前回のデイヴィッド・ゴードン氏本人電撃訪問の興奮も冷めやらぬ内に、第6回「最速!海外ミステリスニークプレビュー」が7/7(日)15:00より新宿ビリビリ酒場で開催されます。

 今回は若林踏、酒井貞道に続く「スニーク」第3のレビュアーがついに登場します!

 果たして、第3のレビュアーとは一体誰なのか?

 それでは今回のラインナップをご紹介します。

『骨の祭壇』フィリップ・カーター(池田真紀子訳/新潮社)

 現代のサンフランシスコで起こった女性ホームレス殺し、1937年のシベリアで起きた二人の男女による強制収容所の脱獄、そしてホームレス殺しの18か月前に「ビッグ・キル」という謎の言葉を残し死んだひとりの男。これら三つの出来事は、「骨の祭壇」と呼ばれる存在によってつながっていく。

 全米の出版社がその出版権をめぐり壮絶な争奪戦を繰り広げたという、謎の覆面作家のデビュー作です。その正体についてはあれこれと推測がなされているようですが、どうもはっきりしない。が、サンフランシスコ、モスクワ、さらにはパリへと縦横無尽に舞台を移しながら大風呂敷を広げる大胆な構想にはとにかく唖然とするばかり。

『クラッシャーズ 墜落事故調査班』デイナ・ヘインズ(芹澤恵訳/文藝春秋)

 元米海軍の潜水艦ソナー員、元ロンドン警視庁警部、元ボーイング社エンジニア……といった経歴を持つ者たちが集結した。あらゆる分野の知恵を武器に、不可解な航空事故の謎を解明する凄い奴ら、その名も〈クラッシャーズ〉!

 と、勝手に80年代海外ドラマのオープニングナレーション風に説明してみました(羽佐間道夫の声で読んでみてね)。いや実際のところ、この小説の旨味は昨今の米国の集団捜査ドラマ、科学捜査ドラマを愛する方の舌には堪らないものでしょう。ついでに言うとさっきの『骨の祭壇』も昨今の連続海外ドラマの作劇法と云々かんぬん、というお話をここでいっぱいしたいのですが、続きはビリビリ酒場で。

『ジェイコブを守るため』ウィリアム・ランデイ(東野さやか訳/早川書房)

 地区検事補アンディの息子・ジェイコブが同級生の殺人容疑で逮捕されてしまう。息子のためにアンディは奮闘するが、次第に自身の人生も揺らいでいくことになる。

『ボストン、沈黙の街』でデビューし、「週刊文春ミステリーベスト10」 第3位に選ばれるなど、期待の新星と呼ばれたウィリアム・ランデイ。『ボストン、沈黙の街』『ボストン・シャドウ』は、大いなる助走に過ぎなかった。6年ぶりの邦訳となる本作はまさにそんな台詞が当てはまる、著者の大きな進化を感じることができる逸品です。

『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン(柳沢由実子訳/東京創元社)

 昨年、『湿地』で衝撃を与えたアイスランドの巨人、インドリダソンがCWAゴールドダガー賞を獲得した〈エーレンデュル捜査官〉シリーズの真骨頂が登場します。

 地中から現れた人間の骨。いつ、どこで、だれが、だれを埋めたのか。自身の家族に降りかかる災厄に心を痛めながらも、遠い過去の悲劇へとエーレンデュル捜査官は向かっていく。

今回は、本年度北欧ミステリの本命と言うべき作品の魅力を解説すべく、若林・酒井に加え、「ドイツミステリの伝道師」ことマライ・メントラインさんにスペシャルレビュアーとして参加いただくことになりました。

 ドイツミステリと密接な関係にあるといわれている北欧ミステリ。世界各国で読まれているインドリダソン作品は、ドイツではどのような評価を受けているのか。若林・酒井コンビとは異なる視点でマライさんに『緑衣の女』、そしてドイツでの北欧ミステリ事情を語っていただく予定です。

 というわけで、マライさんという新たなレビュアーを得て進化する「海外ミステリスニークプレビュー」、夏の読書計画の参考にぜひお越しください。

※なお、同日開催予定の『湿地』読書会ご参加の方は、「スニークプレビュー」を無料でご観覧いただけます。詳細は下記のURLにて。

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Live Wire [186] 13.7.7(日) 最速!海外ミステリ先読みスニークプレビュー#6

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Live Wire [187] 13.7.7(日) Biri-Biri酒場ワンコイン読書会#4 アーナルデュル・インドリダソン『湿地』

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若林 踏(わかばやし ふみ)

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 ライター。挟名紅治の生まれ変わり。『ミステリマガジン』や書評サイト『bookjapan』等で主にミステリ小説の書評を中心に書いています。本読み以外の趣味は刑事ドラマ鑑賞。好きな刑事は「大都会PartII」の徳吉刑事。

 ツイッターアカウントは @sanaguti