SHERLOCK聖地巡礼ガイド・前篇こちら

:文中の情報は2012年10月現在のものです。

  バスを含めすべての交通機関はルート等が変更になる可能性があるので、最新の情報をご確認ください。

  【略称】St→Street、Ave→Avenue、Rd→Road、Sq→Square、Gdn→Garden、Pl→Place

■2日め/バス・徒歩編■

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 地下鉄 Tower Hill 駅から地上に出ると、まるでおもちゃのお城のような The Tower of London がどど〜んと現れます。

 入場料は高いし観光地は興味無い、という方もここは絶対入ることをお勧めします。外では赤黒衣装の Beefeater や大鴉でディクスン・カーの世界に浸り、館内の拷問道具部屋にはミネット・ウォルターズのあの作品のアレを見つけたり……とミステリ・ファンならかなり楽しめるはず。そして一番人気の The Crown Jewels 部屋。iPod でロッシーニのオペラを聴きながら王冠をガン見するあなたは相当なモリアーティ・ファンと言えましょう。

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 The Tower of London 見学で歩き疲れたら Elephant & Castl e行きの100番のバスに乗り、Wormwood St で下車。すぐ前の Old Broad St を左折して直進。その42番地にシーズン1、第2話で出て来た近未来的なオフィスビル、Tower 42 が見つかります。

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 そのまま道を南下して Threadneedle St に当たったら右に曲がって直進すると、ロンドン塔に続いてモリアーティ第二の標的にされた場所、Bank of England はその名の通り地下鉄Bank駅からすぐ。

 ドラマではイングランド国旗柄のブタさん貯金箱をアイコンにしてましたが、そんな可愛さとは無縁の重厚さです。そして同時にターゲットとなった HM Prison Pentonville も行ってみたのでとりあえず写真を載せてみますが、場所が場所だけにこんな感じで、特にわざわざ行かなくてもいいと思います(笑)。

 が、どうしても行きたいという方は、Bank 駅から King William St に入り、Abchurch Lane に右折し、Cannon St から Archway 行き17番のバスで Caledonian Rd を目指しましょう。バス停の真ん前にこの刑務所があります。道路を挟んで向かいの軽食堂の名前がちょっと気が利いていたので、行かれた方は要チェック。

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 Bank駅から8、25、242番 Oxford Circus 方面行きバスのどれかに乗って St. Paul’s で下車。BT を右に見て Newgate St を直進。視線を上の方にそらすと建物の谷間に何やら人型のものが見えますが、まずはメリル・リンチの角を右に曲がると……そこにはあの見慣れた St. Bartholomew’s Hospital の文字が!

 これだけデカデカと書いてあれば間違いありません。しばし感動したらそのまま Newgate St を通り越すと、進行方向左側に英国ミステリには欠かせない王立裁判所、Old Bailey があります。

 一度裁判を傍聴したことがありますが、あのカツラを実際に目にした時はさすがに不思議な感じがしました。なおドラマでは裁判所内部は Wales で撮影したそうです。

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 Old Bailey を過ぎ、Ludgate Hill に突き当たったらまた Elephant & Castle 行き100番のバスに乗り、Blackfriars 橋を通ってテムズを渡ります。対岸に着いたら降車し、川沿い西に見える茶色い建物が OXO Tower。ここに行くには前もってネットでテムズ川の水位を調べます(http://www.tidetimes.org.uk/ *1週間先まで予測)。テムズの水位がこんなに変わるとは、渡英14回目にして初めて知りました……。もっとも水位が低い時間を狙い、階段で河岸に降りればそこはシーズン1最終話の遺体発見現場(笑)。

 上の右の写真は水かさが増えた時。こんな状態でも階段が閉鎖されていないところがさすがイギリス。更に注意事項としては、ここの泥はかなり粘っこくて怪しげな匂い。皆様はくれぐれもちゃんとした靴では下りないように。

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遊歩道に戻り、更に西に向かって歩いて行くと、Waterloo 橋のたもとにあるのがシーズン1、第2話の Queen Elizabeth Hall地下スケート場。まわりと比べてちょっと突然な光景です。

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そして最後を締めるのは、ピンク・フロイドのアルバムジャケットでもおなじみの Battersea Power Station(Victoria駅から出る列車の窓から撮影)。

 現在は使用されていませんが、遠くからでもその大きさに圧倒されるほどの迫力。近くで見たい方は Vauxhall からWimbledon 行きの156番バスに乗り、Battersea Park Rd を目指してください。

 以上で「(無理やり)2日で巡る SHERLOCK ロケ地巡礼」は終わりです。ほかにもドラマで使用された場所がけっこう見つかるはずなので、あとは各自のお楽しみで頑張ってください!

■おまけ■

『SHERLOCK/シャーロック』とは関係ありませんが、せっかくのロンドン旅行、翻訳ミステリ・ファンなら見逃せない場所をちょっとご紹介。

 スタート地点は Trafalgar Sq です。National Gallery の正面右横にある National Portrait Gallery には、常設展示で、かつてハヤカワ・ミステリ文庫版のジョセフィン・テイ『時の娘』の表紙に使われていたリチャード三世の肖像画が飾ってあるのでぜひ鑑賞を。

 その後 Wandsworth 行きの87番バスに乗りましょう。2階席からなら Whitehall の途中右側、Horse Guards の先にジェフリー・アーチャー『めざせダウニング街10番地』でおなじみの首相官邸がチラ見できます。

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 続いて Houses of Parliament や Westminster Abbey など主要ポイントを通り抜け、川沿いの通り Millbank に入ると、進行方向右に見える白い建物が通称 Thames Houseイギリス情報局保安部、MI5の本拠地です。

 その先 Tate Britain を過ぎて Vauxhall Bridge を渡ると眼前にレゴかと見まごうばかりの派手な建物が見えてきますが、これこそイギリス情報局秘密情報部、SISことMI6です!

 重要秘密組織がこんな派手でいいんだろうか…といつも思うのですが(笑)、そういう意味でも必見です。Tate Britainで絵画鑑賞のついでに是非。

♪akira

 小2の時にエラリー・クイーン『エジプト十字架の秘密』を読んで以来、翻訳ミステリにどっぷりはまった会社員。最近の一押しはべリンダ・バウアー。トヨザキ社長の書評王ブログ『書評王の島』にて「愛と哀しみのスットコ映画」を超不定期に連載中。『柳下毅一郎の皆殺し映画通信』でスットコ映画レビューを書かせてもらってます。

 Twitterアカウントは @suttokobucho