かった……絶妙な表現)

■ゲストの山内マリコさん著作一覧

 さて、次回7月19日の「君にも見えるガイブンの星」ですが、下記の刊行書籍を倉本さんと杉江が分担し、対決討論の形で各作品の内容について検討していきます。最終的には5月末〜7月刊の対象となる外国小説の中で、もっともお薦めしたいベスト・オブ・ベストの1冊が決まることになるでしょう。時間がないけど1冊はとにかくお薦めの本を知りたいという方、端的にそれぞれの作品の良さを知りたいという方、ぜひ会場に足をお運びください。

 それでは各社からのノミネート作品を発表いたします。※出版社五十音別

■河出書房新社

■新潮社

■東京創元社

■白水社

■早川書房

 以上11冊が対象となります。どうぞお楽しみに。

[日時] 2014年7月19日(土) 開場・19:00 開始・19:30

[会場] Live Wire Cafe(Biri-Biri酒場改め)

     東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ

    ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6〜8出口から徒歩5分

    ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分

    ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分

[料金] 1500円 (当日券200円up)

※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。

 ご予約はこのサイトからお願いします。

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