倉本さおり・杉江松恋が世界のさまざまな文学に挑む「君にも見えるガイブンの星」、偶数月の今回は作家特集でお送りします。
とりあげるのは新刊『甘美なる作戦』が出たばかりのイアン・マキューアン。『最初の恋、最後の儀式』でサマセット・モーム賞を獲得し、『アムステルダム』でブッカー賞など数々の文学賞を獲得しているビッグネームです。最近では2011年の『ソーラー』が駄目男を主人公としたサスペンスとして書かれるなど、ミステリー畑の読者にも親和性の高い作家として知られています。1989年の『イノセント』はエスピオナージュとしても話題になりました。
今回の「君にも見えるガイブンの星」は二部構成でお送りします。ゲストは作家の藤谷治さん。その藤谷さんがお好きな小説のベストに挙げておられるのがマキューアン『贖罪』なのです。第一部はその『贖罪』をテキストに用いて、半分鼎談、半分読書会という形式で進めていきます。基本的には壇上のトークで進めていきますが、適宜客席にも意見をいただいていきたいと思います。『贖罪』を既読の方は特に、ふるってご参加ください。
そして第二部は鼎談形式に戻り、主に『甘美なる作戦』をテキストとしてマキューアン作品の全貌に迫っていこうと思っております。倉本・杉江と一緒に、マキューアンについて勉強しましょう!(杉江)
藤谷さんにインタビューさせていただいたのは四年ほど前。ご自身がオーナーを務めていらっしゃった、取次を介さない“店舗型書斎”・フィクショネス(今年7月に閉店)にて、本と人の関係についてじっくりお話をうかがいました。
当時、『船に乗れ!』が大ヒットを飛ばし、めまぐるしいスケジュールだったにもかかわらず、文学の教室、句会、詩の勉強会と、毎月3回ものワークショップを行っていらっしゃった藤谷さん。理由について尋ねると「文学っていうのは、意見を聞く、感想を述べあうこと自体が大事。自分にとってつまらないものでも、あとで必ず役に立つから」との返答——おおう、これはまさしく「君にも見えるガイブンの星」のコンセプトにぴったりではないでしょうか…! 実際にそのワークショップに参加させてもらったのですが、まずは藤谷さんが作品の概要や客観的な評価、それに自分自身の感想を語るスタイル。仰々しく前に立ったり、別の場所に座ったりすることなく、参加者と同じ目の高さで語ってくれる姿に感銘を受けました。一般的な読書会よりもメリハリが効いているし、文学講義よりもずっとカジュアル。今回のガイブンの星も同じように刺激的な体験になるのではと期待しています。
そんな藤谷さんが、作家になってから最も衝撃を受けた作品のひとつとして挙げてくださったのが、ずばりマキューアンの『贖罪』。「おそらく21世紀に入って最初に現れた傑作。もしかしたら作者は今後、この作品を越えることができないかもしれない。けれど、これが世に存在するだけで、作者も読者もこの上なく幸福だと思う」——その後に刊行された『土曜日』『初夜』『ソーラー』そして最新刊にしてすでに問題作の呼び声高い『甘美なる作戦』の評価を含め、「マキューアン作品が達成してしまったこと」について、時間の許す限りたっぷりディスカッションできればと思います。(倉本)
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[日時] 2014年10月25日(土) 開場・19:00 開始・19:30
[会場] Live Wire Cafe(Biri-Biri酒場改め)
東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ)
・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6〜8出口から徒歩5分
・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
[料金] 1500円 (当日券500円up)
※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。
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