日本においても北欧ミステリーがここ数年大きなブームとなっています。

 それを記念し、北欧5ヶ国(アイスランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)の大使館が共同でイベントを企画しました。

 かの国のミステリーについて、そして知っているようで本当にはよく知らない文化について、深く知るチャンスでもあります。

 イベントではスウェーデンよりカミラ・レックバリ、フィンランドよりレーナ・レヘトライネンのお二人が来日され、作家活動についてお話されます。

 みなさんもぜひ、この機会に北欧ミステリーの世界に触れてみてください。

※来日作家

■レーナ・レヘトライネン Leena Lehtolainen (フィンランド)

 代表作: 「雪の女」「氷の娘」「要塞島の死」

20110610124849_120.jpg©Tomas Whitehouse

■カミラ・レックバリCamilla Läckberg (スウェーデン)

 代表作:エリカ&パトリック事件簿シリーズ 「氷姫」「説教師」「悪童」「死を哭く島」「踊る骸」「人魚姫」「霊の棲む島」

20130226155232_120.jpg© Bingo Rimér

プレイベント:

日時:2014年11月21日(金) 19:00〜20:00

場所:蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース

主催:代官山 蔦屋書店

お問い合わせ:03-3770-2525

※購入条件は指定書籍ご購入、電話受付可。定員50名

日時:2014年11月22日(土) 13:30〜18:00 開場13:00

場所:立教大学池袋キャンパス8号館8101教室 東京都豊島区西池袋3-34-1 www.rikkyo.ac.jp

※入場無料 日本語・英語の逐語通訳付き

2人の北欧作家が、自作について、良質なミステリー文学を生み出す北欧の土壌について紹介します。また、この秋北欧を訪れた人気作家堂場瞬一が、講演「北欧ミステリ聖地巡礼」で北欧ミステリーの魅力を語ります。北欧ミステリーを手がけてきた3人の翻訳家(柳沢由実子、ヘレンハルメ美穂、古市真由美)による鼎談も必見です。司会進行を務めるのは、北欧ミステリーに造詣が深い評論家、杉江松恋。どうぞふるってご参加ください。

参加方法:  こちらからご登録ください⇒ http://goo.gl/QqSKe5

問合せ:フィンランド大使館広報部 堀内 Tel 03-5447-6000 Fax 03-5447-6042 events.tok@formin.fi

 当サイトでは、このイベントを応援する意味で、主催国大使館のご担当者、及び来日される作家からのメッセージを掲載していきます。

 5ヶ国のうち、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドからのメッセージが到着しています。

 どうぞご覧ください。

スウェーデン王国大使館

 スウェーデンは相対的に人口が少なく、世界でもあまり知られていません。スウェーデンと聞いて高い税金、VOLVO、ABBAを連想する人も多いと思います。しかし、何かが起ころうとしています。ここ20年を振り返ってみますと、ますます多くの人がスウェーデンから推理小説や刑事映画を連想するようになりました。このことは私のようにスウェーデンを知らしめる活動をしている人にとって非常に嬉しいことです。スウェーデンを殺人の描写や人間の嫌悪などを通じて宣伝していくのは些か相反するようにも見えますが、実は一つの国の文化や社会、価値観を学ぶのにはミステリーほど適切なジャンルはありません。すでにフィーヨドル・ドストエフスキーは、「ある社会における文明の程度はその刑務所を訪問することによって決定付けられる」と書いています。同じようなことが巧みに執筆された推理小説にも言えると思います。

 ではスウェーデンのミステリーと日本やイギリス、イタリア、アメリカのミステリーとの違いは一体何でしょうか。スウェーデンの警察の描写の多くには文学作品であれ映画であれ、憂鬱や現実主義、社会批判的といった様々な要素があり、これらは他の国のミステリーの伝統には無く、またこれらのものはミステリーというジャンルをとても豊かにさせるものなのです。しかしながら、スウェーデンのミステリーの伝統は長いものではありません。最初に現実的、且つ社会批判的なスタイルで書きはじめたのは、今では伝説となっているマイ・シューヴァルとペールヴァールー夫婦で1960-70年代の頃のことです。1990年代になるとこのジャンルはグローバルな視点で書かれたヘニング・マンケルのヴァランダーシリーズで躍進を遂げます。2000年代に入るとカミラ・レックバリが出現しますが、女性作家、また女性の主人公がいかに脚光を浴びるようになったかを示す良い例です。そして、スウェーデンの世界的な成功はミレニアム三部作とそれに続くスウェーデンとアメリカでの映画化によって頂点が極められたと思います。

 今回の「北欧ミステリー・フェス2014」という企画を通じて、ますます多くの方にスウェーデンの文化やスウェーデンの社会に興味を持っていただけましたら幸いです。どうぞお楽しみください。

Adam Beije                

Senior Officer, Press, Information and Culture    

Embassy of Sweden 

アダム・ベイェ

スウェーデン大使館 広報文化担当官

ノルウェー王国大使館

ミステリーファンの皆様へ

 日本で北欧ミステリーファンが着実に増えていると伺い、とても嬉しく思っています。

 ノルウェーでもミステリー小説は昔から人気があり、特に長期休暇にじっくりミステリーを読む人が多いため、「ポースケクリム(イースター休暇の犯罪文学)」という言葉さえあるほどです。春の到来を告げるイースターの頃になると、皆最新の推理小説を求めて本屋へ向かいます。この時期にはTVでもたくさんの刑事ドラマを放映しますし、国営ラジオでもミステリーのラジオドラマを流すのが伝統です。

 ノルウェーミステリー文学の系譜は1840年頃に始まりますが、人気が顕著になったのは70年代半ばと90年代の初めで、この頃推理小説を書く作家の数が増えました。現代の作家では、ヨー・ネスボ(ジョー・ネスボ)、カリン・フォッスム、アンネ・ホルト、グンナル・ストールセン、トム・エーゲラン、ウニ・リンデル、ヨン・ミシュレットなどが国際的に有名です。

 当然ながら作家のスタイルは多種多様ですが、政治的、社会的なリアリティを反映させながら暗い世相や人間心理の闇を描き出すのがノルウェーミステリーの特徴といえます。超人的なヒーローが登場するというよりは、善悪両面を併せもつ登場人物たちがアルコール依存、DV、虐待など様々な問題に苦しみ、もがきながら生きていくさまが読者の共感を得るのです。

 日本のミステリーファンの皆さまが、11月21日、22日に開催される北欧ミステリーフェスティバル2014で「ノルディック・ノワール」と呼ばれる北欧ミステリーの魅力に触れてくださることを願っています。

スノーフリッド・エムテルード

参事官

ノルウェー王国大使館

フィンランド共和国大使館

 昨今、レーナ・レヘトライネン、ジェイムズ・トンプソンの作品をはじめ、フィンランドミステリーも続々と日本で翻訳・出版されています。ノワールの残酷な殺人や血なまぐさい犯罪現場というのはフィンランドのイメージや福祉国家のモデル観とは程遠いかもしれません。しかし、それぞれの作品にはフィンランド特有の要素が色濃く反映されています。ロシアと国境を接し東西の間に立つゆえの文化的、歴史的な影響。寡黙な気質。森と湖の多い地形。太陽の光がほとんど届かない暗く長い冬。さらに、人間の弱さや社会の暗部に焦点をあてつつも、主人公の生活を通して子育て支援やワークライフバランス、男女平等といったフィンランドならではの社会制度やライフスタイルも垣間見ることができます。

 今回来日するレーナ・レヘトライネンの女性警官マリアが活躍するシリーズは、世界中で愛され、フィンランドではテレビ放映化もされています。主人公マリアは強い女性である一方、結婚、妊娠、出産を経験しながら仕事との両立、パートナーや同僚との関係で悩む姿も随所で見られ、現代の等身大の女性が描かれています。

 11月21日、22日の北欧ミステリーフェスは、なかなか情報のない北欧ミステリーに直接触れる、またとないチャンスです。みなさんのお越しをお待ちしております。

ミッコ・コイヴマー

参事官(報道・文化担当)

フィンランド大使館

 みなさまの来場をお待ちしております!