第十三回翻訳ミステリー大賞の本投票には、多くの翻訳者のみなさまから投票をいただきました。有効票数は35。ここであらためて、そのおひとりおひとりに御礼申し上げます。

 なお、「有資格者による記名投票」という本投票の規定に違反したため無効となった票が1票ありました。せっかくのご投票が無効票になるのはたいへん残念です。投票時にはぜひご確認を、よろしくお願いいたします。

 6月3日掲載の【速報】第十三回翻訳ミステリー大賞決定!につづき、きょうとあしたは投票に添えられた「熱いおすすめコメント」を二回にわけてご紹介します。

 作品は得票数順、投票者のお名前は投票メール到着順(敬称略)です。お名前のうしろの書名は投票時にご記入いただいた投票者ご本人の代表訳書です。コメントなしで投票した方は、お名前と代表訳書のみ挙げさせていただきました。

 また、受賞作と最終候補作がとりあげられた「書評七福神今月の一冊」の該当月のリンクも添えました。えりすぐりの5作品を七福神はどんなふうに読んだのか。ぜひリンク先もお読みください。

20140923091320.png受賞作『台北プライベートアイ』紀 蔚然/舩山むつみ(文藝春秋)

20130416191138.jpg(10票)

白石朗(『冤罪法廷』):主人公の語りがちょくちょく暴走したり脱線したり、ときに本筋を浸食しそうなほどの饒舌なユーモアをたっぷりと楽しみました。

高野優(『ルーフォック・オルメスの冒険』):欧米ミステリとはまたちがった味わいで、魅力的でした。

北田絵里子(『レイラの最後の10分38秒』)

東野さやか(『帰らざる故郷』):呉誠(ウ―チェン)の饒舌なひとり語りが楽しい。一度も行ったことがないのに、どこかなつかしい台湾の下町の風景がいい。続編もあるとのことなので、いまから楽しみです。

国弘喜美代(『塩の湿地に消えゆく前に』)

唐木田みゆき(『殺人記念日』)

高橋恭美子(『チェスナットマン』):候補作が全部大好きな作品なので心底悩みましたが、ここは翻訳がなければ絶対に読めない台湾ミステリーに感謝と敬意をこめて一票を。軽妙にして奥妙なこういう一人称私立探偵小説、好きですねえ。

北綾子(『アナル・アナリシス――お尻の穴から読む』)

関麻衣子(『弁護士ダニエル・ローリンズ』):今年は5作全部に投票したいほど、どれも面白くて最後まで悩みました。この作品はとにかく主人公が魅力的、かつ、本筋に関係ない数々のエピソードも、リーダビリティに溢れていて一気に読んでしまいました。

山口かおり(『アートオブフラ』):理屈っぽく哲学的な探偵のキャラクターがチャンドラー風味のコージーミステリー…かと思えば本格ミステリー展開で驚かされた。背景に描かれる台湾の市井の風景、食や人、宗教観、各国の文学やミステリーへの造詣などが豊かで深い。堪能した。

『台北プライベートアイ』2021-06-10 書評七福神の五月度ベスト!

 

候補作『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン/服部京子(東京創元社)

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加賀山卓朗(『シルバービュー荘にて』):こういう愉しい作品をよくぞ発掘されました。

小田川佳子(『ブリリアンス――超能ゲーム――』)

川添節子(『給料はあなたの価値なのか』)

栗木さつき(『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』):最後の最後で、わが身の偏見や思い込みといったものを鋭く指摘されたような気がした。爽快で読後感がいいうえに、作品の根底には大きな問題提起がある。そのまっとうさにも拍手を送りたい。

加藤かおり(『異常 アノマリー』)

三角和代(『名探偵と海の悪魔』)

満園真木(『噤みの家』)

稲垣みどり(『世界最高の学級経営』)

安達眞弓(『壊れた世界で彼は』):初志貫徹。2021年はこの一冊しかありません。

『自由研究には向かない殺人』2021-09-09 書評七福神の八月度ベスト!

 

 あしたは以下の三作へのコメントを紹介いたします。

 


 

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